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「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 42

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「、、、どういう、、、イミ?」

「そのままの意味。
二日間熱はさがらねえ、囈言っつうか、言ってることはいちいちめちゃくちゃで、なんか乗り移ってんのかと思ったし」

「なんていってたの、私」

「ん~、、、あんたの息子に縄つけて柱にくくっとけ、とか?
クソババアはこっから出てけ、とか。
今後一切誰々には近づきません、とか。
後、雨がどうたらっつってたな。
それも延々同じ事ばっかで流石に気味悪いっつうか。
一体どんな夢見てるんだよって」

「なにそれ、、、こわ」

ズルズルっとラーメンをすすりながら、特に緊迫感も無く言う彼女の「こわい」にどこかホッとした亜門が続ける。

「覚えてねえの?」

「覚えて、、、う~ん、、、ん~と。
なんかすごく頭とか痛くなって、それで、、、変なのがバアアって頭の中に出てきて、、、そして、、、」

「そして?」

「あとは、、、覚えてない、かも」

「へえ?あんな強烈な寝言だったのに覚えてねえもんなのな」

「、、、うん」

スープを一気に飲み干すと、つくしが特に気のない返事を亜門に返す。
それでもどこか、亜門の言葉に引っかかりを覚える自分も居て、ほんの少し混乱していた。
覚えていない。
それは嘘ではないけど100%本当なわけじゃない。
おぼろげなイメージは確かにあった。
自分と、男の人の夢。
幸せからどん底に突き落とされて、また初めに巻き戻って繰り返す。
同じ夢を延々見続けていた。

「、、、お前って、1回も聞いたことなかったけど、今までどういう人生送ってきたわけ?
まさか、初めからあんなんだったわけじゃないだろ?」

「、、、覚えて、ない」

ポツリと言った自分がどういう表情をしているのか、鏡で見なくともわかった。
病院で同じ事を何度も聞かれた。
考えれば考えるほど頭が痛くなって、イライラが募って、手当たり次第ものに当たったりもして。
段々と、ゴミ箱を漁って何か食べれるものはないかと探していた、つい最近の自分が戻ってくるようだった。
そう、、、、つい最近。
最早遠い昔のことのように感じてしまうけれど、どん底の人間がちょっとマシな位置に引き上げられたってだけで、あの頃の自分なんか殆ど目の前にいるようなものだ。
亜門と出会って薄れ始めていたあの時の焦燥感と虚無感がいっぺんに襲ってくる。
口の中が乾ききって、涙なんぞ流したこともないのに、目頭が勝手に熱くなっているような気がして、吐き気すら込み上げる。

「、、、忘れちゃった」

笑いたくもないのに、勝手に口角が上がって。
今の自分はさぞかし薄気味悪い表情になっているだろうと思った。
薄気味悪くて、暗くて、、、ただの乞食だったころの自分に嘲笑われているような気がしてたまらなかった。

「、、、そっか?まあ、そんなら、しゃあねえか」

つくしの異変を敏感に感じとった亜門が、彼女には悟らせないように何でも無い風を装い、優しく頭を撫でてやる。
まるでそれだけが、その温もりだけが、彼女を人間に戻す術だとでも言うように。
優しく。
温かく。

「亜門、、、」

つくしが、不意に頭を撫でる亜門の手を取り、自分の頬に寄せた。
それはさながら、親に甘える幼い子どものようで。

「抱き、しめて。ぎゅってしてて?おねがい」

ちょっと涙目になってる瞳に、上気した頬。
いつもは言うことを利かない気まぐれわがまま女のくせに、ひどく頼りなくて愛おしかった。
そして、、、不覚にも気付いてしまった。

___彼女のことを愛してる。
___愛している。

気付いてしまえば、引き返せそうもなかった。
突如沸き上がってくるこの苦しくて、反比例して起こる幸福感。
彼女を腕に閉じ込めて抱きしめられる幸せは、恐らく彼女自身の手によって、すぐに失ってしまうとわかっていたから、こんなにも苦しい。
知らず知らずのうちに自分の中から追い出した感情が、今いっぺんに自分におそいかかる。
愛おしくて、守ってやりたくて、でも彼女は俺に守られるのなんか真っ平ゴメンのはずで。

「ねえ、、あもん」

「、、、ん?」

「えっち、するの?」

「ばか。俺は鬼かよ。お前がさっきまで寝込んでたっつうのに、襲ったりしねえよ」

「、、、そっかあ」

「二日も寝込んでた割に元気だな、お前。
そんなに俺としたい?」

「亜門とするのが一番気持ちいいから、したい」

ちょっとイジメてやろうと冗談めかして言ったひとことに、無自覚に煽られれば後悔するのは自分だと言うことに、もっと早く気付けば良かった。
らしくもなく、自分が動物にでもなったかのように、このまま彼女を抱いてしまいたい衝動に駆られる。

「でも、やっぱいいや。
とりあえず、汗でベトベドだし、気持ち悪いからシャワー浴びてくるね。
いい?」

自分の返事を待たずに彼女はさっさとバスルームに向かう。
抱きしめている自分の腕をスルリと抜けて、その背中を見ていると、どうしようもない虚無感に侵される自分がいた。
彼女は永遠に自分には手に入らない存在だ、と。
何故かはわからないがそう悟った瞬間でもあったから。




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asuhana様♡

コメントありがとうございます♡
昨日は予告無しにスキップしてしまってごめんなさい(´;ω;`)
亜門×つくしはこのお話で終わりでしたがいかがでしたでしょうか?
金曜は必ず更新しますので気長にお待ちください(*´︶`*)

さとぴょん様♡


さとぴょん様♡
いつもコメントありがとうございます!
そうです、そうなんです、亜門×つくし偏はここまでで一旦終了という形で。
月曜日勝手に更新スキップしてしまってごめんなさい(´;ω;`)
とりあえず金曜日には間に合うように頑張りますので!
次回貴之×つくし
ようやくつかつくが少し近づいてきたかな?て感じなんですけどまだまだですかね。
気長にお待ちください(笑)

そうなんです!このつくし、簡単には泣けない女の子なんです。
記憶を失ってからも悲しくて泣いたことはないような、でもそれが強がりでそうしてるわけでもなく泣かない彼女がデフォルトと言いますか、、、
激動の人生の中彼女にはなく時間もそんなになかったと思いますしね。
泣いてる暇もなかったのだと思います。

亜門への平仮名攻撃も見納めでしたね(笑)
ホントに雫は気まぐれな猫みたいで可愛いんです。
これは世の中の男は誰でもメロメロになりそうな(笑)
原作のつくしちゃんもけっこう魔性の女ですからね〜

次回は多分!ちゃんと金曜日に更新する予定ですので、よろしくお願いします♪
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