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「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 33

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「、、、、いい加減にしろよ、雫。もう十分だろ?お前、まさかまだ買うつもりかよ」

若者の街、原宿表参道。
女の買い物の長さに呆れを通り越して苛立ちを感じ始めている男の手には大量の購入済みブランド品。
つくしのお気に入りのブティックを転々と連れ回され、挙げ句の果てにはランジェリーショップでの視線が痛かった。
荷物持ちにしたって限界があるだろうと痺れを切らした司は不満たらたらだ。

「だって街来ることあんまりないから、いろいろ見たいじゃん。
、、、じゃあ、私、もう帰る」

罪悪感の欠片もないつくしがケロっと言った。
2人きりのデートとはいえ、そこは道明寺・城宮財閥両家の子女だけあって、SPとその他取り巻きはそこら辺にいるのだから、荷物くらいどうってことないのだけれど、、、それもムードがぶち壊れると司の苦言によりそうはしないわけで。
まったく、我が儘坊ちゃんなんだから、とつくしは心中溜息を吐く。

「ストップ。わかった。わかったから、機嫌直せって」

殆ど初めてに近い外でのデートで本当に速攻帰られちゃまずいと慌てて司が取り繕う。
つくしにしても司の操縦法なんかはお手の物。
本当に帰る気なんかサラサラなかったが、「司君が私に口答えなんて生意気」とちょっと困らせてやりたかったのだ。
チラリと扇情的な眼で誘惑するように上目遣いをすれば、司の機嫌が直ることだってとっくに知っている。

「、、、他にどっか行きたいとこないの?買い物ばっかじゃ飽きねえ?」

「え~、、、行きたいとこか~」

「、、、腹とか減らねえ?この辺なら適当なイタリアンでも___」

「、、、あ、、、じゃあ、ずっと行ってみたかったとこあるんだけど、そこでもいい?」

自分より25㎝身長の高い男にニコッと微笑んで、腕を絡める。
これだけで、隣の俺様男は自分の為に何だって叶えてくれるのを知っているから。









「お前の行きたいとこって、、、」

「うん、ゲームセンター。前から来てみたかったんだ」

それは嘘偽りのない事実だった。
生きるために、食べるために、ゴミ箱やなんかを漁っていた当時の自分には、学校帰り何も考えず、明日食べるもののことも、どう生きてくかも気にせずに、楽しそうに遊んでる学生が羨ましかった。
友達と笑い合いながら、買い食いしたり、寄り道したり。
身体を売って、心を売って、金になるものがどこかに転がっていないかと底辺を彷徨っていた自分にとって、、、それは夢のまた夢の世界。
毎日を『普通』に、でもアングラの中の自分にしてみれば、いつだってキラキラしながら生きていたのは、必ず自分と同じ年代の中高生だった。
あんなやつら、みんな地獄に堕ちればいいんだと本気で呪わしく思っていた自分がいかに幼かったことか。
貴之に引き取られてからは、完全に籠の中の鳥もいいとこで。
永林にいるお嬢様・お坊ちゃま方がゲームセンターに足を運ぶなど有り得ないことで、寄り道して歩きながら何かを頬張るなんてもっと有り得ないことだった。
本当に、、、自分の人生は明と暗、、、どちらかしかないのかと、両極端な自分の人生に苦笑する。

「こんなとこガキの遊び場じゃねえか______って、お前も一応ガキか」

屈託無く笑うつくしに、司は初めて彼女の年相応の顔を見たかもしれなかった。
やはりどこかで彼女を雫ではなく『牧野』と重ねてしまう瞬間があって。
城宮雫はあくまでまだ少女のままで、ただの一介の女子高生だと言う事実を時々忘れてしまう。

「あ、ねえ司君。私、あのぬいぐるみほしい」

つくしの指した先にあるのはにんじんを抱きしめた白ウサギのぬいぐるみ。

「、、、これ、値段提示されてないね、、、時価?店員とか呼ぶの?」

何の気なく、店員を探そうと周りを見渡したつくしに、どれだけ世間知らずなのかと司が少し笑った。

「バカ。あれ、クレーンゲームってやつだろ?、、、ほら、あそこに金入れて、機械動かして自分でとんだよ」

「ふうん。、、、あ、ほんとだ。、、、500円?どうしよ、現金なんて持ってないな~、、、司君、ある?」










「わ~!すごい司君!やっとだね~」

自分はもうこれ程の500円硬貨を見ることは再びないだろう、、、と何万円かを両替し、あらかた注ぎ込んだ末、ようやくつくしの望み通りのぬいぐるみをゲットした。

「こんなん、別にいくらでも買ってやんのに、、、」

疲れ果て、愚痴の一つも溢すと、つくしの手にある白ウサギの耳がもげかけていることに気付く。

「、、、なあ、それ、不良品じゃねえ?耳取れそうだっつって、取り替えてもらうか?」

「え~やだ。耳が取れそうだから欲しかったんだもん。ダメ。絶対これ持って帰る」

抱きしめるうさぎにぎゅっと力を込め、つくしが軽く睨む。
はあ?意味わかんねえ、と率直な感想を漏らせばつくしの機嫌を損ねかねないので、司は黙って納得するふりをする。
まったく女は、、、ことに、この女の考えることはさっぱりわかんねえと内心辟易しながら。

「まあ、お前が満足したならそれでいいけどよ。、、、時間かかっちまったし、もう出るか?」

「ん~まって。まだ物足りない」

「、、、は?まだ?」

「あ、見て、モグラ叩きだって!司君やってみる?」

「、、、いや、やんねえだろ」

「じゃあ、私やってみる。ここにこうして、出てきたら叩けば良いんでしょ?」



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asuhana様(*^_^*)♪

毎日コメント下さって光栄です♪
そうなんですよ!司君、すっかり雫にメロメロで、翻弄されまくっちゃってます。
クレーンゲームなんてやったことのない司でしょうから、相当の額を注ぎ込んだようですね。笑
つくしの記憶は結構後になりそうですね~(T_T)しばらく司×雫続きますがよろしくです。笑
早く司の記憶を見つけて欲しいのに、、、!笑
明日0時からの更新お楽しみに(*^_^*)!

さとぴょん様(*^_^*)♪

そうなんですよね、、、城宮雫は壮絶な孤独を抱えて、たった一人で闇を彷徨ってた少女で、貴之に引き取られてからはじょじょに人間らしい感情も出てきましたが、心の暗さはなかなか完全にはぬぐえないので。
司、はっきり言って思い切り雫とつくしを重ねてますね。
でも彼の場合はつくしの身代わりで雫と一緒にいる、、、というよりは雫のことも愛しているので、貴之のそれとは少し違ってますね。
つくしと雫が同時に現れたらどちらを取るのかすごく気になります。
ぶっちゃけ同一人物なのでそんなことはありえないんですが。笑

耳がとれかけのウサギが楽しい中でも孤独を抱えている雫の心の暗さでしょうね。
彼女の闇も、深いです。
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