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「ガラスの林檎たち」
第一章 誰にも言えない

ガラスの林檎たち 8

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「___雫ちゃん、私のいない間ずっと代わりを務めててくれたんでしょ?」

ふんわりと包まれるように抱き込まれた恵の腕に力が籠もる。
華奢で今にも折れそうな程か細い腕にどうしてこのような力が存在するのかと思うほどに、きつく、ともすれば骨が軋むような錯覚がするほどに力強く抱きしめ直される。
その刹那、背筋がゾクリと粟立つ感覚に突如襲われ___恵と対峙するときに感じるお決まりのそれではあったが____慌てて恵の腕を軽く振り解き、やや距離を置くように彼女から離れる。

「・・・え、___あの・・・・代わり、って・・・・?」

震える声を抑えるように切れ切れに紡ぎ出せば、先ほどよりもより美麗に、より醜悪に微笑みを造りニコリと口角を湛える恵と視線がぶつかった。
何とか微笑みを湛えてはいたが___その鋭い眼差しには一片も光など通ってないことを悟った雫が背中を固く強張らせる。

「あの___お母様?」

恐る恐る母親の顔色を窺うように、再び問いかけると先ほどまでの昏い瞳が嘘のように輝きを取り戻し、誰が見ても偽物のそれとは指摘されないであろうパアっと明るい笑みを作り直して、雫を見つめ直す。

まるで一瞬の瞳の陰りは見間違いだったのかと思わせるほどに。

「____貴之さんのパートナー役よ。
大変だったでしょう?
ただでさえこの時期は何かと集まりの口実は多いし、それに学校もあるのに、余計な神経使わせちゃったわね。
本当にごめんなさいね、雫ちゃん。」

恵の言葉に一抹の安心感を覚えホッと胸をなで下ろした雫も負けないくらいの笑みをつくり応える。

「・・・いいえ、本当にいい経験になりましたし___それに、お母様の立場を改めてよく知る機会にもなって、また少しお母様に近づけたような気がしました。
まだまだお母様に比べれば至らない点は多々あるとは思いますが_____その分はっきりとお母様が普段なさってることがいかに______その__偉大なことか理解することができたと思います。」

面接での模範解答のような受け答えにやや面食らったのか、恵が苦笑いを湛える。

「まあ、雫ちゃんたら___おだてても何にも出ないわ。
でも___そうね、雫ちゃんに欠点があるとしたらそこね。」

「___え?」

「何ていうか___あなたは少し謙虚すぎるわ。
私があなたくらいの時にはとっくに社交界の世界には入っていたし___もちろんあなたもそれに不足しないだけの立派な貴婦人に育ってくれたとも思うのに。
あなたは時々自分への評価が慎重すぎる。
それはあなたの悪癖よ。とても____」

「あく、へき__?」

「・・・・ええ。」

もう一度心の中で「アクヘキ」と反芻し直すと同時に、訳の分からない衝動のようなものが雫を再び襲い始める。
雫が恵を苦手とするのにはこういうところも含まれていた。
何もわからないような、何もしらないようなお嬢様然をしているかと思えば時折人の心の中心に土足で踏み込んでくるような物言いをするのだ。
全てを見透かすような純粋で___純粋すぎる瞳に心を射貫かれるような幻想さえ抱くのだから、始末に負えない。

「そんな___そんなことないです、お母様。
お母様が私を買いかぶりすぎるだけですよ。
私は_____だって____欠点だらけの人間です。
お母様が考えるような『城宮雫』ではありませんから。」

最後の一行にはそれなりに皮肉を込めたつもりであったが、恵には通じたのかどうか。
たとえ通じていても、彼女は素知らぬふりを突き通して、あくまでも自分の作り上げた世界に固執するのだろうが。

「雫ちゃんたら____

恵が雫を戒めようと口を開きかけるが、遮るように更に雫が言い募る。

「___ごめんなさいお母様、退院されたばかりで、その___積もる話もあると思いますが、私そろそろ学校へ行く支度も始めないと行けないので、失礼いたします。
帰ってきたら色々窺わせて下さいね。
私もお母様のいらっしゃらない間ずっと寂しく思っていました。
こうしてまたお母様と気兼ねなくお話できること、とても楽しみにしてましたの。」

「___あら、いいじゃないの学校なんて。
そんなの後でどうにでもなるわ。
ね、今日はお母様と一緒にいましょ。
雫ちゃんが好きそうなブティックこの前見つけてね、連れてってあげたかったのよずっと。」

一日中一緒にいようと言う恵の提案に想像するだけでも卒倒してしまいそうな程に戦慄した雫が慌てて言い訳を並べ立てる。

「__い、いえお母様。やはりそう言う訳には____
出来るだけ早く帰ってきますから。
一日でも休むとあっという間に授業について行けなくなるので____。」

「・・・・そう・・・?
・・・でも・・・・_____・・・そおね。仕方ないけど諦めるわ。
その代わり今度のお休みの日は付き合ってね雫ちゃん。」

名残惜しそうな口調はそのままに渋々恵が誘い直す。
雫はそれには応えず、ペコリと一礼し、足早に恵の部屋を後にしようとする。
___が、すんでの所で弱々しく二の腕を掴まれ遮られた。

「___まだそれ付けてるのね、雫ちゃん。」

一瞬恵の言葉の意味を理解しかねた雫が戸惑いながらも恵に向き直る。

「___それ?」

「___そのネックレス。
__よっぽど雫ちゃんのお気に入りなのね。」

「__え___あ、お気に入りというか___。」

「・・・・でも、ちょっと雫ちゃんには子供っぽすぎるデザインじゃない?
今度新しいの買ってあげるわね。
いっぱい雫ちゃんに似合いそうなネックレス置いてるところ知ってるから。」

ニコリと笑う恵の瞳に先ほどの昏さが戻ってきたのは気のせいだろうか。
昏く鋭く光る恵の視線とその言葉に何とも言えない不安が広がっていき、殆ど無意識のうちに胸元のネックレスを引き寄せぎゅっと握りしめる。

「___ええ、あの、ありがとうございます。
____・・・・ほんとに遅れてしまうので____すみません___。」

そう言うが早いか勢いよく恵の部屋から飛び出した雫はさっきよりも更に強くネックレスを握りしめた。
城宮雫でなかった頃の自分が___まだ牧野つくしであった頃の自分の存在の証が唐突に消えてしまわないように、その証をより深いところへ閉じ込めるように。

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