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今にも落ちてきそうな空の下で

花より男子の二次小説を書いています。カップリングは司×つくしです。当サイトは漫画花より男子の非公式二次創作サイトです。作品関係者および作者様とは何の関係もありません。更新は月曜日と金曜日です。シリアス、シリアス、ちょっとアホ、シリアス、だいぶアホ!くらいの比重のつもりです(≧∇≦)気が向いたらでいいのでコメント下さると嬉しくて飛び跳ねます♡

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アダムとイブのジレンマ

中編

皆様お久しぶりです。コメントやメールの返信滞っていますが、ごめんなさいの中編です。
私にしては珍しくもう完結しているので全部で10話くらい?かな、毎日投稿していきます。
そしてこの話、類つくです。今までつかつくオンリーでやってきましたが、ここに来ての類つく。笑
正直復帰の中編はつかつくで行こうと思ってたのに、書けば書くほどこれは...類つくだねえ、と沼に落ちていきました。あは。
久しぶりに気になるあのサイトの気になるあの長編をばああっと読み返しました。やっぱり素敵。原点にして頂点だなあと思いました。モチベアップ。
この話最後はハピエンだけどシリアス重ためといういつものパターンなので苦手な人は気をつけて下さい。本当にいつもの私だって感じの作品です。
分岐は司とのニューヨークでの別れあたりかな?











「牧野、身体痛くない?平気?」

「…うん、大丈夫。ちょっとだけ痛いけど」

もぞもぞと彼女は身体の向きを入れ替え、俺の腰に腕を絡める。
男の力で強く押さえ込んだ手首は内出血で少し赤黒くなっていて、首筋に執拗に付けたキスマークが痛々しい。
それなのに、彼女はいつも通り薄く笑って、「大丈夫」なんて。
俺を心配させまいと甘えるようにひっついてきて、あまつさえ俺の手を優しく握ってくるなんて。
何で俺がお前に慰められる構図になっているんだろう、とか、余計なことを考えてしまう。
牧野は、優しい。
俺限定の優しさというわけじゃないけれど昔から本当に自分より他人を第一に優先する危うさが牧野にはあった。
俺が鬱陶しいと思うくらいに牧野は他人を気遣う。
こんな俺のことも、全く同じように。
優しくて、自分よりも相手を労って、こんな俺を許容してくれて、無条件に手を差し伸べてくれて。

「昨日はごめん。かなり無理させた」

たまらなくなって彼女を抱きしめれば、

「もう、なんなの類ってば。だーいじょうぶだって言ってるじゃない。全然、謝らなくたって」

いいんだよ、なんてお軽く寄越すわけで。

「ちょっと疲れちゃったんだよね?誰だってそんなことあるじゃない。今日はゆっくり休も」

彼女が耳元で言う声が心地良い。
俺の一番大好きな牧野の声だ。
少し高くて柔らかい甘い声。
類、と呼ばれる度に、その声に、俺はいつだって酷く安らいでいる。

「うんそれでも、」

言葉を切って、彼女の汗で張り付いた前髪をどかして、頬に軽くキスをする。
もう一度されるのか、と身を固くした彼女を安心させるように、瞼にもキス。

「無理はさせただろ。悪かった。ごめん」

ちゅ、ちゅ、と瞼に何度もキスをして、くすぐったそうに柔らかく笑った牧野を目の端で確認して、身体ごとキツく抱きしめた。

「あの、類?」

「ん」

「ちょっと痛いから、緩めて欲しいんだけど」

腕、と牧野は続ける。
眉を下げて、俺の機嫌を伺うように。
俺はそんな牧野を見ているのが寂しいし、どうしようもなく後ろめたいキモチになるのだ。
俺が牧野の中に植え付けた傷とトラウマはきっと思ったよりももっと大きい。

「…うん。ごめん牧野」

安心させるように、牧野のおでこを撫でてから抱きしめていた腕を離した。
しばらく沈黙。
電気を消して寝ようか提案しかけた時、牧野がふと思い付いたように俺に話し掛ける。

