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「愛さずにはいられない」
第三章 愛さえあれば

愛さずにはいられない 63

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「__牧野、立てるか?」

流石は大病院というだけあってリハビリ室一つとってもまるで体育館のホールの如く広く設備も充実していた。
『リハビリの方法自体は至極簡単なものなので、あなたに任せられたら他の患者さんも見れるし有り難いわ』というような意味のことを看護師の一人から告げられ、つくしがリハビリを始めると決めた日から毎日司が一人でつくしの訓練の面倒を見ていた。
毎日の訓練によって少しずつは成果が出始めているようだったが立つことすら困難なようではまだまだ健常者のそれとは程遠かった。
顔を赤くして、唇を噛みしめて、懸命に腕を支えにして車椅子から立ち上がろうとしていたつくしだったがどうにも自分の力だけでは立てないようで、ちょっと溜息を吐いて再び腕の力を抜く。

「__ほら牧野、ここ、俺の首んとこ掴んでいいから。」

司がつくしの為に少し屈んで、首の辺りを掴ませようとする。
「ん!」と短く返事をして、つくしはそっと司の首に腕を絡めた。
司がつくしの腰の辺りに手を回すと、そのまま抱き上げて立たせようとする。
つくしの腰が浮いたところで、手を離そうとするが「離しちゃやだ!」とのつくしの声に慌てて抱き留める。

「__ん・・・待ってどうみょうじー。まだ・・・ダメ。手、離さないで。」

「・・・いいから、一回立ってみろって。
昨日は最後には立てただろ?
危なくなったらちゃんと支えるから、一回やってみろ。」

「・・・・う・・ん。__ん、待って___

つくしが言うが早いか司がそっと手を離す。
思わず目をぎゅっと閉じるが予想された衝撃はいつまで経ってもやってこない。
ぱっと目を開け、下を見ると自分の足が立っているのを認識する。
そうと知れば途端に足から力が抜け、ガクン、と膝から崩れ落ちてしまった。

「っと____あっぶね___。」

すんでのところで司がつくしの身体を支え事なきを得る。

「わり、大丈夫か?」

司がもう一度抱き直し車椅子に乗せると、かなり気分を害したようなつくしの瞳と目があった。

「・・・・大丈夫じゃ、ないもん・・・。」

歩けない自分への怒りか、悔しさか、はたまた痛みのせいなのか。
つくしの声は今にも泣きそうに震えていた。

「__まきの___

「もーやだよつくし。
ねえ、もうやりたくない。
何かちがうことしてあそぼーよどーみょーじ。
いたいしつまんないしやりたくない!」

「__ダメだ。何回言ったらわかんだよ。
もう少しだけでいいからちゃんとやれ。
そしたら後でお前の好きなだけ遊んでやるから。」

「__今がいいもんー。ねー今あそぼー。」

「くまさんはどーした。買ってやんねーぞそんなんじゃ。」

司に最後の切り札を出されるとつくしも従わないわけにはいかない。
頬をプクッと膨らませ一応は反抗の意を示したつくしだったが「わかった!やればいいんでしょ!!」と言うが早いか、再び車椅子から勢いよく立ち上がる。
反動でまたもや倒れそうになるつくしは慌てて司にしがみついた。

「ばか。あぶねーだろが。慌てなくていいから、ゆっくりな。」

「わかってるってば!もう、離さないでよ!!」

「___信用ねえなあ。離さねえっつの。」

グッと力を込めて司の腕を支えに立ち直そうとしたつくしだったが、前方から聞こえてくる看護師の「牧野さん!」との声に遮られてしまった。

「あー、よかった牧野さん。どこにもいないと思ったらリハビリ室にいたのね-。
あっ、道明寺さんも!いつもありがとうございますほんとに!!
あのね牧野さんに面会したいって方がいらしてね。
今リハビリ室ですって言ったらじゃあ終わるまで病室で待ってるって言うのよ。」

「めんかい?」

耳慣れぬ単語につくしが聞き返した。

「お前に会いたいってことだよ。」

司が口を挟む。

「東城じゃねえの?いつも通り。」

と今度は看護師に問うた。

「いいえ、東城さんではなくて・・・
え、と確か花沢・・・・花沢類さんです。
お見かけしたことの無い方でしたけど・・・え、その・・・もしかして心当たりないんですか?人違いかしら?」

『花沢』という単語に一瞬思考が停止しフリーズした司に何を勘違いしたのか看護師が早口で捲し立てる。
知らぬ間に意識の底に沈め思い出さぬように蓋をしていた考えだ。
司は心の奥底ではこの状態のつくしの姿を誰にも見せたくないと__ことにかつてつくしと交際のあった人間に関しては絶対に見せてはならない気がしていた。
それが彼女の自尊心を酷く傷つけることになるのも知っていたし、勿論いつか彼女が正気に返ることは望んでいるがそれが今であってはならない気がした。
彼女に過去関わりのあった者が彼女に会えば混乱しやしないだろうか。
それが彼女を現実に引き戻すきっかけになるのではないか。
そんな気がしていたからだ。

