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「愛さずにはいられない」
第三章 愛さえあれば

愛さずにはいられない 47

 ←愛さずにはいられない 46 →3月13日・14の更新お休みします。

「お疲れ様でした。」

業務時間が終了し最後の挨拶と共に軽く頭を下げ店を後にする。

つくしが塔子の洋食屋で働き出してから一ヶ月が経った。
元々飲食店のバイトの経験のあるつくしは仕事の覚えも早く、愛想も良いのですっかり塔子のお気に入りとなっていた。

一ヶ月前の自分の状況とは何もかもが様変わりしていた。
「道明寺」という一流企業から小さな洋食屋のアルバイト、と肩書きを代えてしまって、世間一般の認識からすれば転落人生もいいところだったがつくしの心は裏腹に晴れ晴れしかった。
司の事を考えない日はもちろんなかったが、一旦彼から離れてみると自分がいかに司に気違いじみた、みっともない縋り付き方をしていたのかがよく分かる。
もう司への想い完全に蓋をするのは不可能だろう。
それならばせめて自分の心の片隅の中でいつまでも存在して、時々穏やかな気持ちで思い出せるような、そんな日が来ることを切に願っていた
。___とはいえ、司の事やその他もろもろあまり余計なことを考えないようにと我武者羅に過ごしていく毎日の中ではそれすらも必然のようにも思えたけれど。

今後の生活費や出産費用のことを考えると頭を抱え込んでしまう時もあったが、「母親になる」と決めた以上ある程度覚悟はしていたことだ。
道明寺という後ろ盾を失った自分がいかに惨めな暮らしをしようとも引くわけにはいかなかった。
我が儘で、ただ愛されたい愛されたいと、それだけを願っていた自分が子供にそれだけの愛情を注げるのかは分からなかったけれど。
自分が注げるだけの愛情を持って、「愛してる」の言葉の意味など教えなくても理解出来るような人間になってほしいと思う。自分が掴めなかった幸せをせめて自分の子供だけは掴めるように。




帰路についたのは夜の八時を少し過ぎていた。

二階建て木造アパートの二階に部屋を借りているが、自分が高校生の一時期借りていたそれよりも数段古く、見かけも悪かった。
年頃の女性が一人暮らしをしているとは思えないほどに。
ふう、と溜息を吐き鞄の中にあるカギを取り出しながら階段を上がる。
ギシギシと軋む音に未だに慣れなかったが。

ふと、前を見ると自分の部屋の前に誰かが佇んでいるのが見えた。
薄暗くてよく見えなかったが、180はありそうな長身に、遠目でも分かる仕立ての良いスーツ。
そして彼しか持っていないだろう独特の雰囲気。

「・・・・東城さん?」

巧はつい二週間ほど前から時々つくしのところへ顔を見せに来ていた。
最初につくしの働く洋食屋に来たときなどは前回の別れの気まずさ故仕事も何もかも放り出して逃げ出してしまう寸前だったがそれからも度々店に顔を出してくれるようになった巧を蔑ろにするころはやはり出来ず。
最近では以前のわだかまりもすっかり無くなりまた仲の良い友人のように接することが出来ていた。
つくしの相談に巧が乗ったり、巧の相談につくしが乗ったり、時にはつくしのアパートに巧は泊まっていくこともあったのだから、端から見ればほとんど恋人のようなものであったとは思う。

「__やっと来たか。・・・・・遅えぞお前。つか早く部屋入れてくんね?めちゃめちゃ寒いんだけど。」

「__え?あ、うん・・・・・。」

鍵を取りだしドアノブに手を掛け、狭い玄関へと足を踏み入れる。

「だって今日来るなんて聞いてない。言ってくれればいいのに。」

「俺明日午前中いっぱい休みだし。今日なら遅くなってもいいかと思ったんだよ。
・・・・まあ、メールくらい入れとけば良かったな、わりい。」

「__ふふ、別にいいわよ。どうせあなたみたいな企業人と違ってあたしは結構暇人ですから。
___ね、ご飯食べたの?まだ?」

「ん、まだだけど。」

「じゃあ、ちゃちゃっと何か作っちゃおっかな。
東城さん何食べても残さないから作りがいあるもの。あ、上着貸して。」

いつもの通り巧から上着を取るとハンガーにかけ、ソファーに座るよう促した。

「何か食べたいものある?って言ってもたいしたものは作れないけどさ。」

「別に今腹へってねーけど・・・お前が作ってくれるんなら何でもいいよ。」

「何でも良いって言うのが一番困る!
えー、じゃあ何にしよっかなー。朝のご飯の残りあるし、炒飯とかがいいかなあ。」

ソファーに腰をかけた巧は周りをグルリと見渡すが前に来たときから全く変わっておらず、相も変わらず殺風景な部屋だった。
テーブルとソファー、それから備え付けのテレビが置かれてる程度の、女性が一人で暮らすにはあまりにも寂しすぎる部屋。

トントン、と包丁で野菜を切る規則正しい音が聞こえ、後ろを振り返った巧は彼女の背中はこんなに小さかっただろうかと改めて思う。
いつもは一人で自分だけのご飯をつくり、一人で食べて、一人で片付けて
。一人暮らしは別段最近になってから始めたというわけではないだろうが、今のつくしを思うとどうしても抱えきれない孤独を背負ってるような気がして、やり切れなくなった巧は思わずつくしを後ろから抱きしめた。

「___な、なに?東城さん。やっぱお腹空いてたの?今できるからちょっと座ってて。」

と予想通り巧の腕をそっと外そうとしたつくしであったが、巧は拒絶を受けまいと更にぎゅっと抱きしめる腕に力が入れた。

「・・・・・道明寺な、最近荒れてるらしーぜ。
もともと目的のためなら多少乱暴な手なんかいくらでも使ってきてたけど、この頃は乱暴って言うより無謀だな。」

「・・・ふーん。」

「お前がいなくなって心配で心配で仕事も手につかないのかもな?」

「馬鹿なこと言わないでよ・・・。ただのセフレにあの人は何の感情だって抱きはしないわよ。」

むしろその口調は自分に言い聞かせているようにも聞こえたが『道明寺』という単語を耳にすると自然と強張る背中に気付かれたくなかった。何とか巧に悟られないようにと平静を装う。

「まあ元々あいつの良い噂なんて聞かねえけど、ここ最近は特に酷えんだよな。女関係とか。」

巧は途中から自分でも何が言いたいのかよく分からなくなってきた。
自分は彼女を傷つけようとしているんだろうか。それとも慰めようとしているんだろうか。あるいは試しているんだろうか。

つくしの小さな背中が少し震えているようにも感じ、それがたまらなく巧の庇護欲をそそった。

「・・・・へえ、そうなんだ。」

「まだあいつのこと、気になるか?」

巧はつくしの髪に顔をうずめ問いただす。

「気に、なんないわけないよ。そりゃあ、そうじゃない?
でももう気にしてたってしょうがないし。この子のためにも司の事はなるべく早く過去の存在にしたいもの。」

「手伝ってやろーか?」

「___え?」

「だから、お前が道明寺とのこと過去にすること。」

「?___なに、どういう・・?」

「あの時の気持ち、俺は全然変わってないから。」

その言葉につくしはクルッと身体の向きを入れ替え、巧と対峙するような形になる。
それを幸いと巧はつくしを自分の身体に引き寄せ耳元で縋るように囁いた。

「お前を、愛してる。」




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