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短編

初恋は実らない 

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君をずっと待ってたんだ。
部活終わりの金曜日、満を持して、いつもなら週末にしか足を運ばないカフェテリアへ。
高校生の俺に君は本当に眩しい存在で。
毛先だけかかったパーマとか、控えめながらも丁寧に施されているメイクとか、たまに見る私服姿とか。
その全てが同級生には決して見られない、新鮮な存在だった。
君目当てにこのカフェに通い出して、もう半年、、、もっとかな。
君目当て、というわりには一目惚れというわけではなかったのだけれど。
付き合って何ヶ月か経つ彼女を連れて、その子が気に入っているというカフェテリアに入って、、、そこで、君を見つけた。
勿論最初は何の興味もなかったけど。
紅茶を運んできてくれたときの笑顔に、少しドキリとした。
お待たせしました、と可愛い声と共に、目の前に置かれたティーカップ。
いつもなら何の感慨も感動もない、店員のマニュアル通りのその仕草。
彼女の方も、淡々と仕事をこなしていただけ、俺を誘惑したつもりなんかほんの少しだってないだろう。
それだけそれはカフェの日常の風景で、何の変哲もないことだったと思う。
それでも、、、それでも、その瞬間、間違いなく彼女のことを意識していた。
彼女にしてみればイチ客の俺のことなど、大して興味もないだろうし、どうでもいい存在なのだとわかってはいるけれど。
目の前のガールフレンドのことから急に興味が拡散し、自分でも殆ど無意識のうちに、君が突然声をかけてこないだろうか、このまま誘われたら目の前の女など放ってそのまま彼女とどこかへいってしまいたい、、、なんて馬鹿な妄想をしながらチラチラ君の方を盗み見てた。
ガールフレンドはすぐにそんな俺に気付いて、俺の気を惹こうと躍起になってたけど、俺の関心はとにかく君だけに向いていて、生返事しか出来なかったものだから、その日以来彼女とは何となく疎遠に(彼女が俺に愛想を尽かしたんだろうが)自然消滅してしまっていた。
俺も別段その子が好きで付きあったわけでもないし、自慢じゃないがわりとモテる方だから、付き合って?と告白されることも多かったし、断ることもなかったから、付き合った人数は多い方。
断ることもないというよりは単に断るのが面倒でもあったんだけど。
そんなこんなで自分から好きになった子とは付き合った経験などなかった。
いや、そもそも自分から好きになった子がいなかったとも言える。
だから、、、つまるところ、君は僕の初恋だった。
高校2年生にしての初恋ってのは、ちょっと遅い気もするけど、、、それが恋と気付くのにかかった時間はそんなに遅くなかった。
ガールフレンドと別れてからも、君の存在が気になって、週末はいそいそと勉強道具を持ち込んでカフェに涼みに来ていた。
やっぱり、何度見ても、営業用でも、彼女___牧野さんの笑顔は可愛らしくて、胸が高鳴った。
彼女のネームプレートをチェックしたのは二回目の訪問の時。
『牧野』さんというらしい、とその時にわかった。
その後、店長が彼女を呼ぶときに、『つくしちゃん』といっていたから、彼女の本名は『牧野つくし』さんだろうと推測できた。
つくしちゃん、、、ちょっと変わった名前だけど、何だかそれが嫌に彼女にぴったりな名前だった。
いつか俺も下の名前で彼女のことを呼んでみたい、、、彼女も俺のことを下の名で呼んでくれないだろうか。
彼女を前にすると、そんな妄想ばかりを頭で繰り広げ、胸の鼓動は高まりっぱなし、そのくせ彼女に話しかけることも出来やしなかった。
週末も部活があったから、いつもというわけには行かなかったけれど、彼女は俺を認識してくれたみたいで、10回目くらいの訪問で、ようやく彼女に話しかけられた。

「いつも勉強、大変そうだね。
もしかして、受験生?高3なの?」

初めて彼女から声を掛けられて、ドギマギして、でもこれってすごいチャンスじゃないか!?と頭の中では必死になって、どう会話を続けるかシミュレーション。

「あ、、、、いや、その、、、高2、です。
一応進学校って呼ばれてるとこなんで、課題の量も多くて。
いつも長居しちゃって、すいません」

「ううん、いいのよ別に。だって、、、」

ここで彼女は言葉を切って、当たりを見渡して(店長の有無を確認して)続けた。

「うちってほら、土日でも閑散としてるでしょ?
常連さんは多いんだけどね、、、何だかいつも同じ顔ぶれで、客席が満杯になることだってないしね?
だから遠慮しないで、勉強に励んでね」

