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「ガラスの林檎たち」
第二章 わたしを離さないで

ガラスの林檎たち 51

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「変なの、そんなの。
だってさー、、男の子って処女好きじゃん?初めての振りをすれば喜ぶバカばっか。
他人の中古品なんて勘弁、て感じじゃない。
それなのに、、、司くんって、変わってるよね。普通じゃないよ絶対」

「確かに、、、お前は覚えてないだろうけど、お前に初めて会った17の時から、俺はお前にイカレっぱなし。
でも、不思議だよな。
それを心地良いって思う俺もいるくらいなんだから、大概どうかしちまってるな」

瞬間、見たこともないくらい優しい笑顔と瞳をした司くんに、、、気付いてしまった。
この人は、嘘を吐いている。
もしかしたら自分でも気付いていないくらいの、真っ赤な嘘。
牧野つくしだったことがあるから好きなわけではないのだと口ではそう言いながらも実際にはそうではない。
過去にもし私が牧野つくしだった期間がなかったら、この人の瞳はこんなに優しくはなっていないはずで。
牧野つくしの容姿。声。身長。
そんなオプションがなければ、城宮雫になんて本当は見向きもしないくせにね。
嘘つき。
嘘つき。
この人は、、、嘘つきだ。

「、、、なんだ、所詮あんたが好きなのって、『牧野つくし』ってことね」

つくしがポツリと言ったこの一言は、司の耳には届かなかった。
いつか彼、、、司が過去を振り返ったときに後悔をした一端の場面でもある。
なぜ、そうじゃない。
そうじゃなくて、牧野つくしだから想いを継続できたわけでもなくて、城宮雫として生きてきた何年間かも含めて好きなんだ、ということを伝えられなかったのだろう。
この時、この瞬間に戻って全てをやり直したい、、、そう思う彼は、確実に未来に存在することになる。
それでも、、、この時彼は彼女の台詞を聞き逃したし、彼女もまた言い直そうとはしなかった。
それもまた、運命なのだ。

「、、、ん?なんつった?」

「、、、ううん、何でもない」

取り繕って笑った様は、機械の如く無機質なものだっただろう。
口の中は酷く渇き、目は暗く沈んでいた。

「あのさ、、、一個だけ、聞いていい?」

「、、、なに?」

「牧野つくしって、どんな子だった?
あ、ほら。私、交通事故に遭ってそれ以前の記憶無くしたって言ったでしょ?
記憶失う前の知り合い、、、ああ、恋人?だっけ。
そんな私を知っている人に会うの、司くんが初めてだったんだよね。
だから、ちょっと興味本位っていうか。
ま、どうせろくなヤツじゃなかったんだろうけど。
やっぱり少しは、気になるもんじゃん。そういうのって。
どう?今の私とは、やっぱりそんなに変わらないもの?」

「、、、いや、、、今のお前と、だろ?
全然違えだろ。なんなら、180度違う。これは断言できる」

「うそ。
、、、もしかして、前の私は超イイ子ちゃん、とか?
何それ、めっちゃウケる。気持ちわる~」

「イイ子ちゃんって言えば、まあそうだな。
俺もすげえガキっぽいこととかいっぱいしててよ、当然とがめるヤツも誰もいねえし、基本放任されてたし。
だから学校、、、英徳でも好き勝手やって、憂さ晴らしに喧嘩ふっかけて、幼稚なゲームの主催者気取ったりして、、、いや、お前には出来れば忘れて欲しい記憶ばっかなんだけど。
でも、、、それを変えてくれた。
牧野つくしって言う、くそ生意気で、手も足も出る暴力女で、人一倍お人好しのバカ女が。
跳び蹴り入れられて、何をトチ狂ったかそこに惚れちまって、追いかけ回して、、、手には入れ損ねたけど、お前はそういう女だったよ。
どんな酷い逆境にいても立ち向かうだけの強さを持ってるくせに、どんな酷いコトしたヤツでも赦せる心の広さも持ち合わせた、すげえ女だった」

