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「ガラスの林檎たち」
第三章 愛もお金で買えますか?

ガラスの林檎たち 64

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「どんな夢だよ、それ」

思い当たる節は司にも確かにある。
あの悪夢のような雨の日、、自分はそこに全て置いてきた。
彼女を好きな気持ちも。
彼女を好きだと思う自分も。
何もかも否定して。
残酷な女だ、自分に釣り合わないド庶民だった、彼女となんか最初から出会わなければ良かった。
憎め、嫌え、呪え。
様々な負の感情だけを自分の中に押し込めたくせに。
彼女を一目見るとどうしても自分は彼女をうっかり愛してしまうらしい。
あの雨の日がどうでも良くなるほどに。
それでも、、と、司は思う。
それでも、彼女がそれを思い出してしまったらどうなるのだろう。
彼女は実際、自分を愛してはいなかった。
そして今も、自分は彼女には愛されていないと思う。
それでも、彼女が自分との関係を継続してくれているのは彼女が城宮雫だからに過ぎない。
城宮雫だから愛のない関係を続けられて、愛はなくとも勘違いさせてくれるような付き合い方をしてくれているのだ。
つくしの場合は、そうはいかない。
彼女は、愛のない関係など初めから築きはしない。
同情と愛情をけして取り違えない女だった。
彼女が記憶を取り戻して牧野つくしへと人格が代われば、自分はまたしても彼女に捨てられる、だろうか。
こと彼女に関しては強気に出られない自分が憎たらしい。
彼女はどんなでも自分を愛してくれる、そうして見せる、とは、どうしても言い切れない。
人は一度植え付けられたトラウマを簡単には払拭できないのだから。
だからこそ、、今回のことが契機となって彼女が記憶を取り戻すのをほんの少し恐れている。
自分が残酷に彼女に捨てられるのを_恐れている。

「よく、覚えていないんだけどね?」

うーん、と首を傾げて彼女が口を開く。

「私、雨の中にいたの。その、、傘も差さずに。しかも司君の邸の前にいたんだ。多分ずっと貴方を待っていたんだと思う。
司君に、別れよう、みたいな話をしてた。
それで言い合いみたいになって、、それで、、私が最後にさよならって言って、それで、終わり。
何か凄く2人にとって意味のある話をしてたと思ったんだけど、思い出せない。
ていうか、思い出そうとすると頭、凄く痛くなるの」

思った通り、彼女の話はそっくりそのまま過去の一部。
出来れば2人にとって忘れて欲しいことだらけの、最悪の記憶の一部分だ。
彼女に隠し通すことは出来ない。
そんなことはとても、、彼女にしてみればある程度辻褄の合う話だろうから。

「教えて欲しいな。
これってつくしの、過去の記憶なんだよね?
つまり、私と司君は__」

「付き合ってた。ああ、お前の思ってる通りだ」

「私てっきり、、」

「ん?」

「いや、、司君はつくしに相手にされてなかった、のかと思ってたからちょっと意外だったかも。
ホントに元カノだったんだね、なんか、ごめんね?」

珍しく雫が罰の悪そうな顔で謝るもんだから、あまりにも可愛くて。
瞬間、このシリアスな空気を忘れるところだった。

「今のお前よりは少なくとも相手にされてたよ、まあ付き合ってたっつっても期限付きで俺が無理に頼み込んでようやく__って何言わせんだよ、アホ」

「イタっ。ちょっと司君~勝手に言ったくせに小突かないでくれる?一応病人じゃん、もう」

「とっくに元気だろ、お前」

「バレてた?やっぱり。さすが司くん」

語尾にハートマークでも付けられて名前で呼ばれた日には、過去のやり取り云々もはやどうでもよくなる自分もいた。
男ってのは自分を含め、どうしてこうもバカなのか。
好きな女相手に対しては、どの男も極端に偏差値が下がる。
自分然り類然り。

沈黙がしばらく続いた。
つくしもスマホを開いてラインやらSNSのやり取りに勤しんでたし、自分も自分で今日中に返信しなければならないメールが届いていたから、それは大いに結構だった。
夜は更けていった。
結局2人ともただ時間をゆっくりと共有しているだけで、特に何をするわけでもなく。
ただ、2人の間に時間が流れた。

「今日、泊まってく?」

ポツリとつくしが呟いた。
沈黙を破って。

「あ~、いや、、今日はやめとく。明日朝早いし」

「、、ん、、そう」

再び長い沈黙、の後。

「あのさ、司君」

「なに」

「私のこと、本当はどう思ったの?」

「どう思ったって。俺がお前がどう思うかについて?とっくにわかりきってることだろ?バカバカしい」

「違う。そうじゃなくて。
言ったでしょ、私のその、、過去の話。
施設にいて、売春やって、転がり込んだ養父に抱かれてる、、そんな女だって言ったよね?」

「出来れば繰り返し聞きたくはないが、そうだな」

「お願いだから誤魔化さないでね。
ずっと聞きたかったことだから。
ホントは私のこと、汚いって思ってるでしょ?」

「、、は?」

「だから私とセックスしないんでしょ?気付いてた?司君が、、私があの話してから一度も私と寝てないの。
それって口ではどう言ってても、結局私と寝たくないって、そういうわけだよね?」

