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「愛さずにはいられない」
第三章 愛さえあれば

愛さずにはいられない 46

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俺が君に初めてあったときのことは、残念ながらよく覚えていないんだ。
美人だな、くらいの軽い感想は持ったかもしれないけど、挨拶くらいでスルーだった。
君はその時きっと、俺の存在すら認識していなかったのだと思うけど。

二回目に君にあったときは、確か和辻のじいさんの誕生パーティー。
君は背中の真ん中ぐらいまである髪をくるんと毛先だけにパーマを当てて、白い肌によく栄える藍色のドレスを纏って。
黒目がちの大きな瞳がふっと緩められて君から挨拶されたときは、誇張なんかじゃなく、心臓が止まりかけた錯覚さえした。
いい年して自分でも信じられないくらいにドギマギして、あの時俺が君に何を話したのかよく覚えてない。
それだけ夢中で君を見つめて、それを気付かれないように必死で平静を装って。
きっと君はそんな俺の事なんて気にもとめてなかったんだろうな。

こんな感情を他の誰かに感じたことはない。
正直、初恋だった。

でも、君の隣には常に道明寺司がいた。
若手でやり手で、鉄の女「道明寺楓」の秘蔵っ子。
経済界では常に中心人物で一挙一動が注目の的。
世の女性の大半は彼のルックス、ステータス、あるいは莫大な資産か。その何かには惹かれるのかもしれない
。でも、まさか君までそのうちの1人だなんて。
ただただ羨ましかったよ、道明寺のことが。このときほど誰かの事を羨んだことはない程に。

だって、君の道明寺を見る目は明らかに他の奴らを見る目と違っていた。
君を見る道明寺の目も。
色恋に鈍感な俺にでもすぐに理解出来たね。道明寺と君がどういう関係かくらいは。
初恋の相手にものの5分で振られた俺の気持ちが君に分かるか?

いや、出来れば一生知らないままでいて欲しいのだけれど。

そして三回目に会ったとき。
道明寺の所の合同プロジェクトの真っ最中だったな。
道明寺からの捧げ物、もっと悪く言えば生け贄か。
道明寺から「うちの秘書の事をよく知って頂きたい。」とホテルのルームキーと共にお達しがあれば連想されることはたった一つ。

別に珍しいことじゃない。
ビジネスの世界ではよくあることだ。
自分の女であろう君に売りをさせる道明寺の気持ちはまるで理解出来なかったが。



君はどこまでも俺をがっかりさせる天才だったよ。



だって君は俺の事も今まで君が相手をしてきた男達と一緒くたにして俺の顔など見ようともせず、目を合わせようともせず、『女』を武器に俺にすり寄り、ただその肉体を献上しようとしていた。
売春婦か娼婦そのものの微笑みで。

冗談じゃない。

俺は君の身体になんか興味はない。__まあ、1%もないと言ったら嘘になるんだろうが。
肉体など___特に女の肉体ほどくだらないものはない。そんなのは他の誰にでもくれてやる。
道明寺にでも。どっかの会社の重役どもにでも。
だけど、君の心と精神だけは他の奴らにくれてやりたくはない。何としてでも俺のものにしたかった。

君に見つめて欲しい。愛を囁いて欲しい。
君の心を俺のものにできるのなら俺は何だって放り出せる。何だって投げ出せる。
金とか地位とか名誉とか、そんな君の肉体以上に下らないものなんか。

だからこそ俺は君が可哀想だと思った。

道明寺は君の肉体のみを欲しているのだと、君から聞かされたから。
自分は道明寺にとってはただのセフレだと。
自分が道明寺から愛されてると思った事なんて一度もないと、君が自嘲的に叫んだときですら、陳腐な感想だとは分かっていても俺はただただ君のことを可哀想だと思うことしか出来なかった。

でもその程度だよ、君と道明寺の関係なんて。「
可哀想」の一言で終わる、そんな関係だったんだ。

でも、俺が君に「君は可哀想だ」と告げても、きっと君は認めないだろうね。
自分が可哀想だなんて。
だって君は恋に関しては恐ろしく子供っぽくて、同時に気違いじみた執念を持っていたのだから。
可哀想を通り越して、滑稽だったのかもしれない。
まるで小さな子が空の星を欲しがるようなものなのだから。
星を手に入れて、それで君はどうする気なんだ?道明寺司を手に入れて、君は彼をどうしようってんだ?

