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「愛さずにはいられない」
第三章 愛さえあれば

愛さずにはいられない 62

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つくしが前と同じ系列のより大きな病院へと転院してから、一週間が経った。
心療内科もそれと同時に通い出したが、目に見える病よりも精神の病気は余程治療が困難なのか一定の成果は上がっていなかった。
司も面会可能時間から夜までの間は殆どつくしに付き添い、今日はあの注射がすっごく痛かっただの、今日は誰それの誰々とお友達になっただのつくしの話を笑いながら聞いて寝つくまで一緒にいた。
仕事は寝る間を割いて家に持ち帰ってやり、それでも溜まってる時には病室にも持ち込んでいた。
流石に以前のように仕事のみに集中出来ない環境を社長である楓からは叱咤を受けたが、逆に自分は今すぐに自分の仕事を放棄してもいい、専務の肩書きなんてくそくらえだと脅迫の意を込めて言い返した。
それでも仕事をおざなりにすればつくしがいい顔をするはずがないのだと自分を戒め、やめるつもりは毛頭なかったが。
記憶の方は恐らく幼稚園の年少程度で止まっており、つくしが認識している人間は、つくしの父親と母親、それから司くらいのものだった。
つくしは両親とは疎遠というか殆ど音信不通らしく司の方からも中々連絡の取れない状態だったが、つくしの方は特に家族に会えない事を気に病んだりもせず、何かに付けて「どうみょうじ!どうみょうじ!」と司への甘えを見せ、まるでペットの如くひたすら司に懐いていた。


いつものように面会時間を少し過ぎた午後の1時半。
つくしの病室へと辿り着いた司はドアノブに手を掛けるが、ガシャンガシャンと何かが壊れる音に続き、「りはびりなんてもういや!!!いたいのきらい!!!!やらないやめるいや!!!」とつくしの泣き声のようなものが響いて一瞬開けるのを躊躇する。
またいつものあれか、と溜息を吐きながらもドアを開ければそこには想像通りの光景が広がっていた。

「どーみょーじ!!」

つくしはすぐさま司が現れた事を全身で嬉しがり、早く来てと手をブンブン振り、途端に機嫌の良さそうな笑顔になる。

「・・・まきの・・・・。」

散乱した食べ物に割れた食器。
傍に寄り添う困り顔の看護師の存在は今し方ここで起きた一連の出来事を物語っていた。

「ねえねえ、どうみょうじ!今日は何して遊ぶの-??
つくしねえもういっぱい____

「牧野さん、一日ほんの少しの時間でもいいんです。
兎角毎日することに意義があるんですよ、リハビリは。」

「いたいからいや!!」

つくしは看護師を敵を見る目のように睨み付け、再び司に話しかけた。

「ねえねえどーみょーじ、後でねえつくし____

「牧野。リハビリしなきゃいつまで経っても歩けるようになんないだろ?」

「いやいや!!本当に痛いからいや!!
そんなこと言って昨日もその前もちゃんとやったもん!!
面白くないし痛いからいやなの!!」

「___俺がついててやるから。それじゃダメか?」

つくしはちょっと考え込むが潔く首を振り拒否の意を伝える。

「いや!!絶対行かない!!絶対やらない!!!」

「いい加減しろって。このまま一生歩けなくなってもいいのか?」

「別に歩けなくったっていいもん!
いたいことするよりいいもん!
いたいのいや!だいきらい!!」

いつまでも駄々をこね訊かないつくしに、頭を抱え込みそうになったが「別に歩けなくったっていい」は聞き捨てならない台詞でありしっかり分からせなくてはならない。

「・・・・・・歩けなくていいはずねえだろが・・・・。
わかった。何かお前の欲しいもの買ってやるから。
何でもいいぞ。お前がリハビリすんだったら何でも買ってやる。
それでどうだ?」

つくしはまたしても考え込みだす。
童話の中のかわいいドレスや大きなくまのぬいぐるみなど欲しいものと言えばたくさんあったが、ここで司の言うことを聞いて折れるのはどうにも格好悪い。
もはやリハビリしたいしたくないの話では無く意地になってしまい引っ込みがつかなくなっていた。
先程は司が中々来ないと看護師に盛大に癇癪を起こし、ひとしきり暴れたというのも引きずってはいたが。
ともかくここでそれなら行くといってしまえば負けになる気がした。

