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「愛さずにはいられない」
第二章 軽蔑していた愛情

愛さずにはいられない 22

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外観もかわいらしかったが内装も然りであった。
インテリアなどすべて白で統一されている、ヨーロッパらしいカフェ。
全体的に明るい雰囲気のお店だった。

いつか司と二人でデートしたあのカフェを彷彿とさせなくもない。
司はあの店の雰囲気にはまったく合っていなかったが目の前にいる男はこの店の雰囲気によく似合っている。

「____久しぶりだね、牧野。5年ぶりくらい?」

「そうね。最後に会ったのがあたしの卒業式だから、ちょうど5年ね。」

「今回は観光?仕事で来たの?」

「____ん、半々かな。
一応プライベートとして来たけど夜はパーティーだし、半分くらいは仕事かな。花沢類は?」

「ああ、俺二年前からドイツにある子会社の経営任されてるんだ。
今日は取引先の社長と打ち合わせでミュンヘンまで来たんだけど、まさか牧野に会うとは思わなかったな。」

「へえ、じゃあ社長なのね、肩書きは。
非常階段のところで寝てばっかりだった花沢類が社長か____。
なんか、年月ってすごいわね。」

「____うん、確かに年月はすごいね。」

そういう類の瞳はつくしを見つめながら悲しげに揺れていた。
免疫の切れてしまった類の瞳に見つめられ、つくしはわずかに頬が上気するのを感じる。

「____なに・・・?」

類の視線に耐えきれなくなったつくしが聞いた。

「__いや、牧野と外国にいると思うと、あのときのこと思い出すなーって思って。」

「____あのとき?」

「うん、あんたが司追いかけてニューヨーク行ったときのこと。」

「ああ、あの時ね。__懐かしいわね。
確か司に追い返されてそれで_____あれ?なんで花沢類が迎えに来てくれたんだっけ?」

「___あの時も言ったでしょ。
あんたがどこかで泣いているんじゃないかと思ったから。」

「____ふふ、そう言えば確かそう言われた気がする。
あたし、花沢類にはいつも助けてもらってばかりだったよね、高校の頃。」

「それはあんたが常に何かしらの事件に巻き込まれてたからでしょ。」

当時のことを思い出したのか少し笑いながらいう類につくしも微笑み返す。

「___反論は出来ないわね。」

「牧野も、今は司の秘書なんでしょ?
こっちでもたまに噂になってるよ。道明寺司の秘書はすばらしく優秀な女性、だって。」

おそらくはつくしが司の下でどんな風に働いているかを皮肉った言葉だろう。
類がその言葉の意味に気付いているのかどうかは類からは読み取れなかったが、つくしは類に曖昧に微笑み誤魔化すようにカプチーノに口をつけた。

「俺もたまに思うよ。田村みたいなむさ苦しい男じゃなくて牧野が俺の秘書だったらなって。」

「___え?あたしが花沢類の秘書?なんか想像できないわ、花沢類の社長ぶりなんて。」

つくしがクスっと笑みを漏らした。

「______なあ牧野。俺が牧野のこと好きだったって知ってる?」

唐突に言われた類の言葉に少し驚いたが、何かを思い出したようにうんうんと頷いたつくし。

「___そう言えば、そんなことも言われたわよね。もちろん、知ってるに決まってるじゃない。
だって本人の口から聞いたことがあるんですもの。」

「____今でも、俺がそう思ってるって言ったら?」

軽く返したつくしになおも真剣な目で彼女を見つめる類は続けた。

流石に予想外の言葉であったのか、つくしは少し驚いたが、フ、と微笑み言った。

「____あたしも、愛せたらって。あなたのことを愛せたらって思ったこと、あるわ。
もう、それこそ何年も前の話だけど。」

「・・・・・愛せたら・・・・?」

「ええ、あなたのことを本当に愛することが出来たなら、あたしはもっと楽になれるのかもしれないって思ったこともある。
でも、あなたに向けたその感情は『恋』じゃなかったんだと思う。欠けた想いをあなたで埋めようとしただけ。
どんなに目を背けても忘れられない想いってあるでしょう?
どんなに変わろうとしたって所詮みんな自分らしく生きることしかできないんだから、あるがままを受け入れるしかないんだと思うの。」

司との歪んだ関係に自分の感情がつぶされそうになっていたつくしは類に縋れば楽になれるのではないかと思ったことがある。
司が自分に目を向けないことを認めたくなくて、現実から目をそらしたかった時のこと。

しかし、楽な方へ流されるより、自分の想いのままに進んでいくと決めたのもつくしなのだ。

つくしは類といると確かに楽だった。
類は何の束縛もしなければ強制することもない。
自分という存在をそのまま受け入れてくれる類にはいつも自然体で振る舞えていた

でも、それが恋ではないことをつくしはその時から知っていたのだ。

「_____それは___なかなかきついな。牧野にとってはその対象は司しかいなかったって訳か。」

「______ええ。」

凜とした声で答えるつくしに参ったね、と苦笑し尋ねた。

「__俺にはほんの少しも恋愛感情を抱いたことはなかった?」

「・・・・きっと、少しはね。だってあなたは、とても魅力的な男性だもの。」

つくしが類に悪戯っぽく返すとチラリと腕時計に目を落とし、立ち上がった。

「ごめんなさい、あたしもう行かなきゃ。
レセプションの前にも色々準備があるから。今日は楽しかったわ、ありがとう。」

つくしが伝票を取り会計を済ませようとした背中に類が問いかけた。

「ねえ牧野、これだけ聞かせてくれない?」

「____ん?なに?」

「牧野はさ___今幸せ?」

「・・・・・うーん、どうだろ。
人によって幸せの定義って違うものじゃないの?」

「じゃあ、牧野の定義でいくと、牧野は幸せ?」

「____・・そうね。すごく幸せだと思うわ。」

そう言ったつくしの目は、気のせいではない、確かに悲しげに光っていた。


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