「あ、そうだ類、明日何時に起きる?」

「明日?久しぶりにオフだし、昼まで寝てるけど」

「そっか、明日は私朝からバイトあって行かなきゃだから、一緒にご飯食べれないんだけど」

「別に気にしなくていいよ。いつも一緒に食べてるってわけじゃないでしょ?」

「まあ、そうなんだけど。でも朝ご飯は作っておくね。何がいい?」

「あれ食べたい。牧野が前作ってくれたヤツ」

「前って?」

「あれだってば、あれ。えーと、あ、そうそうあれ、卵焼き。すごい甘かったやつ」

「だからあれは失敗作で…はあ、まあいいよ。作ってあげるよ、仕方ないなあ」

彼女は少し顔を赤くした後、機嫌良さそうに声を明るくする。
からかう気持ち半分、本当に砂糖が大量に入った独特の味がする卵焼きが食べたい気持ちが半分だった。
失敗作だから忘れて、と彼女は言うが無性にあの味が食べたいと思うあたり、あれは実はそれほど失敗作でもないのではないだろうか。

「るい、」

「ん、どした」

「類はさ、私のこと…ちょっとでも、好きだって思ってる?」

「…そうだね」

彼女はよく俺に、自分のことが好きなのかと聞く。
そのくせ彼女が俺のことをどう思ってるのかについてはまったく話さない。
だから俺も彼女に本心なんて話さない。
ただ、手放す気も無い。
どこかの余所の男と幸せになるくらいなら、俺の傍で、ずっと不幸でいればいい。

「牧野は、ずっと俺の傍にいればいいって思ってる」

「?えぇ、なにそれ。そりゃ、ずっといるんじゃない?」

「幸せにはしてやれないと思うけど」

「....別にいいよ。勝手に幸せになるから」

そう言って、今日も彼女は悲しく笑い、嬉しそうに泣く。


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スーパー幹事!?道明寺!!

短編

つかつくでこち亀パロをやりたかっただけの話。
細かいところを突っ込まれたら何も言えないので「ギャグだから☆」という魔法の言葉で全てを受容して下さる方限定の閲覧でお願いします!
深夜テンションで書いたので朝になったら消してる可能性が微粒子レベルで存在してますお気を付け下さい。
秘書課のつくしちゃんと道明寺社長のオフィスラブのはずが1ミリもラブをしてませんカプ要素は1ミクロンもありませんご容赦下さい。











「でね、道明寺にウチの課(秘書課)の秋の旅行の幹事をやってもらうことになったんだけど」

「ちょっとまて」

「うん」

「俺がなんだって」

「だから道明寺にウチの課の社員旅行の幹事をやってもらうことになったんだってばそれでね」

「だから待てって。俺が?幹事?なんで」

「なんでって言われても」

「いや普通に考えてここの経営責任者の俺がイチ課の幹事を務めるってそれおかしいだろ。
秘書課のことは秘書課でやれよ」

「でも道明寺これを見て」

「なんだこれ」

「☆秘書課で社員旅行行っちゃいましょうの会in秋の収穫祭~アンケート~☆っていうアンケートがあってね、ほら、ここの項目見て」

「は?」

「ほらここ。秘書課の幹事にふさわしい人物ランキングナンバーワンに道明寺司の名前が!やったね!ラッキー!ちなみに秘書課の50名の内総得票数は43票で他の追随を許さない結果になったよ!喉から手が出るほど欲しい人望が手に入ったね!」

「」

「道明寺息して」

「いやこのアンケートおかしくねえか?そもそも秘書課の連中のアンケートの項目ん中になんで俺が」

「ちなみに二位が総得票数3票花沢類!」

「いやほんとになんで入ってんの」

「三位が二票で西門総二郎!四位が一票で美作あきら!やったね花の4人組で秘書課の幹事ランキング総なめだねやったね」

「まずそいつらは会社も違うし1人茶道の家元混じってるから落ち着けって牧野」

「でね道明寺言いにくいことがあるんだけど」

「この流れをぶったぎってくるスタイル心からやめろ。なんだよ」

「ほんとにすごく言いにくいんだけどね」

「だからなんだよハッキリしろよ」

「、、10万円、なんだよね、、」

「はあ?10万?」

「、、うん、そうなの」

「まあ10万あればランチが食えないこともないんじゃね」

「え」

「レベルを落とせば10万でディナー食えるホテルが無いわけでもねえし。1人10万なら食事は、、」

「違うんだって道明寺」

「なにが」

「ちょっと良く聞いてね」

「は」

「全部で10万円なの」

「ん?」

「10万円は一回の食事代じゃないのよ」

「どういうことだ牧野」

「そんな凄まないで。だからつまりね、50人の交通費宿泊代食事代全部トータルで10万円なの!」

(社長が膝から崩れ落ちる音)

