中編
やさしくするよりキスをして 8
「覚えて、、、ん?どういう意味?」
「だから、事故のショックでその、、、あたしと付き合ってるってこと忘れちゃってたりしてないのかなって意味。
大丈夫なんだよね?」
「、、、大丈夫も何も、忘れるわけないだろ?
そもそも忘れてたら抱きしめたり、キスもしないって。
俺がそんな軽い男にでも見えるわけ?」
正直に言ってしまうと、今のつくしには『見える』だった。
最も、先ほどの桜子への口説き文句(?)も、ただ自分の感情に素直と言うだけで軟派な雰囲気はしなかったからまだアレかもしれないが。
「じゃあどうして桜子に、あんなこと言うのよ、、、」
プックリ頬を膨らませて、つくしが抗議する。
「どんなこと?」
「だから、、、花みたいに綺麗とか、そういうことっ」
嫉妬のせいで我が儘めいたことをいう自分が何とも言えず恥ずかしく、つい小声となってしまう。
先ほどの強気にはどうしてもなれず、一転乙女モードすら入ってしまった。
「、、、ああ、、、ハハっ、牧野、何、ヤキモチ?」
「や、ヤキモチなんかじゃない!
ただあたしって彼女がいるのに、彼氏としての礼儀がなってない!って言おうと思っただけ!」
誤魔化そうとつい滅茶苦茶なことを言っている自分に内心は呆れてるも硬くした表情は崩せずにいた。
司の方もそれはお見通しなのか、つくしにクスクス笑いかける。
「かっわいいやつだな~。はいはい、いい子いい子」
「や、やだ、からかわないでよ!」
撫で撫でされる手を振り払っても、つくしのことが可愛くて仕方ない司にとってはどうということもない。
「あんなのただの挨拶みたいなもんでしょ?
つくしちゃんはそれを気にしてたわけか~。そうかそうか、じゃあ俺も気をつけなきゃな」
悪戯っぽくウインクしている姿も様になりすぎて、思わず顔を赤らめるつくしであったが、そこで素直になれるような彼女でもなく。
「つ、つくしちゃんって呼ばないでよ!もう!、、、調子いいんだから、、、。」
それから、、、あれよあれよという間に司は退院し、英徳大にもすぐに復帰出来たし、対外的には殆ど変わらない日常が戻ってきた。
ちなみにF3は初めは人格の激変した司に驚きもしていたが、割と迅速に順応したらしい。
これは、やっぱりあの人たちってフツーじゃないとつくしが認識を改める要因にもなった。
あきらに至ってはこれでようやく子守りから解放されると誰よりも司の変化に胸をなで下ろしていた。
司とつくしの2人の関係にも相変わらず大した変化はなく。
週に一度のデートはこれまで通りだったし、時々精神科の通院にも付き合っている。
新しい司に対してはつくしの方も大分素直に接せるようになったのでラブラブ度も前までの比ではない。
他人からみれば何もかもが順調にいってるように見えるが___つくしにとっては実はそうでもなかった。
つくしにとって、前までの司とのつきあいで、変わったことは二つある。
その二つはこれでもかというほどつくしを苛つかせたし、つくしにとってみればまあ平穏とも言えない予断を許さない状況が続いていた。
___道明寺、まだかな、、、。
英徳のカフェテリア。
今日は司が英徳復帰を果たしてから4回目のデートだった。
新しい司になってからは、ある程度つくしの我が儘を聞いてくれるので、今日は4回目の庶民デートin遊園地!の日でもあるのだ。
___もう~、遅いよ~。
約束の時間から20分はすでに過ぎていて___注文したカフェラテも既に冷め、おまけに底の方はデロデロに甘くなってたので辟易していたときだった。
「きゃあ~~~!!!道明寺様よ~~♪」
「道明寺さんっ、今日もとてもイケメンですぅ♡」
「道明寺さん~、こっちに手振って下さ~い♡♡」
「ねねね、最近道明寺様って変わったわよね~。雰囲気柔らかくなったって言うか🎵🎵」
「王子様度パワーアップって感じよねv」
誰かの第一声をきっかけとして、ざわめきの渦はたちまちカフェテリア内を覆い尽くす。
司は困ったような照れたような顔で、カフェテリアに入ると、すぐさまつくしを見つけ王子様然とした笑顔で手を振った。