そういう司の声はどこか懐かしげで、、、他人の感情なんぞ、それほど重要には思わないつくしも、その少女を__自分のことだが__司がいかに大事に思って、また大切にしてきたかが手に取るようにわかった。
それはさながら、恵のことを語るときの貴之にも似ていて、、、ああ、やはり自分はどこまでも誰かの身代わりにしかなれないのだ、と思った。
本当の自分ごと愛してくれる人なんていやしない。
どれだけ今まで自分が醜く卑しい生活をしてきたか。
それを考えれば、愛されないことなど苦でもない、、、そう言い聞かせても、目の前の男の、普段何かと自分をチヤホヤしてくれる男の過去の女の話に、どこか傷ついている自分もいた。
不思議に拗くれた自分の感情に、、、何故か目の前の男にもそんな想いをさせてやりたい衝動が頭をもたげた。

「、、、、へえ。何か、すごい女の子だったんだねえ、私って」

「、、、いや、お前のことだから。他人事みたいに言うなっつの」

「だって、他人事みたいなもんだし?
4年も記憶が戻らなかったのに、このまま戻るわけもないし。
正直、、、私の記憶の中では城宮雫として生きた時間の方が長かったんだよ?
そりゃあ、、、実感っていうの、沸かないでしょ」

「、、、いつかは思い出すんじゃねえ?
別にこのまま一生記憶が戻らなかったって、お前がどういう人間だったかは、俺が覚えてる。
全部覚えてるよ。お前の代わりに。
だから、お前は気にしなくても大丈夫。
いつだって、どんな時だって、お前が過去の記憶が無いからと言って、心配することなんかない。
お前は、そのままでいいんだ」









「じゃあ、俺、ホントに帰るわ。
予定より大分かかっちまったけど、、、今からなら間に合うな、最終便」

「あれ、プライベートジェットじゃないんだ?」

「ん、ああ、民間機の方が楽な場合の方が多いしな。
バカンスで自分ちの島にでも遊びに行くんならともかく、一応社用だし、ババア、、、社長がうっせえからな。
、、、って、なんでお前がうちがプライベートジェット持ってんの知ってんの?」

言われた瞬間、ほとんど無意識の発言だったことを思い出す。
自分でも自分の言葉の真意に気づけなかったが、何か取り憑くろわなきゃ、と話を合わせた。

「ん?あ、、、。
う、うちもプライベートジェットくらい持ってるから、司くんのとこもそりゃ持ってるだろうなって。
ただ、それだけだけど?」

「、、、ああ、そっか。そりゃあ、そうだよな。
深い意味なんてねえよな。
、、、、じゃ、おやすみ。来月な」

言うが早いかつくしにチュッとキスを落として、頭を撫でる。

「、、、ふふ」

「お、可愛いじゃん。何笑ってんだよ」

「ううん、でも、、、私もね、美香からよくDVD無理矢理見させられたりしてたからさ。
青春ラブコメばっかの。
こういう普通の恋愛、まあまあ憧れてた、かも」

自分でもとびきりの笑顔、だったかな。
目の前の自分にベタ惚れ宣言をしている男は顔も俳優みたいに綺麗で、スタイルも良い。
だから、余計に自尊心がくすぐられて、反射的に機嫌が良くなったのかも知れない。
それでも、、、初めて人と、貴之以外の人と関わるのに積極的になれた瞬間かも知れなかった。

「じゃね。おやすみ、司くん。
来月も、楽しみにしてるからね?」



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asuhana様♡

時間巻き戻せるなら巻き戻したいですよね(´;ω;`)
切なさとともに、次回もお楽しみください(´;ω;`)

さとぴょん様(*^_^*)

そうなんですよね。
つくしとしても、今は城宮雫なわけで、かつての牧野つくしを肯定されても、多分どうしていいかわからなくなる。
もともと雫よりつくしの方が好きなのだ、と身代わりなのだ、と。
わかっていても、これほど決定的ないわれ方はある意味彼女としては決別ともとれる。
この先雫が道明寺司を傷つけようとも、罪悪感など必要ないだろう、そう思ったとしても不思議じゃないですね。
人間ですからこの先感情がどう揺れ動いていくかわかりませんが、そこも含めて、注目ポイントです!
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