「道明寺!?やだ大丈夫道明寺!?」

「わるいちょっと目眩がして、、」

「すごい音したけどホントに平気?」

「いやまあ。つか。じゅ、10万円で50人が泊まって食事をするってことか?」

「そうなの。1人の予算は2000円なの」

「2000円ってコーヒー1杯ギリ飲めねえくらいの値段じゃねえか」

「それ高すぎだから道明寺。レベルを50段くらい落としてねお願いだから」

「目眩がしてきたからこの話はパスで大丈夫か」

「それがダメなの道明寺。もう一回よく聞いてね」

「ダメって何が」

「社内アンケートの結果がすごく好評でね」

「、、おう」

「会長、、つまり道明寺のお母様の耳にもこのアンケート結果が届いたみたいで」

「はあ?ババアにか?」

「そうなの。で、会長が思ったよりも道明寺が幹事をするのに乗り気みたいで」

「、、マジかよババア」

「大マジなのよそれが」

「1人2000円で一泊二日は常識的に不可能だろ」

「不可能を可能にしてこそ道明寺グループのトップに立つモノの器だそうよ」

「」

「だから息してってば」

「あのババアの考えそうなことだな」

「腑に落ちてくれたの」

「あんま落ちてねえけどババア命令ならしかた_あ、つかクレジットカードがあるじゃねえかこれならいくらでも_」

「それもダメなのよ道明寺ぃ」

「え、なんでだよ」

「会長が自分で旅の計画を立てて超低予算で乗り切ってこそ価値のある企画だって仰ってて。クレカは当然止められてるし道明寺グループもすべての面でシャットアウトしてるのよ。完全に外堀埋められてるわ」

「はあ?やりすぎだろババア。企画ってなんだよ何考えてんだクソが」

「で、これが全旅行の費用10万円。私が預かってきたわ」

「全部1000円札か」

「そうなの、これでお願いね道明寺」

「あれ」

「ん?」

「なんか1000円札のデザイン変わったな」

「え、そう?」

「おう。伊藤博文だったよな?」

「いやいつの話してんすか社長」

「最近変わったのか肖像画」

「10年以上前から野口英世の上にその前は夏目漱石だけどいつの時代の生まれなの道明寺は」

「は、そうなの?わり、1000円札とかみたのマジで幼稚舎以来だったからぶっとんでた」

「とにかくその予算で頑張ってね!」

「しかしこの予算で『温泉付き旅館で宴会はサシミの盛り合わせを付けること』って鬼畜すぎねえか」

「それを乗り切ってこそ道明寺グループの後継者らしいよ」

「絶対に違うと思うけどな俺は」






それから安い宿を探しまくり普段目にしない100円10円1円単位で安い宿を探した。
結局社員旅行の当日は午前8時に会社前に集合、事故車の二段バス(レンタル代0円)に乗り、山道一歩手前で下ろされそこから三時間徒歩(0円)。途中で通ったディーゼル貨物列車に飛び乗り(0円)(犯罪)(キセルどころの騒ぎではない)。貨物列車が鉄橋を過ぎた辺りで150メートル下の谷川に飛び降り(予算の都合上パラシュート無し)山奥の宿で曰く付きの部屋(相部屋の上幽霊が住んでいるため1人あたり100円)温泉は用意された自転車(1人当たり500円)で隣町の旅館まで行って盗み湯(0円)(犯罪)宴会はサシミの盛り合わせ(曰く付きのため1人200円)、日本酒(10倍に水で薄めたモノなので1人100円)、宴会場は時間貸しのため宴会は10分で終了。



このように散々な旅行になった上に「社長の幹事は最悪」「強制収容所の方がまだマシ」と言われ大不評を喰らった。
社員の声とは裏腹に会長はいたくお気に召し、それでこそ私の後継者と言わしめた道明寺司であったが人として大切なものを失ってしまった気がしてならない。
不評が不評を呼んで翌年から秘書課の社員旅行は廃止になりました。

