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「愛さずにはいられない」
第二章 軽蔑していた愛情

愛さずにはいられない 29

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「_______まずいな、感染症を起こしている。」

「感染症・・・・?」

「ああ。____つくしちゃん?この熱はだいたいいつ頃から出てるのかな。」

心配気な声を出す巧を尻目に祥一郎が優しく聞いた。

「え・・・と。帰国してすぐだから____多分、一週間くらい。」

「ずっと高熱が続いてる感じ?」

「___はい。38度くらいの熱がなかなか引かなくて___。」

「ふーん、38度くらいね。その間一度も病院には行ってなかったの?」

祥一郎の言葉に責めているような感じはなかったがつくしは若干ばつが悪そうに答える。

「はい。あの、家で寝てれば治ると思っていたし・・・・・。
たいしたことないと思ってたから・・・。」

「おい、祥一郎。感染症って何だよ?こいつそんなに重い病気なのか?」

たまらず巧が祥一郎に聞く。

「ああ、つくしちゃんの場合腕の火傷の痕から感染しているな。
ほら、緑色の浸出液が傷口から噴き出しているだろ?
これ緑膿菌っていう細菌なんだよ。
ただ、ちょっと気になるのがこの菌は健常者にはほとんど感染しないんだよな。
よっぽど免疫力の低下した年寄りや子供じゃない限り。見たとこわりと適切な処置されてたしな。」

それはおそらく火傷を負わされてから一晩そのままだったからだろう。
加えてつくしは普段から極めて不規則な生活をしており、睡眠時間も一日2、3時間。
ご飯は時間が空いたときに軽く口に入れる程度じゃ抵抗力が弱まるのも仕方がないだろう。

「___なんかよくわかんねえけど、ちゃんと治るんだろうな?」

「治ることは治る、が、感染症に特に有効な治療ってのはないんだよ。
感染症の多くは安静・休養・栄養・水分補給による免疫力の回復をはかること。
一応抗生物質は出しておくけど緑膿菌は薬剤抵抗性が強い傾向にあるし、やはり免疫力を回復して自然治癒っていうのが望ましいな。」

「____あの、どれくらいで仕事行けるようになりますか?」

つくしが口を挟む。

「おまえな・・・こんなときくらい仕事の話やめろよ。」

呆れたように言う巧に構わず祥一郎がつくしに答える。

「___そうだな。あと一週間は熱下がらないと思っていた方がいいかな。
仕事は熱が下がってからさらに一週間経ったら行ってよし。」

「え・・・・?一週間も?あの・・・あたしそんなに休めな___。」

「つくしちゃん。感染症っていうのは生活習慣が大きく関係してる。
休むときはきっちり休む。でないと治るものも治らなくなるからね。」

どこか納得していなそうなつくしの表情になだめるように言葉を続ける。

「大丈夫大丈夫。安静にしてきちんと栄養とって免疫力を高めればよくなるから。まずは休養ってこと。
_____じゃあ、俺はこの辺で失礼するかな。
また何かあったらいつでも連絡して。お大事に。」

「___あの、ありがとうございました。ほんとに。
助かりました。」

「いえいえ、これが医者の仕事ですから。」

祥一郎は悪戯っぽく言い、聴診器を鞄にしまい込むと立ち上がりがてら巧に声を掛ける。

「ちょっと話があんだけど、いいか?」

ここで話を振られると思っていなかった巧は少し面食らったような顔をしたが「ああ。」と頷きつくしのいる寝室を後にした。

「話って何だよ?あいつがいる前では話せないようなことなんか?」

「____彼女、あんまりいい恋愛してないみたいだな。」

「・・・は?なんだよ、藪から棒に。」

「見えるところにはそりゃついてないけどよ。袖とかまくったら酷いぜ、あの痣。
あと首とか、割と体中のあちこちに出来てるけど。」

「あー。やっぱ気付いたか。」

「あー、じゃねえよ。気付かねえわけねえだろーが。つかお前も知ってたんかよ。」

「___ああ。まあな。」

「____なあ、俺さ途中から馬鹿馬鹿しくなって転科したんだけど、インターンだったころはずっと精神科にいたんだよ。わかるか?心の病気のお医者様。」

「心の病気?」

「ああ、患者の何人かに彼女みたいな人たちがいてな。
まあいわゆる『DV』を受けてた人たちだ。
患者によって暴力の種類は様々なんだけど。
精神的なものか、性的なものか、身体的なものか、あるいはそのいずれもか。
んで、その患者たちに共通してるのが『共依存』っていう症状なんだ。」

「キョウイゾン・・・?」

「被害者が加害者から激しい暴力をふるわれているのに加害者からなかなか離れられない、一回離れたとしてもすぐに加害者の下に戻ってく、みたいな、一種の依存症だな。
被害者も、だんだんそれに慣れていくんだ。
むしろそれが『愛されている』ことだと勘違いしてごくまれに優しく対応されるとつい安心してしまう。
まあ、悪循環だな。」

「あいつがそれだっていいたいのか・・・・?」

これまで大人しく話を聞いていた巧がピクリと眉を動かす。

「___まあ、断言はできねえけどな。
あの痣の感じから見るにかなり長期に渡って暴力を振るわれていると思ったから、その可能性もあるって事だよ。」

まだしかめ面の巧に祥一郎は続ける。

「なんで依存してしまうかっていうとな、それは患者の方にメリットがあるからなんだよ、少なからず。」

「・・・・は?」

「自分が暴力を受けている間は彼は絶対自分からは離れていかないだろう、とか。
まあ別れられたら金銭的にきついから耐えてるって患者もいたけどな。」

「_____なあ、俺まだ話の意図が読めねえんだけど・・・・?」

「ああ、つまりあれだ、お前つくしちゃんのこと口説けよ。」

突拍子もないことを言われ一瞬頭が真っ白になる。

「・・・・・・はああ?」

「人間っていうのは歪んだ場所に長年暮らしているとそこが歪んでいるのかどうかよくわからなくなってくるもんなんだよ。
お前つくしちゃんに惚れてんだろ?あの子を一回外の世界に連れ出してみろよ。
まともなところから自分がいた場所がいかに歪んでたか分からせろ。
そういう患者にはそれが一番手っ取り早い。」

「・・・・・あっ・・・あほか!それが出来るんならとっくにそうしてるっつーの。」

「わかってねえなあ。今は無理矢理にでも外に連れ出すんだよ。そうじゃないと彼女、一生あのままだぜ?」

「・・・・・・・・・・一生あのまま、か。
________なあ、あいつってさ、何にそんなに執着してるんだろな。
あいつにはさ____その気になれば楽になれる道がいくらでもあんのに。」

_____つくしはなぜわからないのだろうか。
なぜその場所が歪んでいることに気づけないのだろう。
彼女にはいくらでも楽になれる道があるというのに。何にそんなに不安にかられるのだろう。

巧はつくしのことを思うとやり切れない気持ちがこみ上げ、軽く溜息を吐いた。



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Re: 大阪も今朝雪積もってます!

えへへ、よいところにお気づきで笑

確かに簡単にはいきませんね。司ももうそろそろ動き出す頃だと思います。

確かにもうやめてよしてのつくしちゃん。

とことん重い話ですよね笑

『愛さずにはいられない』こんなお話ばかりが続いていきますが、これからもよろしくお願いします。
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