決して幸せにはなれないと分かっていても求められずにはいられない君のことが。
その手を伸ばす様が。哀れでたまらない。

でもこれだけははっきり言える。

君は幸せを掴みたくないんじゃないか?
君ほど幸福とか、そんな言葉からかけ離れた人間はいないけど、それは君の努力一つでどうにでも出来ることだ。君が幸せになりたいのならいつだって幸せに出来るよ。でもそれほどまでに君が不幸を追い求めているというのなら、それでもいい。


なぜ君がひたすら不幸でありたいと願い続けるのか推測することは出来ても真には理解出来ない。
でも、そんな事は別段問題じゃないさ。





俺は君が笑ってられるなら、一緒に不幸になりたいとさえ願えるのだから。






__________________________







とあるホテルの会員制バー。
薄暗くどこか怪しげな雰囲気すら漂わせている店内で酔いつぶれたかのようにカウンターに突っ伏す一人の男がいた。
そう、祥一郎を非常識な時間に呼びつけたかと思えば一人勝手に酒盛りをしている不躾な旧友、東城巧だ。
相変わらずだな、と少し苛つきを込めて祥一郎が巧の肩を揺すった。

「___み。__たくみ。__巧!!!」

肩の振動が伝わったのか巧がゆっくりと身体を起こす。
まだ若干とろんとした危なげの目つきのままではあったが。

「お・・・・祥一郎・・・・・。遅いじゃねえか。」

「人呼びつけといて先に酔いつぶれてるお前に言われたくねえよ
。___んだこれ?げっブランデーじゃねえか、しかも純度の高いの。
お前わりと酒弱いんだからこれ以上は止めとけ。」

「・・・____おー、やめとく。」

「・・・・なんだ?珍しく素直だな。はは、何か良いことでもあったか?」

巧はカラン、と氷のみになってしまったグラスを弄り自分を嘲笑するかのような笑みを貼り付ける。

「つくしに、会ってきた。」

あまりにも唐突な巧の発言に祥一郎は目を瞬いた。
祥一郎は一瞬狼狽するかのような表情を見せたがすぐに殊勝な顔つきになり続きを促す。

「__つくしちゃんって、・・・え?お前どうして彼女の場所___

「ふん、東城の力を使えば不可能はねえよ。」

偉そうに言える事じゃねえだろ、と思わず突っ込みを入れそうになった祥一郎だったがちょっと溜息を吐きその言葉を飲み込んだ。

「つくしちゃん、今何してんだ?普通に暮らせてんのか?」

「ああ__小さな洋食屋でバイトかな、そんなことしてるよ。」

「道明寺の第一秘書が洋食屋でアルバイト、ね。すごい人生だな、そりゃ。
___つかお前、ちゃんとつくしちゃんと話せたのかよ?
最後に会ったときお前つくしちゃんに襲いかかったんだろ?流石に気まずくね?」

「襲いかかったって___お前な。キスだけだよキスだけ。人聞き悪いこと言うなよ。」

ふ、と可笑しそうに祥一郎が笑う。

「ばーか。キスしたらそれ以上のこと考えない男なんているかよ。」

祥一郎の言葉に若干分が悪くなったと判断したのか誤魔化すように咳払いをした。

「___まあ、気まずいっちゃあ、気まずかったけどよ。
なんせあいつが働いてる店に最初に言った時なんて俺の姿一目見て『ぎゃあ』だか『きゃあ』だか奇声発して厨房に引っ込んじまいやがってよ、あの女。」