まさかシンガポール

短編

ヒトコト

短編



ご無沙汰してます。
更新滞っててすみません、お詫びの短編です。
司の記憶喪失分岐。
司がつくしの記憶を忘れてからなんとなくずるずる付き合ってる二人だけど、というお話。
つくしちゃんが少し重たくて、面倒です。笑
以前ほど司に好かれていないと思っていますが、司は司でちゃんとつくしのことが好きだし文字通り愛しているけど愛情表現が極端にヘタクソになってしまっている、すれ違いストーリー。
ちなみに二人が名前呼びなのは司が記憶を失ったときにつくしが自分の彼女だ、と聞かされていたので、彼女なのだから当然名前で呼んでいただろうという勘繰りにより、名前呼び。つくしにも名前で呼び直させた。
経緯はあまりロマンチックじゃないですが、これが全てです笑













ほんの少しだけ。
2分でいいの。
ほんの少しだけ、話をしようよ。
たった一言で本当の気持ちを伝えられそうな気がするから。
今夜は。














バイトがなければお家デート、というのは既に私たちの中では定型になっている。
学校で出された課題とか、明日当たるであろう問題の予習とか。
優紀から借りた携帯小説とやらを読んでみたりとか。
最近ハマってるスマホゲームのアプリをポチってみたりだとか。
まあ、ダラダラ過ごしながらも、それでもこの環境は心地良い。
「ねえ」と言えばすぐに届く距離に、甘えようと思えば甘えにいける距離に、司は居てくれる。
時々お互いにちょっかいだしたり、何でもないことを喋ったり。
こういう穏やかな時間が、嫌いなわけじゃないんだけど。
そう、それに、、外でブラブラしたい、なんて言ってみても、外で出来ることは全てこのお邸の中ですんでしまうのだ。
たまには外でご飯食べたいな、と言えばシェフに適当に作らせればいいと返され、映画を見ようと誘えばシアタールームがあるからいいだろと突っぱねられ、温泉のチケット貰ったの、とラインを飛ばせばジャグジーまで完備してるから出かける必要はない、だ。
まあ、確かにその通りと言えばその通り。
このお邸にはなんだってあるのだ。
パーティールームにはカラオケだってあるし、地下には一通り娯楽品が詰まっているし。
確かに、出かける必要がない、と言われればそれまでなのだけれど。
なんだかなあ、と思ってしまう。
私は、、私は、言ってしまえばそれらの誘い文句は全て口実でしか無くて。
別にどうしても外食がしたいわけじゃない。
どうしても映画が見たいわけじゃない。
どうしても温泉に行きたいわけじゃない、んだよ。
ただ、2人でどこかに出かけたい。
目的とか目的地とかどうでもいいの。
そんなのどうでもよくて。
ただ、2人でどこか違う場所に行って、同じものを見て同じ時間を共有していたいだけなのに。

「、、なあ、何してんの、つくし」

とかなんとか人が溜息を吐いてると、後ろからのし掛かってくる愛しい彼氏様。
どう間違っても抱きしめられてはいない。
うん、一歩間違えれば襲われそうなこの体勢。
被捕食者は少し焦る。

「なにって。、、ライン返してただけです~ちょ、重いなあ、離してよ」

「へえ」

へえ、って。
自分で聞いてきたくせに有り得ないくらい淡泊な返事をどうもありがとう。

「、、もう、重いから。離してってば!、、もう~」

「わかったって。ったく可愛げのねえ女」

そうして彼は私から腕を離して、大して感情の籠もってない台詞を吐く。
少し口の端は上がってるけど、目は笑っていない。
こんな風に、私と話をするときも、私一人置いてかれている気さえするほどに、感情を忘れた彼の声、ドキリとすることが多々あった。
私の記憶だけを忘れて、あたしとこうしてカレカノの関係をやり直すようになってからこうした彼を、私はよく見る。
なぜ私とやり直す気になったのかは知らないけど。わからないけど。
彼の言動は私とさながら恋人同士のように振る舞いながらも、その心の距離は記憶を失う前に比べて、途方もないほど離れてしまったような気がする。
そう、一応、恋人っぽいことはするのだ。
手も繋ぐし、キスもするし、たまにそれ以上のこともするし。
でも、何か欠けている気がしてならない。
彼は、何か欠けてる。
ふとしたときの笑顔にも、私を気遣うような優しさにも、妙に物わかりのいいところも。
全てが司のようで司ではない、気がする。
ただの私の取り越し苦労と言ってしまえばそれまでだろうか。
どうしてこんな風に距離が出来てしまったのだろう。
やっと、幸せになれると思ったのに。
あの船の中で。
約束したのに。
いっちゃやだ、どこにも行かないで。
彼は私にどこにも行かないと約束したはずだ。
言葉通り彼はどこにも行かなかった。
けれど、彼の心はどこかに行ってしまった。
それは間違いない。
たまに、この人は誰なのだろう、と思ってしまう。
あなたは誰?
私の知ってるあなたが、あなたじゃないみたいで。
不安になる。

