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「愛さずにはいられない」
第三章 愛さえあれば

愛さずにはいられない 61

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つくしの再検査が終わり、早々に医師に呼び出され、耳慣れぬ単語でつくしの病状を説明される。

MRIやCT、X線など調べられるありとあらゆる方法でつくしの身の異変を調べ尽くしたようであり、医師の重々しい言葉の一つ一つが激しく司の心を抉り出した。

端折って説明すれば、つくしの心臓が一度停止したときに脳に酸素がいかなかった。
それ故、脳に何らかの形でダメージが与えられてしまい、それが末梢神経の一つを損傷してしまったということだった。
つくしが動かないと言った、またテストの結果でも動かせなかった左足にはもう神経が通っていないらしく、リハビリの成果次第にもよるが以前のように健常者の如く走ったり歩いたりすることは叶わないらしい。
場合によっては車椅子生活を余儀されることになるかもしれないということも。
どうしても司の脳裏には高校生の頃のつくしの、人一倍歩いたり走ったり、慌ただしく動いている映像が再生され、医師が話していることがどこか他人事のようにしか聞こえなかった。
今すぐに目の前のヤブ医者の胸ぐらを掴み、あらん限りの怒声を吐いてやりたかったが、その怒声は結局は全て自分に向けられてしまうという苦しみが、一層司を奈落の底まで突き落とした。
つくしをそんな身体にしてしまったのは自分だ。
もしかしたら一生歩けないかもしれない。
歩けたとしても、以前のように何の問題もなく、という訳にはいかない。
自分の足の一本や二本差し出せばつくしが歩けるようになるのだと誰かにそそのかされれば今の司は何の迷いも躊躇もなく、その場で自分の足を切断し、つくしに献上するであろう。
それは、彼にとってはある種の喜びでもあるのかもしれない。
だが、そうすることはできないのだ。
そうすることが出来れば、彼にとっては救いでもあるというのに。
自分の罪は懺悔することすら許されない程に暗くて深いものだと認識すると同時にそれでは何をどうすればつくしへの贖罪となるのかと、司は一瞬自分自身を、自分自身の心をも見失ってしまった。
自分が心の中で誰にも届かない懺悔を続け、自分で作り上げた罪悪の重さに一生耐え続けなければならない。
それがつくしへの償いになると、自分はそう考えていた。

しかし、本当にそれがつくしへの償いとなるのだろうか。
贖罪となるのだろうか。

言ってしまえば、そんなセンチメンタルな生き方すら自分自身を慰め、いかに自分がつくしを愛しているかをアピールしているかのような一種の卑怯な生き方なのではないか、と。

先程の電話の巧からの言葉がリフレインされる。

____あいつは、つくしはお前を愛してる。
それは、お前が背負わなければならない十字架なんじゃないのか。

勿論、巧は何も知らないのだ。
つくしが子供を失うことになった経緯を。
つくしが死を選択してしまうことになった経緯を。

知っていれば、自分にそんな言葉をかける筈がない。
知っていれば、つくしが命を落とすかもしれない瞬間にだって自分に連絡が入ることはないだろう。
知ってさえいれば巧は意地でもつくしと自分を会わせることなどしなかっただろう。

巧は、つくしと自分との間の事を、恐らくはほんの一握りしか知らない。
そうであれば、つくしが自分を愛しているなどと言うはずもなかった。
どう考えても、最後に見たつくしの瞳は___無理矢理彼女の肢体を貪り、受け止めきれぬほどの恥辱を彼女に与えた時の彼女の瞳は、『愛している』という言葉からは程遠いものだった。
激しく自分を嫌悪し、激しく自分を憎悪した瞳。
あの時のつくしの瞳は全身で自分を拒絶し、拒否していた
腹が立って、頬を殴ってしまうほどに。
サイテイなんて言葉じゃ言い表せない程に非人道な自分の行いに身の毛が弥立つ。

何故、自分はつくしの事を自分と同じように鋭い感情を持つ一人の人間なんだと考えることが出来なかったのだろう。
何故自分はつくしを自分の所有物だと考えることが出来たのだろう。
何故自分はつくしを意思を持たない人形だと考えることが出来たのだろう。
何故今までどんなに彼女を愛し、どれだけ彼女に頼っていたのかに気がつかなかったのだろう。