彼女との初会話はこんな感じ。
これでガチガチに張っていた気も緩んだというか、、、次からは俺の方からも普通に話しかけれるようになった。
他愛のない、普通の質問ばかりだったけれど。
それでも彼女は俺のくだらない質問でも笑顔で答えてくれたし、会話が増えてからはたまに平日の部活帰りも行って顔だけ見に行ったり。
自分でも、純愛だと思う。
プラトニックなラブすぎて、それでも彼女にいつかは振り向いて欲しくて、、、大きな大会も終わった、高2の秋。
いよいよ今日だ、と思った。
学校帰り、部活終わりにカフェテリアへ一直線。
神経を張り詰めて、今日こそは、と。
シフトがいつもより遅めだったらしくて、勉強をしながらチラチラ時計を見て、彼女が来ないだろうか、と気にして。
無駄にいつもは頼まないケーキやなんかまで注文して、彼女のことを、ずっと待ってたんだ。
夜になるといつもは閑散としている夕方とは違って、女性客が増えてきて、居心地の悪さを感じてきた、その時。
君がいつも通りのエプロン姿で先ほどまでの店員さんと代わって、注文を聞いたり、ケーキを運んだりしてた。
よし、今日こそは。
今日こそは絶対に告白する。
そう意気込んで、とりあえず話しかけてみようと近くにきた彼女を呼び止めようとした先、一瞬のどよめき。
隣の隣の女子高生集団が、「あれって、、、だよね?」「、、、ホントだ。え?うん、知ってる知ってる。うちのお姉ちゃんファンなんだよね。興味もないくせに経済誌なんか買っちゃって」「うそ~、初めて見ちゃった生~だよ!」「この間~に出てた人?」「やっぱり本物はオーラ違うよね~」
え?
誰??
芸能人かなんかが来店してきたのだろうか。
そう思って振り返ると、、、なるほど芸能人バリにオーラを放つ長身の男が、そこにいた。
家でテレビとかをそれほど見ないから誰なのかはわからないが、なんというか、、、一言で言うと、カッコイイ。
足長い。
顔小さい。
どっかのモデルかなんかだろうか。
かもしだされるオーラにすら圧倒されてしまって、ボケッと眺めてたら、なんと彼は俺の隣のテーブルにつき始めたではないか。
近くでマジマジ見ると、更にカッコイイ。
整いすぎた顔と、長身と、特徴的な髪型も彼の魅力を増すのみで、なんか思わず見惚れてしまって、顔が紅くなった。
いやいや、男が男に顔紅くするなんて、変態みたいじゃねえか。
でもそれだけ格好良くて、それと同時に、なんだか出鼻をくじかれてしまったような気がした。
急速に自分がいくじがなくなってしまった、というか。
男としての格の違いを見せつけられたかのようだった。
身につけてるものも、よさそうなものばっかだし、金持ってそうだし。
さっきまでは彼女に何とか話しかけようとしてた勇気までなくなってしまったかのようだった。
彼女が、彼に注文をとりにこちらへ向かってくる。
彼が彼女に興味を示さないかだけが心配で、ドキドキしながら隣のテーブルをチラ見していた。
もはや公定歩合操作も公開市場操作もどうでもいい。
政経の教科書を閉じて、心臓をバクつかせていた。

「、、、ご注文は?」

おや、気のせいか彼女の声がいつもより冷たい。
トレードマークの笑顔も見せていない。
、、、きっとこうしたイケメンはタイプではないに違いない。
格好良いけど、よく見ると軽薄そうな遊び人っぽくも見える。
よし、いいぞ。
少なくとも彼女は彼に興味を示していない。

「お前」

、、、はあ?

「珈琲ですね。他にご注文は?」

淡々と受け流す彼女って、何者?
イケメンは口説き方までスマート、、、いや滑ってるのか?
ともかくも、イケメンはやはり自分に自信があるのか。
俺にはあんな真似、間違っても出来ない。
彼女のあの顔と来たら、、、!
氷点下にまで達しているようだった。

「だからお前だっつの。人の話聞いてんの?」

「聞いてますけど」

「そのキモイ敬語やめろ」

「仕方ないでしょ、仕事中」

「、、、先週のこと、まだ根に持ってんの?」

「持ってません」

「じゃあなんで着拒?」

「してないし」

「ラインに既読つかねえけど、ブロックしてんだろ」

「してないよ」

「嘘つけよ。、、、、なあ、この間は俺も悪かった。
だからって、せっかくの休みの日なのにへそ曲げて帰っちまうことはなかっただろ?」

「何よ、俺もって。それじゃああたしも悪いみたいじゃない!」

「、、、わかった。
この間は、俺が悪かった。
俺が全面的に悪かったよ。
だから、、、機嫌直してくれ、頼む。
今日と明日の午前中までオフだから、この前のデートの続きしようぜ?
俺、終わるまで待ってるから」

眉をつり上げて怒っていた彼女の顔が、一瞬泣き出しそうに歪んで、でも唇をぎゅっと噛みしめて我慢して。
それを彼が見つめて、仕方ねえなあ、みたいな顔してちょっと笑って。
、、、完全に二人の世界。
てか、これは何?
今の会話から察するに、彼と彼女はいわゆるカレカノ。
って、嘘!?
彼女、彼氏いたんだ。
確かに、、、彼氏いる?とか、聞いたこともなかったかも。
俺、とんだピエロじゃん。
瞬間、彼が彼女を引き寄せて、、、うわ、キスした。
周りの客席からはどよめき。
この痴話げんかは注目されてたから、チラチラざわついていたけど、いよいよ騒音になってきた。
彼女は手にしていた伝票で彼の頭を軽く殴り、それでも口元は笑っていた。
チクリ、と胸に痛みを覚えた。
あ~、、、これ、失恋っていうやつだ。
生まれて初めての失恋、、、見てはいけない、見たくない、とどこかで自分が警告していたけれど、、、ようやく、恋の傷つき方を学べたような気もした。
立ち去るときに彼女が一瞬俺の方を見つめて、照れたように笑って、、、胸が苦しくなった。








___初恋は実らない、って迷信じゃなかったんだな。

小学校の時に、クラスの女子たちが噂していた。
緑のペンでラブレターを書くと好きな人と結ばれる、みたいな迷信の中に、初恋は決して実らない、というのもあった。
今、その本当の意味を理解したとも言える。
初恋は実らない。
迷信じゃなかった。
一瞬で消えた蜃気楼みたいに。
告白の手前で、胸の奥がきゅんとして、大人になれたような気がした。




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