「ねえ、司?」

「、、ん」

「あたしのこと、好きだよね?」

「、、ん~、まあな」

ほら、ね。
携帯を弄りながら、何の気も無い声で言われたって、それが何になると言うの?
ねえ、私は司のこんなに近くにいるのに。
どうして司の心は私の近くにはいなくて、そしてそれが、一生縮まらない距離にも思えてくるんだろう。

「なんなの、適当に返事しないでよ。好きなの?本当に?」

「、、うるせえなあ、好きだって言ってんだろ。なに、お前俺に何て言ってほしいわけ?めんどくせえ」

「なんかもっとこう、あるでしょ。愛してるとか。月が綺麗ですね、とか。司のは感情がこもってないの」

「、、ハイハイ、愛してるって」

「なにそれ、超適当じゃん。バカ、嫌い」

自分でも面倒な女だなあ、と思うよ。
でも時々こうして司に確認を取らないと不安というか。
うん、不安なんだ。
本当に私からそのうち、スッと心が離れていきそうで。

「適当じゃねえよ。、、つか、つくし」

「、、、、なに」

「愛してるから、しよっか」

適当な愛を囁やかれた後に適当にセックス、するのも癪で。

「、、しない」

なんて抵抗してみるけど。

「いいじゃん、しようぜ」

そんなこと言って、無理矢理キスをされれば、私が彼に逆らえないのは知っているくせに。確信犯。

「、、、しょうがないなあ」

なんて、口では言いながらも、私は知ってる。
私の心の平穏が保たれるのは彼に抱かれている時だけなことを。
セックスの時だけは本当に優しいもんね。
キスも優しくて、気持ちよくて。
このまま、ずっとこのまま彼と繋がってられたらなって、思うくらい。









ほんの少しだけ、たった2分、たった一言だけ、彼に本当の気持ちを伝えるのなら。
たった一言、私は彼に「さよなら」を告げると思う。
どうして最後まですれ違い?そしてどうして最後まで二人の距離をほんの少しも縮められなかったの?
なんて、疑問符はたくさんだけど。
でもまだその一言を言えないのは、結局その一言を伝えられないのは、私があなたを愛してやまないから、と言うよりは。
あなたがそれほど私を愛していないから。
そして私の心が、きっととても弱く、卑屈になっていたせいだね。







ガラスの林檎たち 65

第三章 愛もお金で買えますか?




彼女のそんな悲痛な顔を見たのは初めてだった。
雫は、なんというか飄々としている女だ。
養護施設出身の養女という、社交界でもそこそこ有名な文句でバッシングされることも、直接嫌がらせを受けることがあっても基本的には何処吹く風。
牧野なら、やられたらやり返すし、言われたら言い返すが、雫の場合は牧野とは違う。
物事に対するへこたれ無さは唯一共通する部分であるが、雫は、ある種淡々としていて、周りに関心がないようにも見える。
好きじゃない人に嫌われたって、どうでもいい、と。
彼女にとって大事なのは今この時が楽しいかどうか。
他人などおかまいなしで、特に言い返しもやり返しもしない。
だから、意外だった。
彼女にとって自分の過去は、彼女にとってはどうでもいいと思っていた。
彼女もそう言っていたように。
彼女は常に前を向いてて、俺じゃない男を見ていて。
つまるところ過去の自分にも俺自身にもそれほどには関心があるようには見えなかったから。
だから、意外なのだ。
彼女が、、雫が、過去牧野つくしであった自分を気にして、あまつさえ牧野であった自分に嫉妬するなど。
好きなのは雫ではなくて、あくまでも自分に過去の牧野つくしを重ねているだけだと。
そう言いきる彼女は、本当に意外だった。
と、同時に。
今居る彼女が急に弱々しく頼りない存在に思えて。
こんな状況なのに、彼女の横顔を見つめながら初めて、、コイツのことを綺麗だ、そう思った。