しかし、あの頃の自分には彼女にそれだけの力があるのだと思うことはどうしても出来なかった。

自分が怒鳴れば、すぐに泣き出すような女、
自分を恐れ、常に自分の言いなりだった女、
自分が命じればどこの誰とも寝れるような女に___それだけの力があったなんてどうして思えようか。
それだけ高貴で強大な力があったなんぞ、あの時の自分には到底思えなかった。

長年自分がそうとも知らずに頼ってきた力を自分でぐちゃぐちゃに踏みつけて、貶めて。
その落とし前をどうつけるのが正しいのだろうか。
どう償えば、ほんの少しでもつくしのこころは救われるのだろうか。

司は、まだ訳の分からない数値の羅列によって、インフォームドコンセントだけは果たそうとしている老医師に、最も聞きたくて最も聞きたくない事柄を問うために口を開く。
最も聞きたくないと思うのはその次第によって自分の罪の大きさを改めて強く十字架に打ち直さなければならないからだ。

「___それで、あいつは___あいつは一体何の___

「____・・・はい・・・?」

突然口を挟まれ、眉根に皺を寄せた老医師をよそに司がたたみ掛ける。

「___だから、あいつは一体何の病気だっつうんだよ。
いくら何でも___おかしいだろうが。
どうしてあんな___まるであれじゃ____

司からその質問が来るのを恐れていたかのように医師の身が収縮する。
医者の方もしどろもどろになる口調は隠せないのか、どこか怯えた様子で取り繕うように返す。

「____それが__ですね・・・・。
その___あれはいわゆる後遺症__とは少し違うようで___ええ、実は大脳に分かりやすい損傷は見られなく___つまりその__病名的には恐らく『退行性記憶障害』という言葉が最も近いのですが____その__何というか外科的治療は認められないというか____

「退行性・・・記憶障害・・・?」

「ええ、まあ、俗に言う赤ちゃん返り、というやつでしょうか____
どうも私どもはその専門ではなく___ともかく脳波にも異常が見られませんし___症状的には心療内科の方ではないかと___

「心療、内科___

「ええ、その___系列の病院に推薦状を書いておきますので___ええ、ここよりもずっと大きいところですから___外科治療に関しましても___ご安心して下さいませ____

その後もつらつら言い募っていた医師の説明は何一つとして司の耳には入ってこなかった。

そしてその刹那___司はある一つの考えにとうとう辿り着いたのだ。

つくしへの償いの仕方を。贖罪の仕方を。

つくしの記憶が戻り、また「牧野つくし」に戻る事が出来る日まで、自分は誰になんと言われてもつくしの傍にいようと。
出来るだけつくしの傍に寄り添おう。
出来うる限りつくしの手となり足となろう。

つくしはいつか絶対に自分を取り戻す。
つくしはいつか絶対に本当の自分を見つめる日が来るだろう。
そしてその時に自分は__恐らく無残につくしに捨てられる。
それだけは半ば確信のように自分の心に浸食された。

いかに屈折した愛情なのか、いかに拗くれた感情なのか理解しているつもりだった。
しかし、これが自分が彼女に出来うる限りのギリギリの贖罪なのだ。

つくしに拒絶される日も拒否される日も、残酷に捨てられる日もいつか必ずやってくる。

その時まで自分は___いつかつくしが全てを思い出して自分を捨てる日のために______不幸になるためにつくしの傍に寄り添い続けよう。

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Re:ゆずもち様ヽ(*´∀`)ノ

コメントありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
そうなんです!司!ついに!腹をくくりましたです笑
第三部からは今までよりは明るめでいこうと思ってるんですけど、司の苦悩が書ききれるか不安です笑
だって彼形はどうあれこれからずっとつくしと一緒に入れるんだから!
もう幸せ以外の何者でもないですよね笑

もう、つくづくゆずもち様には先を読まれちゃいますね笑
やつぱり大人の女性が子供にかえるとなかなかたいへん……
もうつくしちゃん道明寺大好き愛してるって感じに懐いて甘えてますからねー

極めつけはくまさん・・・
何気62話の司のくまさん気に入ってます。
司の口からくまさん・・・笑笑笑笑


明日の更新も頑張るのでよろしくおねがいします!!!

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kaorin様(^^)/

ありがとうございます。
最善を尽くして頑張ります。笑
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