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「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 34

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どうやらつくしはこのゲームを大層気に入ったようだった。
通算何回目かのモグラ叩きに、どっかで見たような光景だとやや脱力する司をよそに、つくしはもう1ゲームしようとコインを投入した。

「、、、、おい、雫。もういいだろ、出ようぜ」

「あ~スコアすごい!達人だって!」

___聞いちゃいねえ、この女。

普段つくしには至極温厚な司が青筋を立てる。
それでも機嫌を損ねないように、それほどは彼女に対して強くでれない自分のなんと情けないことか。
いつのまにか人だかりも出来てきたくらい、ゲームに没頭するつくしと、それに呆れる司が注目を浴びているというのに、彼女の方はまったく気にならないようで。

「次は何しようかな~」

などと本当に楽しそうな、そしていつものような冷めた笑みでも、貼り付けた笑顔でもなく、心から楽しんでる彼女に、次第に司も、もう気が済むまで好きにしろよ、と諦めの境地に達してきた。

「ねえ、これ2人用だって。司君もやろ?」

「、、、死んでもやんねえ」

「あ、あれは?パンチングマシンだって」

つくしが指したパンチングマシンに、過去の、、、あの雨の日のつくしとの最後のデートがフラッシュバックする。
そういやあ、、、と司は考える。
あの日の自分は人生の中で間違いなく一番幸せだった、と。
2人でカフェに行き、ゲームセンターで遊んで、他愛のない話をして、そして、、、最後には初めて彼女にキスをされた。
言い寄っては冷たくあしらわれ、拒絶されても欲しつづけた女からの、ちょっと乱暴なキスはたまらなく自分に幸福の感情を纏わせた。
自分は一体いくつなのかと自問するほど、ただ触れるだけのキスにドキマギして、ひたすらに幸せで。
その数時間後に地獄に突き落とされるとは思いも寄らずに、浮かれて、舞い上がってた。
ゴミ同様のものとして彼女に捨てられた、あの雨の夜を思い浮かべずにはいられない。
ああ、と今でもたまに思い浮かべる光景。
彼女に好きと言えばよかった。
みっともなくても、格好悪くても、彼女に縋り付いて、行かないでくれと言えばよかった。
彼女と居なければ幸せになれない、彼女だけがいれば自分は最高に幸せだと知っていたはずなのに。
、、、、それでも、彼女は自分をあくまでも残酷に振って、どこかへ消えてしまったのだろうか。
現実は何も変わらなかったのだろうか。
なんとなくそんな気もする。
自分と友人を天秤にかけて自分を選ぶほどには彼女に好かれてなかった。
そんなことはどこかで自覚していた。
彼女はいつだって自分には残酷で、だからこそ愛おしくて。
なんて、過去の想いに取り付かれそうになるのも、つくしと瓜二つな雫とともに、過去の似たシチュエーションに置かれているからに過ぎないのも、わかっていたけれど。

「、、、司君?どうかしたの、、、?」

無意識のうちに見つめ続けていたらしい雫と目があって、ハッとする。

クリクリの大きな瞳。

小作りでかわいい鼻。

ぷっくりとした桜色の唇。

見下ろすには首が少し痛くなるほど小さい身体。

守りたくなる華奢なつくり。

何もかもが、自分が惚れた牧野つくしそっくりで、それなのに城宮雫はなぜかまるで別人だった。
時としてつくしか、雫。
自分はどちらを愛しているのかまったくわからなくなる。

「つかさくん、、、?」

怪訝な顔で自分を見つめる雫を、愛おしいと思う。
心から、そう思う。
つくしの顔貌にそっくりで、身体のつくりも、声までもが似ているからそう錯覚しているに過ぎないのかがわからなくなるだけ。

「、、、お前は可愛いな」

不意に愛おしさが込み上げて雫の頭を撫でさすった。

「、、、どうしたの、急に」

「、、、なあ、俺のこと呼び捨てにして」

「なんで?」

「いいから」

「、、、司?」

「どっちかっつうと、名字の方がいい」

「、、、、、、道明寺」

「そのまま、『大好き』って言って」

「、、、はあ?、、、意味分かんない」

「いいから、早く」

怪訝な顔はそのままに、司を見上げる。

「、、、道明寺、大好き、、、?」

、、、言われた瞬間、司自身でも予想だにしなかった、衝撃。
過去に浸って、ちょっとした悪ふざけで言わせた子どもじみた愛の文句。
それなのに、こんなにも、、、胸が打たれる台詞だとは思いも寄らなかった。
あの日のつくしから、自分の欲しかった言葉を言われているようで、、、自分でもハッキリわかるほど頬が熱くなる。