このようなことを自分が思うのはお門違いであることを知ってはいたが____彼女は自分と過ごした5年間の中で、とてもじゃないが一度たりとも「幸福」な状態でいられたことはないのではないかと思う。
それは自分が彼女からの愛を蔑ろにし__出来うるギリギリの範囲でどん底まで貶めていたからだ。
それは分かっていた。
彼女がくれた無償の愛だとか、そんなものと引き替えに自分が彼女にしたことと言えば肉体的に激しく痛めつけ、まるで玩具か何かのように彼女の身体を好きなように扱って、挙げ句の果てには彼女の肢体を他の男に売らせていた。

記憶を失っていたことが言い訳にもならないくらいに非人道的な行いで、例えこの行為を強いていたのがつくしじゃなくとも自分は後悔と絶望の狭間に佇んでいたのかもしれないと思うほどに。
だがしかしつくしがいなければ道徳的な行いや、特に「愛」という言葉の意味すら知らなかった司がこう思うかは甚だ疑問だったが。

仮につくしに幸福な時間があったとしても、彼女はいつも何かの影に怯えながら生活していた気がしてならなかった。
常に不安と絶望の中で神経の置き所を懸命に探して。
だから壊れたのだ。

自分が彼女を壊したことを十二分に理解していたし、自分が彼女のことを思うことすら彼女の冒涜になることを知ってはいたが___司には今のつくしが今までの中で一番幸せな気がしていた。

リハビリを除けば彼女に苦痛など決して与えられることはなかったし、あんな風に素直に自分を出して、我が儘を言ったり拗ねてみたり、思う存分甘えてみたり怒ってみたり。

こんなことを思うのはどうかしているとは思っても、夢の中に居るつくしが、一番幸せなように感じるのだ。

だがいつまでも隠し通せることではない。
特に類に関しては___つくしについて何かを隠そうと思うことなど到底無駄なことのように思えた。

ちょっと溜息を吐き、視線を下ろすと聞き慣れない会話につくしの顔は忙しく看護師と司の間をキョロキョロ動いている。
全く、こんな時でも彼女の顔は腹が立つ位純粋で。
その純粋さに憧れもし、素直に羨ましいとも思った。

「___牧野、もうリハビリしたくないだろ?」

「___え??」

「今日は__これでやめにするか?」

「・・・・いーの?」

僅かにつくしの顔が明るくなるが、先ほどの司とは180度違う司の意見を逆に訝しくも感じた。

「・・・・・でも、さっきと言ってることちがうじゃん。
なんでやめなの?」

何かリハビリ以上に嫌なことでも待っているのだろうかとつくしが若干身体を固くした。

「・・・・・あー、なんかなお前に会いたい奴がいんだと。
病室で待ってるらしいから。
お前も会ってみたくねえ?」

「・・・・巧ちゃん?」

「__東城じゃねえけど。」

つくしはこのままリハビリするかそれとも「めんかい」とやらをしてみるのかどちらが得策かをまだ考えていたようだったが、リハビリを続けるのは賢明な判断ではなさそうだと判断したのか、「うん、じゃあ戻るね!」と司に明るく言い放つ。

司はぱあっと笑顔になったつくしを見つめながら、本来ならば自分は彼女のそんな幸せそうな顔を見る権利など与えられていないのにと、心の中で一人やり切れない虚無感を感じていた。


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Re:ドリー様ヽ(*´∀`)ノ


初コメありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
嬉しいです!!!

やっぱ基本F4はみんなかっこいいですよね♡
たまにつくしちゃんがすごく羨ましくなります笑笑
つかさはほんとにこれでもかってくらいにつくしちゃんを傷つけて・・・
彼の懺悔はつくしに通用するんでしょうかね

でも記憶喪失時の司がつくしに辛くあたってたのってやっぱり好きの裏返しだと思ってます。
小学生の男の子が好きな女の子の気を引くために悪戯して意地悪して泣かせちゃう、みたいな
やっぱり司はどこか屈折したところがありますからねー
好きな女の子ほどいじめたくなっちゃうのかなーって勝手に思ってます笑笑

Re: ゆずもち様ヽ(*´∀`)ノ


コメントありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))

そーなんです!
つくしちゃん、幼少期に親に甘えられなかった反動が来てます笑笑
弟もいたし、そんな環境じゃなかったんでしょうね・・・
何故かはよくわかんないけどつくしは凄く司に懐いてるし、いっぱい甘えていっぱい懐くつくしちゃんは書いてて切なくなることもありますが、やっぱりかわいい(´ω`*)
書いてて楽しいですヽ(*´∀`)ノ

そして!
ゆずもち様のアイデアパクらせて笑もらいました!
許可なくすみません笑

類が絵本の中の王子様ってほんとにピッタリな表現だと思いまして・・・笑笑

明日の更新頑張りますね(`・ω・´)
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