「ごめん、、おかしなこと言ってるね、私」

「、、雫、_」

「わかってる!おかしいのは私でしょ?今更こんな、、どうして、私がつくしになんか、、戻りたいなんて、、、そんなの、思うはずないのに。それなのに、、なんで?どうして?今更どうしたって、どうしようもないのに_私、、惨めだもん。私が私を追い詰める。過去の私が今の私を、、どこまでも惨めにする。それが、、耐えられない」

彼女がそう言い終わる前に、彼女を抱きしめた。
彼女も驚きも抵抗も特になく、すんなりと俺に抱きしめられた。
俺が彼女に今何かを言うのは得策ではないだろう。
しかし彼女をほうって帰るのはもっと得策ではない。
だから、彼女の気の済むまで、黙って彼女を抱きしめることにした。

「、、司君」

しばらく経って、ポツリと雫が呟いた。
そっと身体を離しながら、それでも声は震えていた。

「_ありがと。もう、大丈夫だから。いいよ」

彼女にしては珍しい、無機質な拒絶の仕方だ。
大丈夫でもなさそうだし、良いとも思えなかったが、彼女がそう言う以上はそう思うしかない。

「、、ごめん。帰っていいよ、司くん。ごめんね、ありがとう」

彼女が素直に謝るのも礼を言うのも珍しいと言えば珍しい。
彼女はそう言ったっきり黙りこくって、俯いてしまった。
不意に何か、、何かを言いかけようとした。
そうした方が状況が好転するような気がした。
けれど、これほど弱々しい彼女を目の当たりにしたのも初めてだった自分は、それほど気は利かなかった。
お互いにもうこれ以上の会話は認めなかった。

「わかった。落ち着いたら連絡しろよ?、、今月はもう無理かもしれねえけど、来月はどっかで休み作るから。
、、ま、どっちみちその前に静んとこのパーティーがあるから、無理に予定合わせなくてもいいけど」

「、、ん。そだね」

「_雫」

「、、、なに」

「俺はお前のこと別に汚ねえなんて思ってねえからな?」

「_わかってるよ」

「、、それだけ。じゃあ、来週な」

「、、うん。おやすみなさい」











空は、そこそこどんよりとしていた。
雨が降る予報ではなかったけれど、傘を用意した方がいいかな、と思うほどには。
おまけに昨夜からの頭痛は朝になってもつくしを悩ませた。
時々フラッシュバックする断片的な記憶と共に。

「、、それで?お父様、話ってなんですか?私、もう学校に向かわないといけない時間なんですけど」

自分でもふて腐れた顔をしているのはわかっている。
それでも、そんな顔をしないととてもじゃないけどやってられなかった。
面白くない。
そう、簡潔に言えば、面白くなかったのだ。
雫である自分がけして知らない過去の自分と、司くんとの記憶。
誰にも汚せないような絆で結ばれた2人が憎たらしく、つまらなくて、面白くない。
牧野つくしがなんだっていうの。
過去に要らないと捨てたものに脅かされたような気分だ。
つくしは弱かった。
弱くて、どうしようもなくて。
城宮雫になった時にそんなつまらない過去は捨てたはずだったのに。

「いや、、最近司くんとはどうなのか、気になってただけだ。どうなんだ?うまくやれてるのか、彼とは」

「、、うまくって。いいえ、全然。そもそも、連絡を取ってないわ、彼とは」

「、、それは、どうして?彼への復讐のために、お前という恋人役が不可欠なのはお前だって理解してるだろう?_今更彼に罪悪感でも?」

「罪悪感?」

はは、と心の中で渇いた笑いが漏れる。
罪悪感?私が司くんに?_有り得ない。冗談じゃないわよ。私が彼に妙な気持ちなんて、持つわけ無い。今までも。これからも。

「罪悪感なんて。ただ飽きただけ。鬱陶しいんだもん」

「飽きた?バカなことを言うな。
そんな馬鹿げた理由で_納得出来るとでも?、、とにかく、今更放棄するのは俺が許さない。
俺がお前に許さない。彼との交際は続けなさい」

「別に_お父様に納得して頂く必要はないでしょ。
許さないってどうするの?
私をここから追い出す?
出来るもんならね。
私が出て行ってお母様がどうなっても、私は知らないからね」



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