___イタイ、視線がイタイ
控えめに手を振り返すつくしであったが、チクリチクリと女子たちの視線が痛すぎる。
そう、つくしを苛つかせる二つのうちの一つは、まさにこれだった。
最近ヒートアップしすぎている女子たちの司へのアプローチ、というか馴れ馴れしさというか、、、。
つくしに言わせれば、ニュータイプ司は少し、、、紳士過ぎるのだ。
紳士すぎて、誰に対しても___例外なくそこらの女の子に対しても、優しすぎる。
人気がありすぎるのは本人のためにもあまりよくないというのがつくしの意見だったので、他の女の子にいい顔をする司には、、、面白くなかった。
声をかけてくる女の子に対する対応も王子様よろしく礼儀が良すぎるし、このタイプの司には他の女からのプレゼントやデートの誘いが多すぎる。
デートは当然断っているようだったが、どうやらプレゼントは受け取っているらしく(それも『ありがとう』ととびきりの笑顔つきだとか)それに耐えかね問い詰めたつくしにはちゃんと家に帰って処分しているといっていたが___これはつくしにとっては大層面白くなかった。
この間などはつくしといるときにわざわざプレゼントを持ってきて寄越すという強者もいて、これにぶちぎれたつくしが司が断る前に女からプレゼントを奪ってゴミ箱に投げ入れるといった所業を披露した。
それはそれはスカッとする一場面だったが、頭の冷えたつくしが『今のやつ、高いのだったらどうしよう』などと言い出す始末で司を大いに笑わせた。
司は日本で一番の財閥の彼女が何を言ってるのだという言い分らしい。
美作・西門ペアのように軽くあしらえるわけでもなく、類のように極端につれなくも出来ない司に、つくしの方は毎度心臓のもたない思いだった。
以前の司だったら群がってくる女など怒鳴って一蹴していただろうに、とどうしても以前までの司と比較してしまう自分もいるくらいだ。
「ごめん、牧野~。待った?よね?ごめんごめん、講義長引いちゃって」
「そんなに待ってないけど、、、走ってきたの?」
「うんっ、はやく牧野に会いたくてさ」
「、、、///昨日も一昨日もあってるけどね」
いちいち不意打ちに照れるのも最近の習慣になりつつある。
少女漫画の主人公かよと毎回突っ込みたくなるくらいに司の台詞にはときめかされた。
「じゃ、行こっ!
今日平日だし、あんま混んでないと思うし、楽しみ~」
カップを乗せたトレイを返却口に運び終えたつくしが振り返り笑みを浮かべる。
「ね、牧野。、、、手、繋いでいい?」
ニコっと司がつくしに視線を投げかける。
その言葉にキョロキョロとあたりを見まわしたつくしがとんでもないと言わんばかりにブンブン首を振る。
「ダメっ、いっぱい人いるから、、、」
と言い終わらないうちにギュッと手を握られ、つくしはパニックに目を見開いた。
「ちょっと、、、!」
「ん~、聞いただけで言うとおりにするとは言ってないじゃん?」
「、、、、、あんたは一休さんか!」
「あはは、誰それ?違うと思うけど。」
「___もう~しょうがないんだから、、、」
この司には強気に出れないつくしはなすがままにカフェテリアを後にするしかなかった。
女子たちの悲鳴と苦しい視線を一身に浴びながらも。
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~ Comment ~
shouko様(*^_^*)
コメントありがとうございます(*^_^*)
やーん、そうなんですよね、、しばらくつくしには試練が続くようでございます笑
まだ司の記憶を戻そうか、このままシリーズ化は迷い中。笑
今の司はある意味ちゃらんぽらんに?もみえますが、根本は変わらず牧野一筋!ですのでご安心を~♪
多分次回かその次が山場かな?
がんばりますw
やーん、そうなんですよね、、しばらくつくしには試練が続くようでございます笑
まだ司の記憶を戻そうか、このままシリーズ化は迷い中。笑
今の司はある意味ちゃらんぽらんに?もみえますが、根本は変わらず牧野一筋!ですのでご安心を~♪
多分次回かその次が山場かな?