「ま、至極妥当な反応だな。
大体お前が何故自分の居場所を知ってるのかすら彼女にとっては訳が分からないんだから。
そのうちストーカーで警察に被害届だされたりしてな?」

「・・・うるせえな。__そうだな、確かにわだかまりっぽいのはあったけど、あいつも大概お人好しっつーか。平謝りしたら割とあっさり許してくれたよ。そりゃあ最初は驚いた顔してたけどな。」

「・・・つくしちゃんはお前と違って人間が出来ているからな。」

うんうん、と頷きながらさも可笑しそうに祥一郎が言った。

「ぬかせ。だからあいつの居場所も分かったことだしそろそろ俺達、結婚しようと思うんだ。」

祥一郎は口に含んでいたブランデーを思いっきり吹き出した。
その弾みで手に持っていたグラスを落としそうになったがすんでのところで事なきを得る。

「きったねーな、てめ。」

あからさまに不快そうな顔をした巧であったが祥一郎の方はそれどころではなかった。
「結婚」の単語はストレートに頭に入ってきても、目の前の友人とその言葉を結びつけるのはやや無理があるだろう。
つくし恋しさのあまりトチ狂ったのかとしか思えなかった。
まあ、その時はその時で自分の出番でもあるかもしれない、と考えつつ冷静を装い巧に聞き返した。

「__え、と__その結婚っつーのは・・・__え?誰と誰の話だ?」

「俺とつくし。逆にそれ以外誰がいるっつーんだよ?お前、ちゃんと俺の話を聞いてたのか?」

「__お前の発想は時々あまりにもぶっとんでる。よって常人には理解しかねる。
お前とつくしちゃんはさ___そもそも恋人ってわけでもないだろ?
そして子供っぽい言い方すればこの前まで絶交してて連絡さえ取ってなかったわけだ。」

「・・・・それが何だっつーの?何か問題でもあんのか?」

「・・・もんだい・・・大ありだろうが。
___あああああああ!突っ込みどころ多すぎてどっから突っ込んだらいいかわかんねんだよ!
まずは___そうだな、お前この前言ってたよな?つくしちゃんに対しては登山するがのごとく周到に準備、シミュレーションを重ねて慎重にアタックするって。それはどーしたんだよ。急に方針変えんなよ!」

「うるせーな、耳元で叫ぶんじゃねーよ、大人げねえな
。____正攻法で行くのはやめだ。あの鈍感女!
俺が何度も何度も好きだっつってたのに俺の事保護者呼ばわりしたんだからな!?忘れたとは言わせねえ。
あれは俺の人生で中々のトラウマになってんだからよ。あのカマトト鈍感女にはもっとわかりやすく攻めんだよ。もーあいつが道明寺が好きだろうが誰が好きだろうが関係ねえ!_____奪い取ってやるさ。」

一気に言い切った巧はにやりと自信たっぷりの笑みを祥一郎に向ける。
祥一郎にはその笑みが自信の表れと言うよりはむしろ自分を奮い立たせ無くては崩れ落ちていきそうな心を必死で守っているだけなのではないかとも思う。

「というか結婚するにしてもつくしちゃんの意思はどうなるんだよ?
一人で勝手に話進めんなよ。寧ろそれ妄想に近い気が・・・。」

「妄想じゃねーよ。俺の壮大なる人生設計の一部だろうが。」

「人生設計___ものは言いようってやつか?
自分の人生設計に他人を勝手に巻き込むのは感心しねえぞ、流石に。」

「・・・確かに、人に感心されるようなアイデアじゃないけどな。」

「___まあ、俺は別にどっちでもいいぜ。お前の健闘を祈るよ。
___って言いたいところだけどな、お前は知ってんのか?」

「・・・・何を?」

「つくしちゃんが妊娠しているってこと。もちろん司クンの子な。」

ようやく自分の気持ちに踏ん切りがつき、迷うことなく進んでいこうとしている巧の出鼻を思い切りくじくことになるのかもしれない。
この言葉の裏にある事実がそれだけ巧を打ちのめすことになるのかも分かっているつもりだった。
__それでも、巧がつくしを追うと決めた限り伝えずにはいられないことだろう。