「・・・・・・行かない。」

司もここ一週間でつくしの操縦方法は大体習得したつもりだったがこのつくしの返答には面食らった。
だが司にしても最終手段というものがある。

「・・・・・行かない?」

「うん、行かない。」

「・・・・・牧野。__何意地になってんだよ。」

「意地になんか・・・なってないもん。」

流石にばつが悪くなってきたのか、やや俯き加減で声も小さくなってしまう。

「___そ。ほんとに行かねえんだな?」

「・・・・・・行かないっ!行かないったら行かないもん!!」

「・・・・じゃあ俺、帰ってもいーんだな。」

「・・・え?」

「だってお前がリハビリしねえんだったら俺もいる意味ねえし。
何も買ってやんねえし、付いててもやんねえ。
それでもいいんだろ?」

つくしはたちまち泣きそうな顔になり、司を帰すまいと袖の辺りをぎゅっと掴んで思い切り首を横に振った。

「やだ!!帰っちゃや!!!」

「___行かないって言ったのはお前だろ。」

「__やだもん。やだやだ!!帰らないで!!帰っちゃやだ!!!
やだぁ・・・・・やだもん・・・・。」

「じゃあ、ちゃんとリハビリやんだな?」

「・・・・う。」

「どうなんだ?やんのか?」

「・・・・・やる!!やるってば!!!」

「・・・・・最初っからそう言え、全く。手間かけさせんじゃねえ。」

「その代わり・・・・・。」

「その代わり?」

ゴソゴソっとつくしがベッドの下から絵本を取りだした。
最近買い与えたものでお姫様だかふわふわだかふりふりだか、美作邸に行けばゴロゴロ転がってそうなものばかりが詰まったいかにもという童話絵本。
どうやらつくしのお気に入りのようで就寝時間時には読んでくれといつもせがまれる。
ぱらぱらと捲っていき、目当てのページに辿り着くと「ここ!」と司に見せるように指を差す。

「・・・・ん?なんだ・・・・?」

お姫様が天蓋付きベッドで寝ながらくまのぬいぐるみを抱きかかえているシーン。
ぬいぐるみと言っても小さなものではなく、恐らくはお姫様の身体より少し大きなものではないだろうか。

「このくまさんが欲しい!!」

先ほどまでの涙をいっぱいに溜めたつくしの瞳はどこにいったのかおねだり用のキラキラした瞳で司を見つめる。
その姿が核兵器の威力並みに可愛らしく、つくしが望むなら太陽でも月でも買ってきてやりたくなった。

「・・・・おー。くまさんな。おう、わかったわかった。」

ぱああっとこれ以上ないくらい瞳を大きくさせたつくしは「どーみょーじだいすきっ!!」とぎゅむっと司の腕を抱きしめる。
グイグイと引っ張られる腕につくしの胸が当たり、全く無自覚天然というのは考え物だと改めて思い知る。
こんな事を他の誰かにされたら困るどころの騒ぎじゃないので釘を刺しておこうと口を開きかけるが、やや呆気にとられた様子で二人を見ていた看護師と目が合うと居心地悪そうにそっとつくしに絡められた腕を外した。

「・・・・何か悪ぃな。」

突然話を振られた看護師は目をパチクリさせたが、司と目があったという事実にすぐに顔をぽーっと赤くさせ、こちらも勢いよく頭を横に振り出す。

「いいえ!ぜんぜん!!全然大丈夫です私は!」

「・・?__あっそ。」

「じゃっじゃあ牧野さん!!早速行きましょうか!!善は急げです!思い立ったらすぐ行動です!!」

「ふえ・・・・。」

何を勘違いしたのか、いきなり張り切りだした看護師につくしが若干引き気味になるが、看護師にとってはどこ吹く風。
司は司で無自覚というか無意識というか、相変わらず自分を分かっていない人間のようでそんな看護師を不思議に思いながらも兎角つくしがリハビリに前向きになったことに胸をなで下ろしていた。



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Re: ゆうん様ヽ(*´∀`)ノ

コメントありがとうございます!!
そしてコメ返遅れてすいません笑笑

やー甘いですねえ私もつくしも司には激甘

特につくしなんてねえ笑
甘えて懐いてどーみょーじがいないと泣いちゃう!なんて可愛いにもほどがある笑
それにあれ買ってこれ買ってあれじゃなくちゃこれじゃなくちゃ、なんておねだり上手なつくしちゃんなんて本来ありえないですもんね笑笑

つくしの我が儘に翻弄される司・・・
それはそれで立派ないじめかもwww

司の口からくまさんは私も書きながらにやにやにやにやにやにやにやにやしちゃって笑




明日には更新予定です!
頑張ります!!笑
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