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「ガラスの林檎たち」
第一章 誰にも言えない

ガラスの林檎たち 11

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情事後の汗や体液でベタベタになった己の身体がいつもよりも不快に感じた。
もうそろそろかと時計に目をやるとようやく短針が10を過ぎたばかりの時間で。
忌々しげに溜息を吐きながら再びベッドに身を沈める。
快楽のみに支配され軽くもやのかかっていた頭が覚醒されると共に未だ自分の身体に纏わり付くように擦りあわされる男に鬱陶しさを覚えた。
軽く振り払うように男から離れれば、男の中の独占欲が刺激されたのか無理に引き寄せられ、首筋の辺りに所有の証を散らしていく。

「__男の人ってみんなそう、、、なんだね。」

「・・・ああ?」

「どうして__なんていうか__マーキング?付けに執着するのなんか、時々すごく不思議。」

「そりゃあお前__俺のモンって印。売約済みって証。
男なら誰だって女に対しては独占欲の塊なんだからよ。
つけときてえだろ?一度抱いた女には。」

「そういう、ものなの?」

「まあ俺の持論だけど、大半の男はそうなんじゃねえの?」

「、、、、結構鬱陶しいし、面倒なのに。」

「なにお前、今特定の男でもいんのかよ?見られたらマズイって?」

口では言いつつも行為を止める気はないらしい男が厭らしく益々色濃く跡を付け直していく。
どこか楽しげに、クスクスとふくんだ笑いを漏らしながら。

「・・・いるような、いないような。」

「なんだそれ。わけわかんね。相変わらず適当だよなーお前も。」

「お前も」と男に言われることにささやかな疑問を感じる。
今日だけで何度身体を重ねたか分からなくなるくらい嬲られ絡みつかれて翻弄され続けて。
息も絶え絶えになるくらいに抱かれたというのに。
目の前の、自分を抱いて、いいように弄ぶ男がどこの誰なのか思い出せない。

ただ__どこかに懐かしさはあった。
懐かしさ、というより既視感__デジャブの方の意味が強いかも知れないが、懐かしさに類する何かはあった。
目の前の男への懐古感ではなくて、もっと深いところにある、もっと自分を形成する根源的な部分の何かにある懐かしさ。
そうだ__ちょうど、初めて男に抱かれる悦びと、僅かばかりの充足感を教えてくれた、あの人のように。
狭くて暗くて、何とも言えないほどに居心地の悪い窮屈な世界でもがいて、足掻いてたあの頃の自分を救ってくれた、どん底にいた私に男を利用することを教えてくれたあの人____

「____私もわけわかんないけど、なんかそういうことになっちゃったもの。」

男に生返事をしながらも、つくしは記憶の奥底にいつの間にか沈められていた「あの人」を頭に思い浮かべようと、必死で引っ張り出す。
残念ながら、あの日を境にそれこそ数え切れないくらい、しかもひたすらに似たようなタイプの男性と身体を重ね合わせてきた故、どうしてもどうしても、朧気にすらあの人の顔は思い出せなかった。
あの人だけではなくて、自分のような女に積極的に関わってくる男は大抵まともじゃないというか、ろくな人間はいなくて、だからこそ皆仮面を被ったまぬけな人間のようにも思えて、ろくに顔も覚えていないのかも知れない。
近づいてくる男は汚くて卑しくて醜くて。
でも自分より価値があって、お金があって、肌を重ねるとぬくもりがあった。
人に触れると温かかった。
自分を必要としてくれてると錯覚して心が満たされた。
あの人はどん底で足掻いていた私に、汚いながらも生きれる場所を用意してくれたのだ。

アノヒト、アノヒト、アノヒト________

マイナスから0まで私を戻してくれた人。
プラスには決してなれないけれど、マイナスとマイナスが傷をなめ合えばせめて0には近づけるのだと教えてくれた人。

「・・・・あ、もん__アモン___。」

___唐突に霧のかかった頭がまっさらになり、ポツリとその名が脳裏に蘇る。
年齢も、何故助けてくれるのかも、何一つ自分に教えてくれなかったあの人は自分をそう呼べと私に言った。
ありがとう、と初めて伝えた、唯一の人だった。

「___え?」

頭の芯がジンと痺れたような気がした。
ぼんやりと過去を彷徨ってた脳内の曇りはまだ晴れきってないまま、男の前で別の名を呼ぶことは絶対的なタブーであると言うことだけが微かに思い出される。

「__・・・ううん・・・もう一回、する・・?」

「へえ、なんかお前今日いやに乗り気じゃん?
__もう欲しくなってきたか?」

「___ん、焦らさないで、も、、おねがい、、」

眼前の男と、それから自分を誤魔化すように、初めて自分から男に腕を絡ませ、軽く愛撫を施す。

「言われなくてもするっつの。こっちは払うモン払ってんだからな」

___ここがどこかも、相手が誰かもどうでもいい

昔必死に自分に唱えた、そして今も唱え続けている呪文を心に刻み直す。
このフレーズを教えてくれたのもあの人だと、心の隅で思い出しながらも、何度も何度も刻みつける。
自分の行為を正当化させ、甘く輝かしいものに昇華させることができる、なんて美しい呪文なのだろう。
ここがどこかも、相手が誰かもどうでもいい。
自分が女で相手が男なのならそんなことはさして問題ではないのだ。
つくしはいつの日からか何度となく自分を慰めてくれた魔法の言葉を反復しながら、快楽の闇へと沈み堕ちていった。


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