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「ガラスの林檎たち」
第一章 誰にも言えない

ガラスの林檎たち 17

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「では、、、送って頂いて、ありがとうございました。
お礼は後日にでもさせて頂きます。」

つくしが何とも模範的に挨拶を終え、ペコリと一礼する。
そのまま踵を返して、邸へと向かうつくしであったが、不意に司に腕を引かれ反射的に彼の方を振り返った。

「___お前__さ。」

自分でもそう反応した自分に驚いたのか、苦しげな絞り出すような声になった司が切り出す。

「、、、、、は、い?」

「___いつも、あんなとこいんのかよ。あんな時間に、、、。」

「___だから、今日はたまたま、です。
ちょっと疲れちゃってて、フラフラしてて、、、、別に他意はないし、いつもしていることではありません。
これからは気をつけます。どうも。」

ほんの少し、重複した質問に苛立ったのか、最後のどうも、は何となく冷たい感じがした。
しかしやや早口なそれがつくしが何か詮索されるのを恐れているような音がするとも思う。
出来るだけこの話題は出して欲しくないとでも暗に促すような口ぶりだった。

「、、、やめろよ、あんまり。
お前は女で__城宮財閥の人間なんだろ。
どれだけ厳重に保護されてもまだ足りねえ位の立場があんだから、安易に夜遊びとか、窮屈なのかもしんねえけど控えとけ。それだけだ。」

殆ど初対面に近いはずの人間からに説教なのに、不思議と不快感はなかった。
むしろ懐かしい気持ちの方が大きい。
補導されては施設に送り直されていた3、4年前を思い出す。
ただ唯一引っかかるのは___目の前にいる、自分に最もらしい説教をしているこの人は生活安全課の人間でもなければ自分の後見人でもない。
先日挨拶を交わした程度の、そして恐らく自分の家の財閥よりも規模が大きいお坊ちゃま(自分の方が年下なのは棚に上げて)のはずだった。
ああ、先ほどの疑問が更に膨れあがる。
邪険にされるのを覚悟でもう一度だけ聞こうか。
なぜだか、今、この瞬間に問えばさっきの質問にも答えてくれるであろう気がした。

「あの、、、さっきも聞いたことで、鬱陶しいと思われるかも知れませんが、、、」

ここでつくしが言葉を切って司の顔を見る。
予想に反して説教後だというのに険しい顔もしていない。
哀れみとも慈しみともつかない表情を、その視線をただつくしへと向けていた。
先日のパーティーの夜に、幾度となくつくしはこうした司の瞳を目にした。
哀れまれているのは自分なのか、彼は自分を通してどこか遠くを見つめているのか。
どちらともつかないその瞳が、確かに父の貴之の瞳の暗さに酷似しているような気がして。
これじゃあ自分がこの人に対して後ろめたいことがあるみたい、と刹那浮かんだ考えをすぐに心で打ち消すと、再び司を真っ直ぐに見据えた。

「、、、、そんなこと、あなたにとってはどうでもいいことなんじゃないんですか?
なぜそんなことを聞くんですか?
どうして私に___それともあなたには____、、、何かあるの?」

「、、、何か?」

「、、、、何て言うか___あなたの態度は少し変です。
助けて頂いたのに、自分がどれだけ失礼な質問をしているかも、勿論分かっています。
でも、なぜ、と問わずにはいられません。
誰だって殆ど初対面の人にそんな風な___突然助けてもらったり、お説教されたりだとかですけど____態度を取られたら気になるに決まっています。」

先ほどのオドオドモードはどこ吹く風、被っていた仮面を乱暴にかなぐり捨てるかのようなつくしの態度にやや面食らう。
城宮雫という人間は他人の顔色を窺った丁寧すぎる__ともすればビクビクしがちな喋り方がセオリーなのだと思った司にとってはつくしのはっきりとした物言いは少し意外だった。
言葉遣いは同じように丁寧だが、その口調はキッパリしていて、訳を聞くまではテコでも動かないと言っているかのようで。
そして、司の前に、あのパーティーの日と同じような残像が蘇る。
上目遣いで、真っ直ぐに自分を見据える雫の瞳が、何年も前の大雨の日に自分を捨てていった少女に重なってしまう。
彼女はいつだって、彼女の心と同じように真っ直ぐな瞳をしていた。
彼女に上目遣いで、キラキラした瞳を向けられるとみっともないくらいにドギマギして、二の句を告げなかった頃の自分がそこにいるようなイメージがあった。
自分が恋い焦がれた彼女とは__まさにそんな瞳をしていた。
真っ直ぐで、躊躇もない、一点の曇りもない、清らかな瞳。
過去と現在が交差するイメージの中で、ぼんやりと『雫』を見つめながら、司は自制心をやや失っていた自分が何を口に出したのか訳が分からなくなった。

「___顔、が、、、、___。」

「、、、、え?」

つくしが眉を潜めて聞き返す。

「、、、私の、顔、ですか、、、?
____一体どういう___?」

「__あ、、、い、いや__なんでも、ない。
、、、気にしないでくれ。」

ここで初めて理性を取り戻したかのように、意識を取り戻した司が慌てて取り繕った。

「、、、はぁ、、、。」

益々訳が分からない、と言った顔でつくしが呟いた。
少し混乱して首を傾げるも、これ以上は埒があかないと思ったのか、「、、、そう、、、そうですか。」と頷いて見せる。

「___それでは、今度こそ失礼します。
色々不躾なことばかり申しまして、大変失礼いたしました。」

再び司に一礼して、踵を返すと司の方は一片も振り返らずに邸へと戻る。
彼女を縛り付けて、支配しようとする、2人の夫婦のいる邸へと。

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