がんばりますw
- #412 いよ
- URL
- 2015.02/22 20:46
- ▲EntryTop
さとぴょん様(*^_^*)
コメントありがとうございます。(*^_^*)
そうなんです、合体F4 総二郎&あきら という女ウケの限りなく良い部分を全面に押しだし(笑)つくしちゃんに対しては花沢類を更に王子様に近づけたかのような対応で、、、笑
女の子の憧れが詰まった司坊ちゃん仕様となっております。
一方のつくしちゃん、なかなか今はかわいそうな状態ですかねえ笑
この物語、言い換えれば、つくしちゃんの「嫉妬嫉妬アンド嫉妬、時々束縛」物語だったりもします。
こんな可愛いつくしちゃんなかなか書けないので!楽しく楽しく書かせてもらってます!笑
司、あまあまでれでれらぶらぶ、状態ですよね笑
こんな状態の司ですがあくまでつくし大好き!つくし一番!つくし命!なところだけは変わっていないので、つくしちゃんの心配は杞憂といえば杞憂なのかなあ、、、
でも今までが今までなだけになかなかねえ、、、笑
五回も繰り返して読んで頂けてるなんて頭の下がる思いでございますほんとに笑
あとどれくらいかな~長くても5話くらいかな~とは思ってますが笑
要望があればシリーズ化も考えたりもしてます。
今月中にはギリギリ終わらないかな~と思っていますが、よろしくお願いします♪
そうなんです、合体F4 総二郎&あきら という女ウケの限りなく良い部分を全面に押しだし(笑)つくしちゃんに対しては花沢類を更に王子様に近づけたかのような対応で、、、笑
女の子の憧れが詰まった司坊ちゃん仕様となっております。
一方のつくしちゃん、なかなか今はかわいそうな状態ですかねえ笑
この物語、言い換えれば、つくしちゃんの「嫉妬嫉妬アンド嫉妬、時々束縛」物語だったりもします。
こんな可愛いつくしちゃんなかなか書けないので!楽しく楽しく書かせてもらってます!笑
司、あまあまでれでれらぶらぶ、状態ですよね笑
こんな状態の司ですがあくまでつくし大好き!つくし一番!つくし命!なところだけは変わっていないので、つくしちゃんの心配は杞憂といえば杞憂なのかなあ、、、
でも今までが今までなだけになかなかねえ、、、笑
五回も繰り返して読んで頂けてるなんて頭の下がる思いでございますほんとに笑
あとどれくらいかな~長くても5話くらいかな~とは思ってますが笑
要望があればシリーズ化も考えたりもしてます。
今月中にはギリギリ終わらないかな~と思っていますが、よろしくお願いします♪
- #413 いよ
- URL
- 2015.02/22 22:11
- ▲EntryTop
桜餅様(*^_^*)
光栄なコメントありがとうございます(*^_^*)
や~そうなんですよ!つくしちゃんのヤキモチに1人で萌えております。笑
確かに、つくし限定ではなく、すべての人に神対応の司ですからね。笑
どこぞの王子様だよって。笑
いいですねえ束縛彼女、そくばっきーつくしちゃん。笑
う~ん、言いそう。そのシチュエーション。w
デート中も、「あっ、いまあの女の人の方見てたでしょ!いつもキョトキョトして!」「ちょっとでも他の女に気を許したらほっぺ思いっきりつねるんだからね!痛いんだから!」とかwww
相当かわいいかもしれない。笑
まずはバレンタインデーで一波乱ありそうです。笑
次回の更新もお楽しみに!!
や~そうなんですよ!つくしちゃんのヤキモチに1人で萌えております。笑
確かに、つくし限定ではなく、すべての人に神対応の司ですからね。笑
どこぞの王子様だよって。笑
いいですねえ束縛彼女、そくばっきーつくしちゃん。笑
う~ん、言いそう。そのシチュエーション。w
デート中も、「あっ、いまあの女の人の方見てたでしょ!いつもキョトキョトして!」「ちょっとでも他の女に気を許したらほっぺ思いっきりつねるんだからね!痛いんだから!」とかwww
相当かわいいかもしれない。笑
まずはバレンタインデーで一波乱ありそうです。笑
次回の更新もお楽しみに!!
- #414 いよ
- URL
- 2015.02/22 22:21
- ▲EntryTop
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