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「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 37

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「お前って、処女?」

亜門にとって私はペットに近い存在だったらしい。
お腹が空いたと言えば食事が出されるし、付き合ってる女の人のお金で大抵の生活必需品は買い与えてくれた。
お風呂にも入れてくれて、私の髪の毛を渇かす作業がお気に入りだった。
そうして何日か経った、、、後のことだ。
彼に唐突にこんな質問をされたのは。

「、、、しょじょ?」

言ってる意味がわからなくて聞き返すと、クって笑って彼が教えてくれた。

「セックス、したことねえのかって聞いてんだよ」

セックス?
しばらく考えて、思い当たる節があった。
ああ、あれかって。

「、、、ないよ」

「じゃあ、キスは?」

悪戯っぽい顔で問う。
黙ってると、軽く引き寄せられて頬に、額に、瞼に、鼻の頭に。
最後は唇に。
ふわりと優しく口づけられた。

「こういうこと。したことねえの?」

「、、、、、、多分」

「もったいねえなあ。すげえ気持ちいいのに、キスも、セックスも。
しかも女はそれで、金も稼げる。
、、、覚えてみる気ない?」

「お金、、、?」

「ああ、、、お前の身体はそこら辺の大抵の男にとってはすげえ価値があんだよ。
5万、10万、もしかしたら何百万って価値をつけてくれるバカはそこら中に転がってるさ。
お前さえ割り切って、自分の身体売り物に出来んなら」

半信半疑だったけど、魅力的な話だった。
自分の身体が売り物に?
そんなの、考えてみたこともなかった。
それだけで、食べるのに困らない?
何も考えずに、生きていけるの?
自分に、自分なんかの身体にそんな価値があるなんて、にわかには信じられない。

「、、、お金、欲しい」

気がつけば口から出ていた。
その時、私はどんな目で彼のことを見ていたのだろう。
彼の顔色が少し変わって、キスをされた。
さっきの軽いものなんかじゃ、全然なくて。
貪るような激しいキス。
スルリと進入してきた感触に慣れなくて、息の仕方もわからないから、力任せに暴れたら解放してくれた。

「苦しい」

文句を言うと、また笑われた。

「お前って、こんな時でも無表情なのな。もっとあんだろ、顔赤らめるとか。」

彼の言ってることがよくわからなくて首を傾げる。

「でも、いいか。
大して感情のない女の方が、男には好都合だ。
、、、気軽に抱ける」











どのくらいの時間が経ったんだろう。
30分?絶対に一時間は経っていない。
私の『初めて』は何の感慨もなく、流れ作業のようだった。

「、、、気持ちよかったか?」

俺はすげえよかった、と何も身につけていない私を抱きしめてくれる。

「、、、ううん」

普通に痛かったし。
ちょっとは気持ちよかったけど、好きこのんでやりたいかと言われれば微妙。

「、、、買ってくれる人、いるかな」

「ああ。思ったより不感症でもねえもんな?
病気だけは気をつけて、はぶり良さそうな固定客見つけとけ」

「、、、亜門」

「ん?」

「、、、ありがとう」

初めて使った、この言葉。

「、、、ね、もう一回、しよ?」

「なんだよ、やっぱり気持ちよかったんじゃねえか」

「、、、ちょっとだけ」

そう言って、彼に向かって微笑んだ。
自然に口角が上がって、ああ、これが笑うってことなんだって。
誰かの体温はこんなにも温かくて、自分に価値があると言われるとこんなにも嬉しいものなんだ、と初めて知った。
何もかもが、彼に出会ってから『初めて』だった。



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さとぴょん様(*^_^*)♪

さとぴょん様のメッセ、いつも嬉しすぎます、感激です。
やはり過去編ともなるといったんつかつくから遠ざかってしまうので読者の皆様の反応も今ひとつになってしまうのかな、、、と思いきや変わらぬ熱量のさとぴょん様のメッセに感動でございます。
さとぴょん様のコメント、本当にいつも読むのが楽しみで何度も読み返してしまいます!
文章もとてもキレイでこんな文才?が私にもあればなあ、、、と羨ましくも思っております。笑

亜門がつくしを家に入れたのはぶっちゃけ、ただの興味、好奇心だと思います。

『お、ゴミバコ漁ってるガキってあいつ?
あれ、女の子じゃん?
まあまあかわいいじゃん?
反応おもしろいじゃん?
連れて帰ったら面白そうw』

ちょっと軽く書きましたが亜門のノリは大体こんなもんです。w
がっかりさせてしまったらごめんなさい。笑
原作でも暗さの中にもチャラいところもアリ、、、のような人なんで、つくしをこの状況から救ってくれるのは彼しかいないだろうなあと書き始めて当初から構想を練っておりました。
私の中で亜門はわりとイイヤツという感じで書いているのですが、亜門は悪い人なの?という読者の皆様からの指摘が多く、この先の描写に迷ってるところです。
あくまでも亜門はつくしにとっては命の恩人だと思っているので。
つくしも感謝こそスレ、恨んでなどまったくいないと思います。
あの時点で彼女のような生き方をしていてまともに仕事もなく、彼女に残されていたのは売りだけ。
悲しい事実なんですけれどもあの時点では誰にもどうすることもできなかったと思っています。

つくし、知らず知らずのうちに男を誘惑する術を身につけていたんですかねえ。
男にしてみれば堪らなく扇情的な目だったんだと思います。
亜門でも自制が聞かないくらいには。

亜門と出会ったことで間違いなくつくしは強くなりましたね。
貴之という人物を、心から愛せるようになったのも、恵への嫉妬という人間らしいまともな感情が抱けるようになったのも、すべて亜門のおかげだと思います。
彼が引き上げてくれなかったら、、、当然あの生活が続くはずもなく、もしかしたらつくしはどこかで死んでしまっていたかもですね、、、(T_T)

つくしが売りに手を出したのが金銭目的が大部分を占めているのはもちろんなんですが、さみしい、構って欲しい、温めて欲しい、という孤独を払拭したかった感情も当然あります。
泣く暇もないほどどん底で絶望の状況のなか、つくしにしてみれば亜門は間違いなく彼女の光であったと思っています^^
メッセージ、ありがとうございました!
さとぴょん様とのやり取り大好きです~(*^_^*)♪

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asuhana様♡

おはようございます(∩´∀`∩)
素敵なコメントありがとうございます!
しつこいなんて、とんでもないです!
いつも貴重なコメント、読み返させてもらって創作意欲を高めています(笑)
ホントにありがたいです!

いやあ、ほんとつくしにしてみれば記憶を失ってからの日々は試練の連続連続。
お金がなくて食べるものがなくて、家族も失い、彼女のことを愛してる司くんのことも忘れてしまっては頼れる心の拠り所も全くなくなってしまい、、、

彼女は彼女なりに、感情も不満足なままな状態でも寂しかったり辛かったり孤独感だったり、そういったものは人一倍敏感というか。
だから亜門を信用したのもホイホイついていったのも、要するには人肌恋しさなんですよね。
辛くて悲しい人生の中で亜門は唯一の救いで、温もりだったんだと思います。

これから先も過去編は綺麗じゃない描写の連続かと思いますが、気長にお付き合い下さい。(笑)
asuhana様のコメントも大好きですよ!♡/

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