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短編

ヒトコト

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ご無沙汰してます。
更新滞っててすみません、お詫びの短編です。
司の記憶喪失分岐。
司がつくしの記憶を忘れてからなんとなくずるずる付き合ってる二人だけど、というお話。
つくしちゃんが少し重たくて、面倒です。笑
以前ほど司に好かれていないと思っていますが、司は司でちゃんとつくしのことが好きだし文字通り愛しているけど愛情表現が極端にヘタクソになってしまっている、すれ違いストーリー。
ちなみに二人が名前呼びなのは司が記憶を失ったときにつくしが自分の彼女だ、と聞かされていたので、彼女なのだから当然名前で呼んでいただろうという勘繰りにより、名前呼び。つくしにも名前で呼び直させた。
経緯はあまりロマンチックじゃないですが、これが全てです笑













ほんの少しだけ。
2分でいいの。
ほんの少しだけ、話をしようよ。
たった一言で本当の気持ちを伝えられそうな気がするから。
今夜は。














バイトがなければお家デート、というのは既に私たちの中では定型になっている。
学校で出された課題とか、明日当たるであろう問題の予習とか。
優紀から借りた携帯小説とやらを読んでみたりとか。
最近ハマってるスマホゲームのアプリをポチってみたりだとか。
まあ、ダラダラ過ごしながらも、それでもこの環境は心地良い。
「ねえ」と言えばすぐに届く距離に、甘えようと思えば甘えにいける距離に、司は居てくれる。
時々お互いにちょっかいだしたり、何でもないことを喋ったり。
こういう穏やかな時間が、嫌いなわけじゃないんだけど。
そう、それに、、外でブラブラしたい、なんて言ってみても、外で出来ることは全てこのお邸の中ですんでしまうのだ。
たまには外でご飯食べたいな、と言えばシェフに適当に作らせればいいと返され、映画を見ようと誘えばシアタールームがあるからいいだろと突っぱねられ、温泉のチケット貰ったの、とラインを飛ばせばジャグジーまで完備してるから出かける必要はない、だ。
まあ、確かにその通りと言えばその通り。
このお邸にはなんだってあるのだ。
パーティールームにはカラオケだってあるし、地下には一通り娯楽品が詰まっているし。
確かに、出かける必要がない、と言われればそれまでなのだけれど。
なんだかなあ、と思ってしまう。
私は、、私は、言ってしまえばそれらの誘い文句は全て口実でしか無くて。
別にどうしても外食がしたいわけじゃない。
どうしても映画が見たいわけじゃない。
どうしても温泉に行きたいわけじゃない、んだよ。
ただ、2人でどこかに出かけたい。
目的とか目的地とかどうでもいいの。
そんなのどうでもよくて。
ただ、2人でどこか違う場所に行って、同じものを見て同じ時間を共有していたいだけなのに。

「、、なあ、何してんの、つくし」

とかなんとか人が溜息を吐いてると、後ろからのし掛かってくる愛しい彼氏様。
どう間違っても抱きしめられてはいない。
うん、一歩間違えれば襲われそうなこの体勢。
被捕食者は少し焦る。

「なにって。、、ライン返してただけです~ちょ、重いなあ、離してよ」

「へえ」

へえ、って。
自分で聞いてきたくせに有り得ないくらい淡泊な返事をどうもありがとう。

「、、もう、重いから。離してってば!、、もう~」

「わかったって。ったく可愛げのねえ女」

そうして彼は私から腕を離して、大して感情の籠もってない台詞を吐く。
少し口の端は上がってるけど、目は笑っていない。
こんな風に、私と話をするときも、私一人置いてかれている気さえするほどに、感情を忘れた彼の声、ドキリとすることが多々あった。
私の記憶だけを忘れて、あたしとこうしてカレカノの関係をやり直すようになってからこうした彼を、私はよく見る。
なぜ私とやり直す気になったのかは知らないけど。わからないけど。
彼の言動は私とさながら恋人同士のように振る舞いながらも、その心の距離は記憶を失う前に比べて、途方もないほど離れてしまったような気がする。
そう、一応、恋人っぽいことはするのだ。
手も繋ぐし、キスもするし、たまにそれ以上のこともするし。
でも、何か欠けている気がしてならない。
彼は、何か欠けてる。
ふとしたときの笑顔にも、私を気遣うような優しさにも、妙に物わかりのいいところも。
全てが司のようで司ではない、気がする。
ただの私の取り越し苦労と言ってしまえばそれまでだろうか。
どうしてこんな風に距離が出来てしまったのだろう。
やっと、幸せになれると思ったのに。
あの船の中で。
約束したのに。
いっちゃやだ、どこにも行かないで。
彼は私にどこにも行かないと約束したはずだ。
言葉通り彼はどこにも行かなかった。
けれど、彼の心はどこかに行ってしまった。
それは間違いない。
たまに、この人は誰なのだろう、と思ってしまう。
あなたは誰?
私の知ってるあなたが、あなたじゃないみたいで。
不安になる。

「ねえ、司?」

「、、ん」

「あたしのこと、好きだよね?」

「、、ん~、まあな」

ほら、ね。
携帯を弄りながら、何の気も無い声で言われたって、それが何になると言うの?
ねえ、私は司のこんなに近くにいるのに。
どうして司の心は私の近くにはいなくて、そしてそれが、一生縮まらない距離にも思えてくるんだろう。

「なんなの、適当に返事しないでよ。好きなの?本当に?」

「、、うるせえなあ、好きだって言ってんだろ。なに、お前俺に何て言ってほしいわけ?めんどくせえ」

「なんかもっとこう、あるでしょ。愛してるとか。月が綺麗ですね、とか。司のは感情がこもってないの」

「、、ハイハイ、愛してるって」

「なにそれ、超適当じゃん。バカ、嫌い」

自分でも面倒な女だなあ、と思うよ。
でも時々こうして司に確認を取らないと不安というか。
うん、不安なんだ。
本当に私からそのうち、スッと心が離れていきそうで。

「適当じゃねえよ。、、つか、つくし」

「、、、、なに」

「愛してるから、しよっか」

適当な愛を囁やかれた後に適当にセックス、するのも癪で。

「、、しない」

なんて抵抗してみるけど。

「いいじゃん、しようぜ」

そんなこと言って、無理矢理キスをされれば、私が彼に逆らえないのは知っているくせに。確信犯。

「、、、しょうがないなあ」

なんて、口では言いながらも、私は知ってる。
私の心の平穏が保たれるのは彼に抱かれている時だけなことを。
セックスの時だけは本当に優しいもんね。
キスも優しくて、気持ちよくて。
このまま、ずっとこのまま彼と繋がってられたらなって、思うくらい。









ほんの少しだけ、たった2分、たった一言だけ、彼に本当の気持ちを伝えるのなら。
たった一言、私は彼に「さよなら」を告げると思う。
どうして最後まですれ違い?そしてどうして最後まで二人の距離をほんの少しも縮められなかったの?
なんて、疑問符はたくさんだけど。
でもまだその一言を言えないのは、結局その一言を伝えられないのは、私があなたを愛してやまないから、と言うよりは。
あなたがそれほど私を愛していないから。
そして私の心が、きっととても弱く、卑屈になっていたせいだね。







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