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「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 49

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目が覚めて、身体に感じるふとした違和感。
下腹部のあたりがズキズキと痛い。
身体中のあちこちに軽い痣が出来ていて、股に感じるぬるみに、妙な既視感も覚えた。
そう、まるで初めて男に抱かれたときのような感覚が身体中に纏わり付いているのだ。

「、、、、あれ?」

ボーッとした頭がしだいにクリアになっていって、天井が普段とは僅かに違うことにも気付いた。

「、、、あれ、、、痛い、、、?なんで___、、、あ」

言うなり昨夜の記憶が一気に蘇り、一瞬で顔が燃えるように熱くなる。
ほとんど一晩中、彼に抱かれた。
喘がされて、恥ずかしい事も言わされて、わけもわからないまま滅茶苦茶にされた記憶が脳裏で再生された。
初めてでもないのに感じる下腹部の鈍痛は、、、まあ、それだけ激しくされた身体が悲鳴を上げているのだろう。
、、、行為自体、久しぶりだしね。
ここ一年はずっとご無沙汰。
もう身体使ってお金稼ぐ意味もなくなっちゃったし。
そう言えば、一通りされた後にベッドに運んでくれたんだっけ。
ベッドでも、、、すごい格好をさせられたし、動物みたいな情交だったから、記憶は飛び飛びになっていたけれど。

「、、、雫?」

もぞもぞと体勢を変えようとしたつくしに気づき、引き寄せて後ろから抱きしめた貴之が声をかける。

「あ、、、ごめんなさい。起きちゃった?」

顔を合わせられないほど恥ずかしくて、昨夜は貴之を相手によくもまああんなに大胆で捨て身な行動に出れたもんだと自分に変な感心すらする。

「いや、けっこう前から起きてたけど、、、なに、恥ずかしいの?」

火照る頬を無意識のうちに両手で包んでいたつくしに、貴之が笑いかける。

「、、、は、恥ずかしい。て、いうか、、、なんか、まともに、、、顔合わせられない、、、です」

「昨日はあんなに大胆だったのになあ?」

「や、、、い、言わないで。言わないで言わないで言わないで!」

顔から火が出てしまいそうなほど恥ずかしいのに、からかってくる貴之に耐えきれずに、ガバッとシーツに潜り込んだ。

「はは、、、ヘンなやつ。今更、だろ?」

「だって、、、そうだけど、、、」

「、、、雫」

恥ずかしがって潜り込んだつくしを、シーツごと抱きしめる。
この感情は何なのだろう。
これも、一種の愛に近い感情なのだろうか。
不思議に、暖かな気持ちになった。
何年ぶりかに感じる、穏やかな気分。

「、、、俺、、、なんでお前みたいな女を好きになれなかったんだろうな」

「、、、え?」

「お前みたいに、、、俺だけを見てくれる女を愛せたら、、、時々思ったことだけど。
そうすりゃ俺も、もっと楽に生きられただろうって」

「、、、好きになればいいよ」

「ん?」

「私のこと、、、好きになれば、、、、そしたら、、、」

「、、、そしたら?」

面白そうに覗き込んだ貴之と目があった。
途端に先ほどまでの恥ずかしさが二倍になって自分に襲いかかる。

「////~~~~~っ、なんでもないっ!」

「、、、雫」

「、、、、、な、、、なに?」

「ありがとな」

聞いた瞬間、胸の奥がキュンとなった。
これほどまでに切ない、誰かの『ありがとう』を聞いたことがなかったから。
これは自分に対する切なさと言うよりも、貴之に対する憐憫だった。
貴之を決して愛そうとはしない、恵のことを恨めしく思った瞬間でもあった。
喉から手が出るほど欲しい貴之からの愛情を一身に受けている恵、、、どれだけの立場にあるのか、あの女は全然わかってない。
あの女は貴之からの愛をまるで当然のように享受して、彼の目の前で踏みにじっている。
自分にしてみればあまりにも羨ましくて、妬ましくて。
そして、、、何よりも、貴之が辛そうで、可哀想だった。
私の身体なんかじゃあ、これっぽちの慰めにもならないのはわかっていたけれど、、、癒してあげたいと思った。
愛する人から愛されない、酷く可哀想なこの人を、、、心から幸せにしてあげたいと思った。

「、、、お父様、みてて」

「、、、何を?」

「私は、、、城宮雫になってみせる。
お母様が大好きで愛して止まない城宮雫を、完璧に演じてみせる。
もう二度と、、、テーブルマナーにしろ、学校の成績にしろ、お母様の前では絶対ボロを出さないようにする。
私も、お母様のこと、二度と嫌いだなんて思いもしないようにする。
お母様のことを大好きになってみせる。
だから、、、見ていて、お父様」

自分が牧野つくしと決別したのは、今思えばこの時この瞬間が全てだった。
「完璧な」城宮雫に、、、なってみせると。
過去なんていらない。関係ない。
自分にとっては二度と必要ないものだ。
一人だって、一人で歩いて、一人で生きていく。
そんな逞しさは必要なかったのだ。
今までの自分が間違っていた。
男の人に支えられなければ立って歩くことも出来ない。
可愛らしくて完璧な『城宮雫』を、一生演じていかなければいけないのだから





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asuhana様♡

コメントありがとうございます♡
そうなんです、とうとうつくし、城宮雫になってしまいました!
なってしまったところで、現在に戻ります!
過去編終了です!
久々にasuhana様にコメント頂けてテンション上がりました(笑)
これからもこんなサイトですが、よろしくお願いします(´;ω;`)

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さとぴょん様(*^_^*)

そうなんですよ~!過去編!ついに終わってしまいました~^^
長かった、、、ですね。ははw

こんなに長くなるつもりじゃなくて、もっとさらっと終わらせようと思ったのですが、これはこれでまあまあコメントも頂くようになったので、書けるとこまではとずるずると、、!^^
無我夢中で必死なつくしも、見納めでございます。
あまりにもつくしが不特定多数の男と絡むので心配されていた読者様もいらっしゃるようですが。
実際につくしが売春していた期間は、亜門から離れてわりとすぐに補導されたことを考慮するとそんなに長くはないです。
半年、、、は、ないのかな?何ヶ月かの出来事。
なので、一応病気にもなってないし、妊娠もしてません!^^
って、私なんの説明してんだか、、、w
これからは貴之×つくし か 司×つくし しか出てきませんので、充実させていきたいなと思っております。

さとぴょん様が貴之を好いて下さるのはホントに嬉しいです。
長い禁欲生活の末の情交、、、つくしは大変困憊するでしょうね笑
そうですね~次の行動が、常につくしの読みの一歩先を行く貴之だからこそ彼女も夢中になって、ますますのめり込むんでしょうね。
身体だけでも落としたつくしは凄いですよ!
亜門のおかげですっかり魔性の女へと変貌は遂げていましたが、、、孤独な境遇の貴之にシンクロしやすかったんだと思います。
心の隙間にようやく入り込めて、そのチャンスにたまたま立ち会わせたのがつくし、というか。
大部分は運かなあ?
二度目は、、、どっちでしょうねえ?笑
どっちもだと思います。笑
それ以来貴之はつくしを書斎に呼ぶことが増えたし、呼びつける=そういうこと ですからね^^

このガラスの林檎たちは何もかもが不毛ですよね。
不毛の愛が一種のテーマなのかな。
不毛、身代わり、孤独、、、このヘンが主題になっているとは思います。

いつもながらさとぴょん様のコメントはありがたく面白いです^^
また呼んでいて何か疑問な点などありましたらご一報を^^
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