「司君、何赤くなってんの。キモいんだけど」

「キモいはねえだろ、キモいは。生まれてから俺はそんな台詞、お前以外の女に言われたこと_____って、聞いてねえのかよ」

自分の話には一欠片の興味もなくなったとでも言うように、コインを投入口に入れるつくしのマイペースさに溜息を吐く。
次の行動が読めない彼女だからこそ、おちおち過去にも浸れずに、健全に雫だけに振り回されているのだから、それはそれでいいのだとも思うが。











「ゲームセンターなんて、行ったの初めて」

ひとしきりゲームをやり尽くし、遊び疲れたのか、もう飽きたのか、もう他の所に行こうと提案したつくしが、司に笑いかけた。

「そりゃそうだろ。お前みたいなのは特に」

「どうせ、司君もでしょ」

「、、、いや、俺は前も1回だけな」

「うそ。道明寺のお坊ちゃんのくせに?」

「坊ちゃん言うな、この」

司がつくしの頭を軽く叩く。
ちょっと笑ってかわした彼女に、ますます愛しさが募った。

「今日は、ありがとうね。うさぎも、大事にする」

「ああ。、、、このままホテルでも行くか」

「そうだね。さすがにお腹、空いてきちゃったし。、、、あ、、、あれ」

つくしの視線の先には2人の部活帰りの女子高生。

「、、、ねえ、司君。私、あれ食べてみたい」

「なに?」

「あの、、、女の子たちが食べてるやつ」

つくしの視線の先には生クリームを何かの生地で包んだ可愛らしい食べ物。

「、、、いいけど、あんなん、どこに売ってんだ?」

「、、、あの、女の子たちが並んでる、あそこじゃない?」










「、、、信じられない司君。
順番くらい守れないの?あんなに小さい子たちだってちゃんと並んでるのに」

前に並んでる高校生カップルに、開口一番「そこどけ」と威圧した司を叱咤する。
そりゃあ、牧野つくしならともかく、城宮雫なんてのは生粋のお嬢様で、行列なんかに並んだこともなければ、その手の一般常識なんぞはさして把握していなかったが、さすがに、近づくなオーラを出している凶悪な顔の大男のせいで後列の人たちに注目を浴びているこの立場は少し恥ずかしかった。
実際高校生たちは蜘蛛の子を散らすようにどこかに行ってしまい、つくし自身も並び直すのは面倒だとそのまま列には割り込んでしまっていたが。

「別にいいだろ。並ぶなんてかったりい」

自分もこの男には大概我が儘で結構嫌な女として振る舞っているが、こいつの俺様は筋金入りだとつくしは思わず感心する。
、、、こういうところに躊躇がないのが、本物と偽物との違いなのかな、なんて心の中では思いつつ。

「、、、もう、常識ないんだから」

「とか言ってちゃっかりお前も割り込んでんだろうが。」

「あ、、、順番来たよ?何にするの、司君」

都合の悪いことには完全無視を決め込んだつくしが、メニュー表を見せながら司に訊いた。


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asuhana様♡


いつもありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))!
ほんといつになることやら、、、笑
ドキドキですか?笑わたしも別の意味でハラハラ笑
すごく長引いちゃいそうで(笑)

雨の日のエピソードほんとに切なくて読み返しても胸が痛くて、、、
このふたりには幸せになって欲しい!ですね!がんばります笑

さとぴょん様♡

ありがとうございます、嬉しいです(∩´∀`∩)
ゲーセンは彼にとってもある種のトラウマじゃないのかな〜なんて、思ってもいるんですけどどうでしょう?笑
私は友達と天秤にかけられて仕方がなかったとはいえあの時のつくしはもっと別のやり方もあったんじゃないかなってすごい思って。
彼にしてみれば幸せの絶頂で捨てられたも同然ですからね。
あの時のつくしの選択は間違ってないまでも正しくもなかったんじゃないかなって司の肩を持ちたくなっちゃいます(笑)
そうなんですよね〜!
悪女に弄ばれる可愛いカレもなかなかキュン
いや、城宮雫は間違いなくわっるい女ですからね〜
だからこそハマって溺れて虜になってくんでしょうね
雫の方はいまのところ少しも坊ちゃんのことは好きじゃないんですけどね(笑)
次の次からは過去編です!
ぜひ!楽しみにしてください♡/
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