スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←ガラスの林檎たち 61 →ガラスの林檎たち 63
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png 中編
総もくじ  3kaku_s_L.png ガラスの林檎たち
総もくじ  3kaku_s_L.png お題シリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 更新のお知らせ
  • 【ガラスの林檎たち 61】へ
  • 【ガラスの林檎たち 63】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「ガラスの林檎たち」
第三章 愛もお金で買えますか?

ガラスの林檎たち 62

 ←ガラスの林檎たち 61 →ガラスの林檎たち 63




「ほんとにもう、、司くんって」

つくしを好きでたまらない司に呆れもするが、心のどこかではやはり引っかかり、、とてもつまらない感情が込み上げてくるのが分かる。
司が愛しているのは牧野つくしで。
姿形が似ている私はただの身代わりで。
それだけでいいはずだ。
自分の役目は彼を今の立場から陥落させて、酷く貶めるだけ。
彼に妙な感情などあるはずがない。
あってはならないのだ。
今この時が楽しくても、一瞬彼に絆されそうになったとしても、だ。
この感情は_そう、貴之が恵を想う様に、彼があまりにも似ているから。
だから湧き出た感情なのだ。
司を貴之に重ねてしまっただけ。
当然、そうでなければならない。

「ホントに、つ_私のことが好きなんだから」

つくしが_と言いかけて私と言い直したのはせめてもののプライドのせい。

「、、なあ、そろそろ俺のこと、好きになってくれない?」

「_好きだよ?わりとね」

うん?と首を傾げて誤魔化そうとするが、通用しなかったらしい。

「_俺が言ってんのはそういうことじゃないって分かってんだろうが」

「だって、、好きになるって人に言われてはいそうですかって受け入れられるものでもないでしょ-。
私は私なりに、司くんのことは好きだよ?
でももっと好きな人がいるの、それは仕方がないと思わない?」

「俺、お前のためならマジなんでもするけど」

「ん?」

「お前のためならなんでもするし、何でも買ってやる。それでもダメか?_お前の父親、、城宮社長のことが、そんなに好きなのかよ」

「_好きだよ」

瞬間、自分でも驚くほどすんなりと簡潔な一言。
そう、司くんのことも好きは好きだよ。
お父様に対する好きとは少し違うけど。
過去の、、司くんによって美化されたつくしにだって対抗心のようなものはある。
自分は司に絆されて、揺れ動いたりもしている。
でもそれは、、一種の憐憫に似た感情なのかもしれなかった。
好きは好きだけど、、貴之に対する感情とは正反対に不確かなもので。
あくまでも貴之に対する感情は確固たる_愛情だった。

「ごめん、おかしいよね」

おかしいよ。
頭の中で声が響く。
陰惨な声が。

「わかってる。
今の自分の立場も。
所詮は愛人のようなものだもん。
それも手続き上では義理の娘なんだから、こんなの、まともじゃないってわかってるよ。
でも_でも、好きなの。
あなたが私を想ってくれるのときっと同じくらいは、あの人のことが好きなの。
望みなんてないけど、、でもどうしようもないの、好きなの」

「__雫?」

「私も、司くんのことが好きになりたかったよ?でもそうできないの、どうしようもない、、どうしても好きなの。
あの人が、、あの人が他の誰を好きでもいいから、それでも振り向いて欲しいの。
自分でもどうしたらいいかわからないくらい好きなの」

__好きなの、彼にそう告げた途端。
一瞬頭が真っ白になって、全ての音が自分の脳内から消失してしまった。
そのうち、頭をハンマーで思い切り殴られたような痛みが続いて、あまりの苦痛に涙すら零れそうになる。
それと同時に、既視感。
以前にも確かにこんな体験をした記憶が頭を掠め、更に頭痛を悪化させた。
そう、いつの日かに。
確かにこんな体験をした。
いつだっけ、いつだっけ、いや、そんなことはどうでもいい。
痛い、痛い、痛い。
_おかしくなる。
直感的にそう思うのと同時に脳内にあるイメージ。
雨が降っていた。
城宮邸とは違うけれど、見覚えのある大きなお屋敷の前に自分はいる。
寒くて、冷たくて。
涙が溢れて止まらなかった。
どうして泣いてるのだろう。

__好き。

バカみたいに、その単語だけを繰り返す自分が、そこにはいた。

__バカで、高慢ちきで乱暴で、思い込みが激しくって、単純で、強引で。

__そんな○○○のことが、誰よりも好きだった。

__ああ、好きだ。

__好きだ、好きだ、好きだ。

__本当は彼の事を何度も何度も何度も好きだって思ってた。

__彼のことが、ああ、本当は好きだ。

「雫、わかったから、落ち着け。おまえ_なに泣いて_」

ぎょっとした顔で司くんにそう言われて、自分が今涙を流していることに気がついた。
他人の前でこんなに無防備に涙を流したのは、いつ以来だろう。
どこか冷静にそう考える自分もいて、おかしくなる。

「_けて」

涙を流してることに気がついた瞬間、目の前が真っ白になって、貧血の前兆を感じた。
息が苦しい。
既に過呼吸の一歩手前だった。

「、、どう、、みょうじ、、たす、けて」

意識を失う直前、彼に何とか振り絞った声は、ちゃんと彼に届いただろうか。
頭の中でそんな心配をしながら、自分は意識を手放した。





関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ガラスの林檎たち
総もくじ 3kaku_s_L.png お題シリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png 中編
総もくじ  3kaku_s_L.png ガラスの林檎たち
総もくじ  3kaku_s_L.png お題シリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 更新のお知らせ
  • 【ガラスの林檎たち 61】へ
  • 【ガラスの林檎たち 63】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

サーモンチップス様^^

いつもながらコメントありがとうございます^^
書き手冥利につきます~。
早速63話更新されていますので、是非ご覧になって頂けると幸いです♪

とも様^^

コメントありがとうございます!
前回拍手の方でもコメントを貰っていましたのに遅くなってしまいました。
そうですね~とりあえずは『城宮雫』と司のカップリングのケリをつけたいので、『牧野つくし』としての記憶が戻るのは大分先ですかね。
雫には『つくし』だから司を好きなのではなく、『城宮雫』として司と恋愛して貰いたいので。
当然記憶が戻ったらつくしは売春や養父との性行為など多くのことに悪感情を抱き、悩み苦しむとは思いますが、彼女の葛藤はまだ先のお話になりそうですね。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【ガラスの林檎たち 61】へ
  • 【ガラスの林檎たち 63】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。