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「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 46

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パリンっ ガシャンっ ガチャンっ

皿とグラスの割れる音。
先ほどから何度この音を聞いたか、、、。

「雫ちゃんっ、何度言ったらわかるの!?
ナイフとフォークはこう持つって、さっきから何度も説明しているでしょう!?」

グイ、と恵がつくしの手を強引に引いて、持ち方を教える。
さっきから同じやり取りが何度繰り返されたかわからない。
何が気に入らないのか、恵に言われたとおりのテーブルマナーは守れてるつもりなのに。
何度も強く握りしめられた手首は赤く腫れていて、おまけに恵の爪に引っかかれて血が滲んでいた。

「いい加減にしなさい、雫ちゃんっ!
あなたはそんなに頭が悪いの?
ママを怒らせないでっ!」

「、、、してるもん」

「、、、なにか言ったの、雫ちゃん」

耐えきれずに抗議の声を上げたつくしに、恵が眼を細める。

「さっきからっ!ずっと、あんたの言うとおりにしてる!!!おかしくないっ!なにもおかしくないっ!お腹が空いたのっ!!!好きに食べさせてよっ!
あんたなんか大嫌いっ!!!
お腹が空いた!お腹が空いた!好きに食べるっ!!!」

恵の手を勢いよく振りほどいて、ナイフとフォークはそこら辺に放り投げて、手づかみで目の前の肉を掴んで口に入れる。

「、、、ママのことが、、、、嫌い?」

恵の身体は怒りによって小刻みに震えていた。
頬が紅潮して、抑えきれない狂気はつくしへと向かう。

「、、、そんなの許さないわ」

言うが早いか、つくしの頬を思い切り殴って、衝撃で椅子から転げ落ちてしまう。

「ママがどれだけあなたのことを___考えて、、、考えてると思って、、、、、、____許さない。
そんな下品な食べ方も、言い方も、絶対許さないわ。
謝りなさいっ!雫ちゃんっ!」

その細い腕のどこにそれほどの力があるのかと勘繰ってしまうほど、恵の力は強くて、、、口の中が切れて、かすかに鉄の味を覚えた。
生理的な涙が出てしまうほどに目の前の女がたまらなく怖くて身震いしているというのに、意地になってもこの女に弱いところを見せて溜まるかとキッと睨んだ。
その目が気に入らなかったのか、もう一度自分を殴ろうと手を挙げる恵に、ぎゅっと目を閉じる。
予想された衝撃はなかなかやってこず、そっと目を空けると、、、、恵の腕を掴んで制止させていたのは、貴之だった。

「いい加減にしなさい、恵」

「何よ、今のは雫ちゃんが悪いのよ。雫ちゃんが、、、私の言うことを聞こうとしないから、だから私が___」

「雫、立ちなさい」

貴之がつくしの手を掴んで、優しく起こしてくれる。
殴られた頬をそっと撫で、労るように抱き起こされた。

「雫、お前は俺の書斎に。夕飯は改めて運ばせる」

「、、、貴之さん、あなたが毎回甘やかすからその子はそうなるんだわ。
私がちゃんと教育しようとしているのに、あなたが毎回口を出すから、、、この子はね、ちょっとくらい痛い目を見なきゃ、わからないのよ」

「、、、教育?俺にはそうは見えない。あんなに怯えて、、、あの子が、可哀想だ。
恵、お前も___少し頭を冷やしなさい」

貴之としては、怯えるつくしと、それでも気丈に振る舞おうとするつくしの瞳に、かつての恵を見たような気がして、いたたまれなくなったから、それだけの発言だったが、それでも、、、これら貴之の言葉たちは、つくしの貴之への崇拝を一層強め、、、彼の存在を確固たるモノにさせていた。









「ごめんな、雫。痛かっただろ?」

傷ついた頬と手首の傷跡を消毒し、器用にガーゼを当て、治療していく。

「お前には酷な事だとわかった上でのことだが、、、お前にとってはあいつって存在は怖くて、大嫌いかもしれないが、本人の前ではそう言わないでくれるか?」

「、、、ん」

「あれも哀しい女なんだよ。
昔は、、、雫の事が大好きで、俺以上に娘にはとことん甘くて、、、だから余計に、お前を雫と思い込もうとしているからこそ、娘とお前とのちょっとした違いが目につくんだろう。
だからあいつのことを、、、本心ではどう思っても構わない、だから___頼むから、嫌いだ、なんて言わないでくれ」

「、、、わかった。私も、、、、ごめんなさい」

「、、、何に、ごめんなさい?」

「頭が悪くて、、、ごめんなさい。
ちゃんと、、、でき、る、ようになるから。
テーブル、マナー?とか。いろいろ」

「、、、ああ。いや、、、恵はどうしてもお前に難癖をつけなきゃ気が済まなかったらしいが、それほど酷いもんじゃなかったさ。
それと学校での成績もそれなりにいいと聞いている。
あまり自分を卑下するもんじゃない。
お前は賢くて、イイ子だ」

だって、あなたの為に頑張ったから。
学校の成績も、マナー講師の授業も、何人かつけられている家庭教師にだってサボることなくみっちり教え込まれている。
捨てられたくないから。
もう二度と、誰にも捨てられたくないから。
少なくとも目の前のこの愛しい人にだけは、どんなことがあっても失望されたくないから。

「さ、お父様と一緒に、ご飯を食べようか。
俺もとてもじゃないけどまともに手をつけられなかったし、な」

とはやはり言えなくて、ストレートな彼からの褒め言葉は自分の頬を紅くさせることで落ち着いてしまう。

「あ、、、あの、、、おとう、さま、、、」

「うん?」

「あの、、、その、、、」

抱きつく勇気、は残念ながら出なかった。
けれど、彼の手をとって、自分の方に引き寄せてぎゅっとするくらいの勇気なら出た。

「どうした、雫。まだ怖いのか?」

「、、、うん」

って、そうじゃないけど。
この際そういうことにしてみれば、抱きしめてくれそうだ。

「ぎゅって、して?」

彼に抱きしめられて、背中を摩られて。
気付けばさっきまで冷え冷えしていた身体は芯まで温まって。
やはりこの男は麻薬のようだ、と。
最初にあったときとまるで印象の変わらない、自分にとっては唯一の人だ、と。
その思いはそれから先何年も変わることはないだろうと予感づけられた。






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さとぴょん様(*^_^*)

恵怖かったですかっ!嬉しいですっ!笑
恵ってあれですね。
つくしに対してはDV夫みたいな。笑
可愛がるときは可愛がるけど、機嫌が悪いときは徹底的にあたりが強いんですよ。
実の娘に対しては勿論こんな感じではなかったですが、何せ彼女雫が死んでしまったときに壊れかけていたのが崩壊したという感じですからね。
彼女の精神は既にボロボロで、殆ど心神喪失状態。
情緒不安定ですし、つくしにとっては相当怖くて不気味な存在の筈。
貴之も惚れた弱み+罪悪感で恵には強くでれないんです。
ある意味つくしは恵の生け贄のようなものですかね。
でもそんな状況の中かばってくれる初めて好きになった人、ですからね。
つくしにとっては初期の花沢類みたいな。笑
それはそれはのめり込みますよ。笑

つかつくにちゃんと移行できるかなあ。
つくしが司を好きになるまで道のりは遠そう。

がんばれ司君(>_<)!!

asuhana様♡

コメントありがとうございます♡
貴之×つくし切ないですよね!
一日も早くつかつくに移行できる日を祈って頑張るので!
よろしくです!

ホントにはやくつかつくに行きたいです(´;ω;`)笑
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