「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 35

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「、、、食べないの、それ」

いちごスペシャルクレープキャラメルソースがけとかいう、司にしてみれば字面だけで若干気分が悪くなるようなそれを食べ終えたつくしが司に問う。
司の方も自分が食べる気はサラサラなかったのだが、一口食べたいからそれも買ってとねだるつくしのために仕方なしに買わされ、それでもやはりとても口には入れられずに持て余していた。

「、、、お前、食わねえの?本当に一口だけかよ」

「うん。だって太っちゃうじゃない」

うちの先生厳しいんだから、と礼儀作法を教えに週二回ほど城宮家に来るというマナー講師の愚痴をこぼし始める。

「俺なんかもっといらねえっての」

「今時甘いもの苦手な男子なんて古くない?ほら、一口くらい食べなよ」

「うるせえ。大体お前が買わせたようなもんだろうが。ちょっとくらい責任取れ」

「どう責任___わっぷ」

言い終わる前に、口の辺りに軽く突っ込まれ、不意打ちの生クリームにたじろく。
予期していない甘さが口の中に広がり、なんとも言えない気分。

「、、、ちょっと、いきなり何すんのよ」

「やべ、お前のその顔すげえエロい」

ぶっかけられたみたいで興奮する、とか何とか言って、顔のクリームをなめ取るように、貪るようなキスをされる。
自分でクリームをつけておきながら自分で舐め取る、倒錯的な行為。
あ、気持ちいい、、、、
どうしてだろう、司君のキスだけは、お父様のそれよりもずっと気持ちいい。
ふんわり諫めるような子どもっぽいキスだけで、もう自分の官能は疼き始めて。
自分から舌を入れて、おねだりする。

「ぁ、、、、ん、、、っふ、、、、んん」

歯列をなぞって、何度も角度を変えて深くなっていくキスに次第に身動きが取れなくなった。
送り込まれる唾液を懸命に飲み込む。
舌先で絡め取られ、吸われるたびに、淫猥な音が響いて、それが更につくしの官能を高めた。
足が少しだけ震えてきて、司に寄りかかると、優しく背中を撫でてくれる。
どうしよ、、、気持ちいい、、、
空いてる右手で胸を揉まれると、先端が尖りはじめていたのがバレていて、悪戯につままれた。

「、、、、や、、、はぁ、、、、」

もう、ダメ。
我慢できない、、、と思ったところで、ふわりと解放された。

「もうやめちゃうの?、、、もっとして、司君」

「、、、これ以上やるとさすがに抑えきれねえ。
つか、お前クリーム取れたのにエロい顔のまんま。
感じてんの?」

したり顔の男がやけにむかつく。
司君のくせに生意気。

「ん、濡れちゃった」

仕返しのつもりであっぴろげに言うと、女がはしたないこと言ってんなよ、と叱られちゃった。
唯我独尊俺様男、、、と悔しいからジト目で睨み付ける。












「、、、、、今日は楽しかった。ありがとう」

ホテルで夕食も済ませ、会員制のバーに連れられ、一通り酔わされたところで、今日のデートは終了。
私を送るからとアルコールは摂取しなかった紳士君に、チュってキスをしてあげた。

「ああ、お前が楽しかったんなら何でもいいんだけどよ。、、、もうゲーセンは勘弁な」

最後の一言を少し苦々しく付け加える司君が可笑しい。
絶対また連れてってもらおうと、腕の中のうさぎの人形をぎゅっと抱きしめた。

「じゃあ、俺帰るわ。来週からはしばらく出張続きだけど来月は時間とるから、お前も空けとけ」

「、、、うん、気が向いたら」

私の余計な一言に、ほんとしょうがねえ女、と頭を撫でられた。

「寒くなってきたから、身体気をつけろよ。夜遊びとかも絶対すんじゃねえぞ。俺以外の男にホイホイついていくのも禁止。わかったな?」

「、、、お父さんとかいたら、こんな感じなのかな」

私の小さな呟きは彼の耳には届かなかったみたい。
なんかいったか?とちょっと屈んで私に合わせてくれる彼に続ける。

「、、、司君ってさ、そんなに私のこと大事なの?」

「、、、そりゃ、、、大切にきまってんだろ。俺はお前が好きなんだから」

恥ずかしげもなくしれっと言う司君の余裕に、、、ちょっとだけ悪戯心が沸いた。
何もかも洗いざらい話してしまえば、彼はこんな女は願い下げだと逃げ出していくのだろうか、と。
でも、恐らくはそうならないであろう自信が、僅かながらあったのだ。
こんなに早くネタバレしてしまえば、貴之は怒るだろうが、いつかはバレること。
彼のその、、、自分を全部理解しているという錯覚を、壊してしまいたかった。

「変なの」

「、、、何が」

「私のことが大切なんて、変だよ司君。
私って、本当はすごく汚い女だよ?
、、、お金のために食べるために、汚いことでも、犯罪まがいなことでも、なんでもやった。
身体売って、そのお金でしばらく暮らしていたことだってある」

今し方つくしに言われたことが信じられないとでも言うように、司が目を瞬かせる。

「、、、ふふ、そっか。司君はアメリカ帰りだからまだ知らないんだ?
日本の社交界じゃ結構有名なことよ。
城宮財閥の社長は、金で自分よりも一回り年下の女を愛人にしてるってね。
誰も私とお父様が戸籍の上でも父娘だなんて、信じてない。
、、、私、本当は、お父様の実の娘でもなんでもないしね。
戸籍上は確かにそうなっているけど、ただの養女。
いくら取り繕っても育ちの悪さは誤魔化せないもん、、、とっくにばれてるかと思った。」

「、、、養女?どういう、ことだ?」

司君の声が少し低くなる。
怪訝そうな顔は、たったいま初めて私の顔を見たかのようだった。

「そのままの意味。
だから私なんか、あなたみたいなお坊ちゃんに大切にされる存在でもなんでもない。
この家に引き取られた4年前からずっと、、、偽物の自分が疎ましくてしょうがなかった。」


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asuhana様♡

毎回コメントありがとうございます(∩´∀`∩)
真実に近づくどころか雫ちゃん全部暴露しちゃいます。
過去編はどうもダークヘビーな彼女多めで、、、笑
執筆もなかなかしんどいんですが、ぜひお付き合いして下さい♡(●´ω`●)

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さとぴょん様(*^_^*)♪

キスシーンセクシーだったということで♪
なにせR描写の苦手な私なので、キス 小説 とかで検索してwネット小説のキスシーン、Rシーンを読みまくり試行錯誤を繰り返しておりますので、そういったお言葉とても嬉しいです。
そうなんですよね~
司君、雫に翻弄されていてメロメロなのはまあ間違いないんですが、やはり『好き』を伝えるのに何の抵抗もない純アメリカ人のような彼ですからね^^
愛情表現はまっすぐに、ストレートに、雫と巡り会ったことで当初は沈んでいた彼も原作よりに修正しつつ今に至ります。
その辺の変化を感じて頂けたら幸いなんですが、いかんせん文才がないので、、、笑

過去編は本当心臓の強い方だけ読んで頂けたらっていうおもいだけで書いています。笑
でも 愛さずには~で免疫のあるうちのサイトに来て下さる方は心臓お強い方が多いと思うので、なるべくコンスタントに、丁寧に描写していきたいと思っています。

さとぴょん様のコメントは想像力が膨らみますホントに!いつもありがたいです。
次の更新は甘甘短編なので、充電しつつ亜門×つくしに備えて頂けたらと思います!
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