「__ああ、知ってるよ。つくしから聞いたからな、この前。」

「・・・お前、それがどういう意味かわかってんだろ?
つくしちゃんが、お前の好きな女が、お前以外の男との子供を産むって事が。
お前は永遠に彼女の一番になることは出来ない証なんだよ。
そして、彼女と司クンを永遠に結びつけてしまう証だ。その意味が、本当にお前に分かるのか?」

「___分かってるよ。そんなの随分前からとっくに分かってる。
俺はあいつの一番には永遠になれないさ。たとえ子供がいなかったとしたって。それは分かってる。」

「___いいのかよ、それで。」

「・・・・・・・いいわけねえだろうが。
でも俺は別にそんなことは問題じゃないと思うぜ。
あいつが幸せになるんなら、その相手は俺じゃなくたっていい。
俺は、俺とつくしが一緒にいた方がつくしが幸せになれる確率が高くなるって信じてるから傍にいたいんだ。
それだけなんだ。」

「・・・・・お前のことを、一生見なくても?」

「__ひでえな。先は長いだろ。」

「・・・たく、お前もしつこい奴だよな。いい加減。」

はは、と巧は自身を嘲笑うかのような笑みを貼り付ける。


祥一郎はかつて自分に芽生えた何か予感めいたものが現実になりつつあるということを思い知ったような気がした。
そしてもうすぐそれらが、終焉を迎えつつあるのではないかと言うことも。






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~ Comment ~

NoTitle

いつも拝読させていただいています。
本当にため息でますね。
いつもひどい目にあうのは女性。
一番目の男から二番目の男へ結局依存しようとしている気がします。
つくしには、何があっても自分の道を切り開いていってほしい。
他人の敷くレールではなく、自らのレールを歩んでほしいと思います。
泣きたい時も叫びたい時も慟哭の時も、強く強く人生を歩んでほしい。
捨てる神あらば拾う神あり、お天道様ちゃんとみてます。
つくしが強く強く立ち上がることを望みます。
強くなれ!つくし!

Re: NoTitle

タマ様ヾ(@^▽^@)ノ

コメントありがとうございます♡

そーですね、つくしは今回のことで寧ろ吹っ切れたのではないかと思います。子供の事で冷静にこれまでの自分を見つめるいい機会になったんじゃないかなって思います。

つくしにはまだちょっと頑張ってもらわないといけないので笑
つくしには辛い現実の連続になっちゃうと思うんですけど必ず彼女に幸せが訪れるようにと祈っているので笑

つくしちゃんへの激励の言葉、ありがとうございます!

これからも精進していきたいと思いますので宜しくお願いします!

管理人のみ閲覧できます

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Re: NoTitle

ゆずもち様^^

お返事遅くなって申し訳ありません。

お久しぶりでございます!!

やはりゆずもち様のコメントがないと寂しいです笑

子供が出来たことでつくしの中で確実に何かは変わったと思いますが・・・。
うーん。今日配信の49話ではまたまたつくしが新たな不幸に襲われます。

一体私はどこまでつくし虐めをしたら気が済むんでしょう・・・笑
恐らく49~51話くらいが今回の山場であり最もつくしにとっては試練になるでしょう。

そうですね、巧は類によく似ているところがありますね。最初は意識して作ったつもりはなかったんですが笑

巧は原作初期の司と後期の類を合わせたイメージかなあ
ここまで来ると司なんていーから巧をとってくれと叫び出したくもなるんですが笑


二人の絆ってやっぱり並大抵のものじゃないなって。
たとえどちらかがいなくなったとしても途切れることは無さそうですよね^^

二人の絆を信じて祈りつつも、更新頑張っていきたいと思います!
コメントありがとうございます!!
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