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中編

やさしくするよりキスをして 11

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「あーあ」

バカみたい、と1人宙にポツリと漏らす。
つまんないことで癇癪起こして。拗ねて。司を困らせて。
それでもどこかで司は自分を探して追いかけて慰めてくれるんじゃないかと期待して。
ブラウニーを食べ終わる頃に残ったのは、かすかなほろ苦さと、どうしようもない胸の痛みだけだった。
腕時計を見れば、出るはずだった講義がきっかり終わる頃で。
わざわざ講義をサボって寂寥感に苛まれて、、、本当に一体自分は何をしているのか。
さすがにもう戻って次の講義に向かわなければ、と思い立ち上がるとガタンと音を立てて足音共に扉の開く音がした。

「類?」

なんとはなしに、パッと顔を上げると意中の人物はそこにはいなく。

「悪かったな、俺で」

少しむくれ顔で司がつくしの横に腰掛けた。
ふとつくしが彼を見ると、額にはうっすらと汗をかいているし、呼吸も荒かった。

「、、、走ってきたの?」

つくしが聞くと、司は少し睨め付け答える。

「、、、牧野がどこに行っても捕まらないからだろ?
携帯も繋がらないし。
お前の家まで走って戻ってきて、校内あちこちかけずり回って、ようやく見つけたと思ったら、お前の第一声が『類?』なんて、ホント脱力するって、、、」

「、、、も、もうっ、、、相変わらずストーカーなんだから。
ちょっとほっといてって言ったのに」

「、、、ストーカー?そんな言い方ないだろ。俺はお前の為に一生懸命、、、」

「その恩着せがましいところがむかつく。
あたしの為に一生懸命、なんて頼んだ覚えないんだけど」

何を言うあたしの口っ、と思いながらも、身勝手な口は自分の意思に反して意地悪なことばかり吐いてしまう。
バカバカバカ、そんなこと一つも思ってないじゃん~!と思いながらもいじけた口調はどうにも修正できない。

「何だよ、その言い方」

さすがの司も少し頭にきたのか、苛立ちを露わにする。

「そのままの意味でしょ。
あたしなんかに付きまとわずに、チョコくれた子たちといちゃいちゃ楽しくやってればいいじゃない。」

なんでこんなに意地の悪いことばかりがポンポン思い浮かぶのだろうとつくしは自分に嫌悪さえ覚える。
第一、 女の子から適当にチョコを受け取っておけと司に言ったのは自分じゃないかと心の声が自制する。

司は、盛大に溜息を吐くと、

「、、、わかったわかった。
牧野が怒ってるのはもうわかったよ。
機嫌直して?ね?頼むよ、こんな日にケンカはやめよ」

とつくしをいさめる。
しかし、その宥め方がいかにも、という子供扱いだったのでついにつくしは沸点に達した。

「だからっ、自分は何もかも理解しているみたいな言い方がむかつくんだってば!
勝手にしてって言ってるんだから勝手にしてよ!
あたしだって勝手にするからっ!別に道明寺じゃなくったっていいもん!」

「、、、俺じゃなくたって?それ、本気で言ってるの?」

口調は柔らかかったが、怒りは抑えきれていなかった。
静かに怒りを湛えられるくらいなら怒鳴られた方がまだマシだとつくしは思ったが、ここまで来て引き下がれる彼女でもなかった。

「何よ、そんなにおっかない顔したって無駄なんだからね。
あたしにだって言い分が、、、」

「、、、言い分って、なに?」

「道明寺はあたしに言われたからって、そんな、、、前の道明寺はあたしに言われたからって女の子からチョコを受け取るような男じゃなかった!
この際だから言わせて貰うけど、今の道明寺は道明寺じゃないよ!
女の子に軽々しく挨拶したり、ナンパみたいに褒めそやかしたりもしなかったし、プレゼントだって何だって受け取ったことなかったもん!あたしは、、、あたしは前のあんたの方がよっぽど大好きだった!
何でこんな風になっちゃったのよっ」

言ってしまった、瞬間、苦い後悔が口の中に広がる。
目の前の司が一瞬にして、怒りではない、傷つけられたような顔になったから。

「、、、そっか。」

ポツリと司が呟いた。
慌てて『今のなし』と言い直せる自分がどこにもいなくて。見つけられなくて。

「そうか。」

傷ついた司の顔に、『今の嘘、ごめんね』、って謝る勇気がなくて。

「わかった。じゃあ、、、勝手にすればいい。
牧野のしたいようにすればいいんじゃない?」

軽蔑したような言葉がストレートに胸に響いて、息苦しさが増した。

「い、今のは、、、」

「俺が何してても関係ないんでしょ?だったら俺も勝手にするから。こっちも牧野が誰とどうしてようとどうでもいいし」

ようやく出た弁解の言葉にも耳を貸さずに、司はさっさと非常階段を後にする。

「前の俺みたいになれなくてごめん。でもお前も、もう無理しなくて良いから」

出て行く間際に、何の感慨もない、形式だけの謝罪を残して。


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