「お前何言って__」

「いいよ、そんなの当然だし。
私だってこんな女と寝たくない。
私だって、、私だってこんな人生嫌だったわよ!
でも、周りの環境が、、私を綺麗なままではいさせてくれなかった!
たった何千円かのために男と寝て?レイプまがいのことされて金も払われなかったことだってある!
本番断ったら殴られたり、そんなの日常だった。
生きていけるならそんなのいいって思ってたのに!
、、たかがセックスの一つでその日限りでも生きていけるならって。
後悔なんかしたことない。
お父様のことがハッキリ欲しいと思った日だって、自分の生き方を否定したことなんてなかった。
だから、、嫌なの」

携帯を強く握りしめながら、つくしが続けた。

「今更あなたと一緒に居て、少し過去のことを後悔する自分がいるの。
あなたの中のつくしは綺麗だったよね。
処女だったよね。
強くて、優しくて、きっと理想の女性だったでしょう?
そんな自分に一瞬でも戻りたいと思ってしまうから、嫌なのよ!
あなたが私を抱かないのは私を汚いと思っているから。
牧野つくしを綺麗な思い出のまま囲っておきたいからよ、そうでしょう?
自分でも気付いていないけど、そうなのよ。
嫌なの!
最初に出会ってたのが亜門じゃなく貴方だったらって。
そう考える自分が、大嫌いなの!」



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asu様^^

返信が三週間も遅れまして申し訳ないです、、!

先月末に重大なイベントがありまして、それに参加してましたもので、なかなかパソコンにむかえる時間が取れなくて(T_T)

今日更新の65話、、ううん、少し雫と司の溝が深くなってしまいました。

3章はラブラブにするはずだったのに、はて。

とも様^^

コメ返遅れまして申し訳ございません(T_T)

つくし、、もとい雫は後悔し始めた、、のでしょうかね?笑

作者の私にも彼女の心の奥底は図りかねますが、、そうですね、少しずつつくしとしての記憶が断片的に蘇ってきているので彼女に変化はありますね。
今日更新の65話でもそこがポイントになってきます。

今日の雫×司もお楽しみに!(*^_^*)



「右肩」「12月31日」を気に入って下さっているということで。笑
大変嬉しくありがたいです。
とも様は切な系が好きなのかな?
私もこういうジャンル結構好きなのでまた書いちゃうかも、、笑

ami様^^

長文で光栄で素敵すぎるコメントの数々、読んでいて思わずにやけてしまいました、、笑

本当にありがとうございます。

こんな更新もまちまちでマイペースすぎるサイトをのぞきに来てくれてコメントを書いてくれたり拍手をしてくれたりする読者様の存在は本当に女神様みたいです。笑
わたしの読者様は本当に皆さん心が広くて温かい人たちばかりだな、とコメントを眺めていて思います。

ami様に関しては何度も読み返しをして下さってるとのことで、、!
二次創作とはいえ物を書いてる者としてこれ以上光栄なことはありません。m(_ _)m
ほんっとうにありがたいです!(T_T)

亜門の再登場ですね、予定しております。笑
当サイトの亜門は皆様に評判が良くて本当に嬉しいです。笑
超お嬢様になって当時の(乞食で売春をしていたような)つくしとは180度違う城宮雫と亜門を対面させてみたら面白そうだな~という安易な発想により。笑
亜門はつくしのことを好きだったため、彼女への気持ちにそれなりに未練があり、すぐ気付きますが、つくしの方は彼の事をあまり覚えていないんですねえ。
それが亜門×つくしのわかりやすい関係図とも言いますか。
彼女なりに彼に恩もありますが、覚えるには一緒にいた期間が実は短く、彼女には亜門と別れた後の方が激動の人生の連続だったので、残念ながらつくしは亜門のことはうろ覚え。
再開したときに、「司君、、?髪なんかストレートにしちゃってどうしたの?」みたいなことも言いますw
亜門はどこかで再登場させたかったのでそう言ってもらえて光栄でございます。


今日更新の65話、、ひっじょーに難産な回でした。
ami様の光栄すぎるコメントを拝読し、「おおおっ!」とインスピレーションを受けたままバババッと書いたんですけれども、なかなかうまくまとめられず、、笑
なんとか三日かけて完成致しましたので、公開させて頂きました。

大きな転機となった今回の回。
少しずつ雫と司の関係に暗雲も立ちこめますが、是非最後まで2人の恋の行く末を見守ってあげて下さいm(_ _)m
またご不明な点や恐れ多くも感想などありましたら是非是非コメント欄までいらして下さい。笑



本当にコメントありがとうございました!
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